日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年4月1日月曜日

◆世界一の“プレゼンの魔術師”が語る「Jリーグ観戦の魅力」とは?(テレビドガッチ)






従業員数12万人の世界的IT企業の中でトップのプレゼンテーション能力を誇る“プレゼンの魔術師”こと澤円が、テレビ東京系で3月30日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』にゲスト出演。相手の心を掴む話し方の極意を明かし、さらに「Jリーグに興味がない人を行きたくさせたくなるプレゼン」を実演した。

プレゼンと言えばビジネスの商談などをイメージしがちだが、記者会見やヒーローインタビューの受け答えなど、アスリートにとっても重要な能力。Jリーグ新人研修にも講座が設けられ、その新人を獲得する上でのスカウト活動もプレゼン能力が必要不可欠だ。

そんなプレゼンで重要なのが「体験と未来」の提示。新人獲得であれば、そのクラブで何ができるかを伝え、さらに明るい未来の可能性を伝えることで人は行動しやすくなるのだとか。例えば、服を売る時は「今年の流行にあっている」と伝えた上で、「パーティで注目されますよ」と素敵な未来を提案すると購入につながりやすくなるという。

また、プレゼン時の言葉の引き出しを増やす方法を聞かれると、澤は「なるべく沢山の人に質問をすること」をあげ、同じ質問でも答えの数だけ自分のライブラリーになっていく」と提案。さらに「交渉が不利なときの逆転方法」を聞かれると、「決定権がある人を見極めること」が重要だと言い、「例えば新人獲得であれば、選手だけでなく、最終的に両親のOKが必要かもしれない。そんな時は、その選手に“家に帰ったらご両親にはこう伝えてね”と言葉をプレゼントしてあげる。そうすると大きな逆転が待っている可能性がある」と話した。

そのほか、選手のインタビューの話題になると、鹿島アントラーズに加入した関川郁万選手がVTRで登場し、「こんばんは。鹿島アントラーズの関川郁万です。流通経済大柏から入団しました。自分のプレーの特徴はヘディングなので。高校サッカーでも実力を見せたっていうか、得点や攻撃をストップさせるような選手なので、ぜひ、応援よろしくお願いします」と自己アピールを展開。澤は「若くてフレッシュな印象ですが、得意なヘディングの具体的な話がちょっと欲しかった」と指摘。「例えば“ゴール前の競り合いに強いのでそこを見てほしいです”と伝えれば、ファンの皆さんはそのプレーに期待して見るし、それが上手くいけばすごく喜んでくれる。そうすれば、またそのプレーを見たいと思ってスタジアムに足を運んでくれるかもしれない」と話した。また、最後の「宜しくお願いします」という締めの言葉も、最後の「します」の音を自分の中のドレミファソのソのあたりにすることで好印象になるとアドバイス。一方で、「背伸びした発言はオススメしない」と言い、「本心から出ていない言葉は熱意が下がってしまうので伝わらない。本当に思っていることを言葉にした方が断然伝わる」と持論を展開した。

続いて、「プレゼンが美味いと思うアスリート」を尋ねられ澤が選んだのは、先日現役引退を表明したイチロー。澤は、引退会見を分析し、「最初の一言」「間の取り方」、「場の一体感」の3点が素晴らしいと絶賛。会見が始まるなりイチローは「こんなにいるの! びっくりするわ! この遅い時間にお集まりいただきありがとうございます」と言って場を和ませた。澤は「自分の素直な思いを伝えると共に、アイスブレイク(場の緊張を解し、自分も相手も話しやすい場を作るテクニック)が出来ていてさすがだと思う」とコメント。2つ目の「間の取り方」については、「つっかえているのと少し違う。しっかりと言葉を選び、次に何を言うのか期待させる間。表現の一つ一つがシンプルで言葉を噛みしめるような話し方なので、オーディエンスとして染みてくる感じがした」と話した。そして3つ目については、会見中に4度イチローが放った「僕、おかしなこと言っています? 大丈夫?」というフレーズに注目。「イチロー選手ほどの大物になってくると聞いている側が緊張してしまう。しかし、あのように問いかけられると質問をした記者以外の人も自分に話しかけられたような気持ちになって、“おかしなことなんて言っていませんよ”と心の中で答えている。そうやって会見場に一体感を作り出していた」と分析していた。

そして最後に、澤が「Jリーグに興味がない人を行きたくさせたくなるプレゼン」を実演。「例えば試合の結果はニュースでわかりますが、スポーツは結果を見て楽しむものではないと思います。僕はJリーグの試合に何度も行っていますが、とにかくスタジアムのある最寄り駅からワクワクする。もっと言うと、そこに着くまでの電車の中からワクワクが始まっています。そして、なんと言ってもスタジアムに行ったらすぐに“音”が違うとわかります。テレビでは絶対に聞こえない音をたくさん聞くことができます。“ホワーン”と共鳴しているような音やもちろん物凄い歓声もそうです。そして意外と聞こえるのがプレー中のボールを蹴る音。そういった音というのを現地で感じると一発でファンになります。これを体験するために、スタジアムまでの道を調べていただいて、チケットを買って、ぜひ、見てみてください!」と一気にアピール。この模様は番組SNSで公開されており、Jリーグサポーターに拡散を呼びかけている。


◆世界一の“プレゼンの魔術師”が語る「Jリーグ観戦の魅力」とは?(テレビドガッチ)




◆PSG戦控える昌子、エムバペとの初対戦に意気込む(AFP)






【3月31日 AFP】フランス・リーグ1のトゥールーズ(Toulouse FC)に今冬加入した日本代表DFの昌子源(Gen Shoji)が、31日のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-Germain、PSG)戦へ向けた意気込みを語った。かつて国際大会の舞台でクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)と対戦したこともある昌子は、今度はその経験も生かしながら、W杯ロシア大会(2018 World Cup)優勝メンバーのキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)という、別のワールドクラスを抑えたいと考えている。

 トゥールーズがリーグの絶対的な王者であるPSGに挑む中、昌子は今最も将来有望な選手であるエムバペの封殺を狙う。Jリーグ1部(J1)の鹿島アントラーズ(Kashima Antlers)在籍時代の2016年、クラブW杯(2016 FIFA Club World Cup)でレアルと対戦した昌子は、ロナウドにハットトリックを許す悔しさを味わった。

 昌子は「鹿島では、チームとしてロナウドを抑えるという考え方だった。だけどフランスでは1対1の勝負が重視されると感じるし、それに順応しながら、エムバペや他の選手に対応していかないといけない」「ロナウドとエムバペを比べるには、両方と対戦してみないと分からない。試合をすればもっと考えがまとまると思うが、難しい戦いになる」とコメントした。

 昌子はプロ入りからずっと過ごしてきた鹿島を離れ、リーグ1中位への定着を目指すトゥールーズに貢献している。「新しい経験がしたかった」と話す昌子は、日本とはまったく異なるフランスの文化に早くなじむ必要性を感じながら「こちらでは遠慮していたらやっていけない。日本では少し控えめでも周りが気遣ってくれた。こっちでは自分から動かなかったら誰も気にしてはくれない」と話している。

 トゥールーズに溶け込む助けになるようにと、クラブはオリンピック・リヨン(Olympique Lyon)やPSGの女子チームで働いた経験を持つ太田徹(Toru Ota)氏を通訳として手配した。太田氏は控室で通訳を務めるだけでなく、ベンチにも入って監督からの戦術的な指示を伝達する。

 フランス語の家庭教師もつける予定だとのことで、アラン・カサノヴァ(Alain Casanova)監督は昌子について「彼はとてものみ込みが早い。良い買い物だった」と話している。

 一方の昌子は、技術面では「Jリーグの方が多分優れている」と信じつつ、「スピードやフィジカルではリーグ1の方が勝っている」「フランスサッカーのクオリティーにはとても驚いた」と新天地の印象を語っている。

 まだフランスに来て間もない昌子だが、すでにリーグの洗礼は味わっており、特にリヨンに1-5で大敗した試合は悔しさが大きかった。昌子は「鹿島にいたときは、僕らは勝つのが当たり前だった。だけど間違った選択をしたとはまったく思っていない。こういうチームとしての難しさはこれまで経験がなかったことだけど、今はそれを味わうのが大切だと思っている」と話した。

 カサノヴァ監督も、昌子のフランスでの成功に自信を持っている。新加入の昌子の助けになればと、片言の日本語を学んだとのことで、「基本的なあいさつは覚えたよ。コンニチワとサヨウナラだ」と話してくれた。(c)AFP/Remy ZAKA


◆PSG戦控える昌子、エムバペとの初対戦に意気込む(AFP)




◆昌子源が実践する“先輩の教え”…「パリが相手だからといって…」(サッカーキング)



昌子源 Gen.Shoji


「自分は日本代表のキャップ数が15,16くらいやし、偉そうには言えないけど、4年前のアジアカップやロシア・ワールドカップを経験させてもらった。そういうのをちょっとでも伝えられたらなと。僕もまだまだ(香川)真司くんたちに聞くことがいっぱいあるし、上と下のパイプ役ができたらと思ってます」

 3月の2連戦(コロンビア戦、ボリビア戦)でロシアW杯以来の日本代表復帰を果たした昌子源は、森保ジャパンにおける自身の立ち位置を客観視することができた。長谷部誠や本田圭佑らが代表を離れ、今回は吉田麻也や長友佑都も招集見送りとなった。チームリーダーを担ってきた先輩たちが不在の中、「自分たちが20代半ばの世代が中心になっていかなければならない」と思いを強めたという。

 以前、昌子は「麻也くんが(ロシアW杯)ベルギー戦の後、『クルトワにアタックしてファウルで止める必要があったかもしれない』と言っていたけど、それが海外で戦っていくためのずる賢さや駆け引き。麻也くんはそこに気づいている」と神妙な面持ちで語っていた。その後、海外で戦う先輩たちを追い掛けるように、自身も1月にフランスへ渡った。

 そして今、コロンビア、ボリビアとの2試合を終え、リーグ終盤戦に備えている。昌子が所属するトゥールーズは現在14位(残り9試合)。2部との入れ替え戦に回る18位との勝ち点差は10あるが、残留を確実なものにするためにも目の前のポイントを拾っていく必要がある。

 3月31日のパリ・サンジェルマン(PSG、リーグ首位)戦を皮切りに、リール(同2位)、マルセイユ(同4位)、サンテチェンヌ(同5位)といった上位陣との対戦が残っており、油断はできない。

 それでも、昌子は「パリが相手だからといって、チャレンジしなかったら意味がない。安パイなプレーをしていても成長はないから」とあくまで強気なプレーを見せることを意識している。さらに、「自分は代表に初招集されてから3年出れんかったけど、安パイで良いという意識が強くて、遠慮して声を出せなかったり、パスを出せるところでワンテンポ遅れたとか、そういうことが理由だったと思うんです」と未熟だった自分を述懐し、攻めに行く守りを実践していくことを今一度決意したという。




 実際、コロンビア戦ではラダメル・ファルカオにスライディングタックを仕掛けたシーンがあった。ボールを奪う寸前でかわされてピンチを招いたものの、それも果敢にチャレンジした結果だった。

「日本では『スライディングは最終手段だ』と教わってきた。できるだけ最後までついて行ってマイボールにすることを意識してきたけど、フランスではFWと五分五分に並んでいてもスライディングで奪いにいくという感覚なんです。確かにセルヒオ・ラモスとか(ジェラール・)ピケも結構滑ってるなってイメージがあったけど、守備の価値観の違いがそうさせるんですよね」(昌子)

 大量5失点で大敗を喫したリヨン戦後、昌子は自身のプレーをそう分析していた。日本と海外の違いを比較しながら、プレースタイルにも変化を加える。その成果を代表戦という大舞台で披露することは容易ではない。それでも、昌子はコロンビアの強力な攻撃陣を相手に、果敢にタックルに行ったのだ。

 彼の父で兵庫県サッカー協会技術委員長の力さん(現・姫路独協大学監督)は、「源は頭でイメージしたことをすぐに実践に移せる能力を幼少期から備えていた」と話してくれたことがある。先天的とも言える才能でトライを繰り返し、異国の守備文化をモノにできれば、大きな成長を遂げられるし、トゥールーズの1部残留、ひいては日本代表の守備ラインの強化にも貢献できるはずだ。

 6月にはコパ・アメリカが開催される。南米の強豪たちとの正真正銘の真剣勝負ができる公式戦だ。しかし、昌子はその大舞台のことをいったん横に置いて、5月25日のリーグ最終節(ディジョン戦)まで全身全霊を注ぐ所存だ。キリアン・ムバッペ(PSG)をはじめ、ニコラス・ペペ(リール)やフロリアン・トヴァン(マルセイユ)、ワフビ・ハズリ(サンテチェンヌ)といったストライカーたちと対峙し、飛躍のきっかけをつかんでほしい。それを代表に還元できれば日本の守備力もアップする。

 冨安健洋や畠中槙之輔といった若手からも刺激をもらいながら、中堅世代のセンターバックはさらなる高みを目指し続ける。

文=元川悦子

◆鹿島、敵地で磐田に不満ドロー…(中スポ)



レオ・シルバ Léo Silva


◇J1第5節 磐田1-1鹿島

 敵地で追いついてのドロー。本来なら前向きにとらえていいはずの勝ち点1を鹿島の誰もがよしとはしなかった。

 「われわれはここに勝ちに来ているので(納得していない)」と大岩監督が言えば、主将の内田も「相手は(未勝利で)調子が上がっていない。優勝狙うチームは勝ち点3取らなきゃ駄目でしょ」と“断罪”した。

 後半開始1分で先制を許した。磐田・大久保のトリッキーな“オーバーヘッドパス”に虚を突かれたとはいえ、時間帯も含め、試合巧者といわれる強豪が失点してはいけない場面。「(マイボールを)ロストしたところから始まり、戻り、カバリングとまだまだ甘い」(同監督)と一切の妥協を許さなかった。

 殊勲のレオシルバも「最低限の結果」。アジアタイトルも含め通算20冠を誇る常勝・鹿島ならではの試合の振り返りだった。 (内田修一)


◆鹿島、敵地で磐田に不満ドロー…(中スポ)





2019年3月31日日曜日

◆学生服姿の少年が見せた悔しい顔。 9年後の昌子源は「物凄く、成長した」。(Number)



昌子源 Gen.Shoji


◆◆想定外の人体解剖学 / 坂井建雄/著 / エイ出版社


 先日行われたキリンチャレンジカップ、日本代表vs.ボリビア代表の一戦。

 会場となったノエビアスタジアム神戸のミックスゾーンでの出来事だった。筆者はこの試合には出場しなかった昌子源を呼び止め、話を聞いた。

「とりあえず僕は森保ジャパン初選出なので、まずは監督の考え方や求めていること、そしてチームを知ることを意識しました。今回で森保さんの戦術は凄くよく分かりましたし、森保さんと話す機会も多かった。何を求められているのかも自分の中でははっきりと分かったつもりです。

 森保さんは『選手同士でコミュニケーションを取れ』というタイプ。自分はW杯も経験させてもらっている立場なので、しっかりとリーダーシップをとっていければと思っていました。

 それに(安西)幸輝もそうですし、(畠中)槙之輔、(橋本)拳人とか、下の年代は(代表活動が)初めての選手が多かった。先輩たちがたくさん声をかけてくれたように、自分がサポートすることを意識しました。立場は変わったなと感じましたね」

逞しくなった昌子、よみがえる9年前の姿。

 鹿島アントラーズでDFリーダーとなり、ロシアW杯をCBの主軸として経験。ACL初優勝後にフランス1部リーグのトゥールーズに移籍を果たし、海外組として堂々たるプレーを見せる昌子の言葉には重みがあった。何より、そこには日本代表の主軸としての自信と自覚があった。

 逞しい言葉を聞いているうちに、筆者の心に懐かしい風景が蘇ってきた――。

 それは今からちょうど9年前の2010年3月のこと。布啓一郎(現・ザスパクサツ群馬監督)監督率いるU-19日本代表は、その年の秋に中国で開催されるAFC U-19選手権に向けて、神戸で強化合宿を行なっていた。このU-19日本代表候補に、前年のインターハイで米子北を準優勝に導いた昌子が初めて選ばれたのだった。

自身も驚きのU-19代表選出。

 彼のキャリアにとって初の日本代表選出。

「最初、監督からU-19日本代表に選ばれたという話を聞いた時は、『嘘でしょ!?』と思いました。正直、場違いなんじゃないかなと……」

 インターハイでの活躍により、知る人ぞ知る存在になっていたが、宇佐美貴史や杉本健勇、柴崎岳などのプラチナ世代と呼ばれる豪華なメンバーの中において、代表歴が皆無の昌子は無名の存在だった。そんな彼が抜擢されたことで、周りはおろか、本人自身が1番驚いていたのだった。

 そして、いざ合宿が近づくと、筆者の電話が鳴った。昌子からだった。

「やっぱり俺なんかが合宿に行って大丈夫なんでしょうか? みんな絶対に自分より上手いと思うし、間違いなく俺が1番下手くそだと思う。本当に対等に出来るのでしょうか……」

昌子が持っていなかったもの。

 心配そうな声で語る昌子に「絶対にやれる。実力で選ばれたのだから自信を持った方がいい」と励ましの言葉をかけた。

 これは決して慰めではなく、昌子のCBとしてのポテンシャルは非常に高かった。対人の強さ、空中戦の強さ、強烈かつ正確なロングフィード。さらに彼が今後「絶対に伸びる」と確信できた理由は、パーソナリティーにあった。

「俺は一生懸命やるしかないんです。周りから見たら落ちこぼれの部類に入っているかもしれない。だからこそ、人と同じことをやっていてはダメなんです」

 無名なら徹底して自分を磨くしかない。自分の現在地をはっきりと認識し、常に自分に厳しくサッカーに打ち込める。成長するためのメンタリティを持っていた。だが、如何せんそのベースとなる“自信”が足りていなかった。

今も忘れない苦い思い出。

 筆者は「堂々と自分が持っているプレーをすれば良い」と送り出したが、この合宿において、彼はまったく自分を出せないまま終わってしまった。

 合宿最終日にあったヴィッセル神戸との練習試合。その会場は、まだホームズスタジアム神戸という名称だったころのノエビアスタジアム神戸であった。当時を振り返ってみる。

 4-4-2のCBとして出場した昌子だったが、立ち上がりから縮こまったプレーをしているように見えた。時折見せる空中戦やフィジカルコンタクトではプロ相手に張り合ってみせたものの、当時所属していたFW大久保嘉人の動きを捕まえられず、何度も振り切られるシーンが続いた。そのあとも細かいミスが目立ち、失点にも絡んだ。試合は0-1の敗戦。はっきり言うと、散々な出来だった。

 試合後、学生服姿の昌子は落ち込んだ表情をしていた。宇佐美や酒井高徳などの主軸選手に記者が集まる中、誰にも呼び止められないまま、ミックスゾーンの出口付近に待っていた筆者の下まで歩いてきた。

「この経験を大事にします」

「今日の僕……正直、どうでした?」

 筆者は正直に答えた。

「良くなかった。いつもの源ではなかった」

 やっぱりかと言う表情を浮かべ、こう口を開いた。

「初めての代表なので、物凄く緊張しましたし、まったく自分を出せませんでした。普段なら対応できるとこに行けなかったり、思うように身体が動かなかった。悔しいというか、情けないです……」

 しばらく彼と会話をした後、筆者は伝えた。

「最終的にはA代表に入ればいいんだよ」

 すると、昌子は力強く返した。

「はい。この経験を大事にします」

 最後は笑顔を見せて、扉の向こうにあるバスに乗り込んでいった。

チャレンジすることが1番大事。

 9年後のボリビア戦の後、学生服姿の自信なげな表情だった少年が、今はロシアW杯戦士、そして日本代表の主軸として、代表ジャージを身に纏い、同じミックスゾーンで堂々たる受け答えをしている。

 さらにこの試合に出場していた安西ら、後輩について話が及ぶと、彼はこう答えた。

「正直、最初はやや硬いなと思ったのですが、慣れるにつれて乾(貴士)くんへのパス、(中島)翔哉へのパスが多くなったと思う。細かいミスはあって当たり前やと思うし、やっぱりこういう舞台はチャレンジしないともったいない。後悔して欲しくないんです。『こうしておけばよかった』と思っても、もう1度呼んでもらえる保証もない場所なので。試合に出たらチャレンジをすることが1番大事。『次呼ばれるために、安パイなプレーをしよう』と考えるのはもったいないと思うんですよ」

 この言葉を聞いた瞬間、9年前のことについて聞いてみたくなった。

「9年前、ここで話を聞いた時とは全然違うよね」

 すると、昌子はと懐かしそうな表情を浮かべた。

「俺、あれから成長した?」

「U-19あったね。思い出した、思い出した、確かにここだったわ。あの時、自分のプレーにまったく納得できなかったし、そこから呼ばれなくなったことも覚えている。本当に苦い思い出ですよね。

 なんか感慨深いですね。U-19ではあれが最初で最後やったわけで、それが神戸の地というのも、縁というか……。苦い経験として刻まれているし、安藤さんにいわれたことも覚えているもん。プレーが全然あかんかったこともよく覚えているし、嘉人さんにホンマに歯が立たんくて、ボロボロにやられたよね……。俺、あれから成長した?」

 本心を伝えた。

「自分が言うのもおこがましいけど、物凄く、物凄く成長した」

 笑顔を浮かべた昌子はこう続けた。

「代表というのは厳しい目はあるけど、どんどんチャレンジをして、ミスを恐れないでほしい。実際に、U-19の時の俺は、ビビって縮こまってしまっていた……。そういうことを考えると、今日は試合に出て、このスタジアムで『あの時とは違うぞ!』というところを見せつけたかった……。

 今日ここにいた2万数千人の人が知らなくても、1人が分かってくれていて、その人に向けて『あ、成長したな』と思わせるということは、人間として難しいことやと思うんですよね。それが確認できただけでも、今日は凄く大きな価値はあると思う」

反骨心があったからこそ。

 ノエビアスタジアム神戸でのプレーは見ることはできなかったが、9年前と同じ場所での言動、立ち振る舞いだけで、彼の過ごしてきた時間と、あのときの経験の価値は十分に分かった。

 正直、筆者が予想していた姿より、人間的にも、プロサッカー選手としても遥かに上を進んでいる。苦い経験が人を変化させ、逞しく成長させる。その確信を得た瞬間でもあった。

 最後に昌子はこんな言葉を残して、ミックスゾーンを後にした。

「俺のサッカー人生を振り返ると、そんなことばっかなんだよね。U-19もそうだし、オリンピック代表だって1回呼ばれただけ。A代表でもアギーレさんの時はずっと呼ばれていたけど、ハリルさんに呼ばれるまでに間が空いた。“キャップ1”まで3年くらい掛かった……。すべて反骨心でやってきた。だからこそ、それはこれからも変わらないと思う」


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