日刊鹿島アントラーズニュース
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2013年10月31日木曜日
◇Jリーグ、1ステージ制維持の可能性…15年からの新制度に問題点(サッカーキング)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20131030/144833.html
Jリーグは30日、2015シーズンからのJ1リーグ大会フォーマット変更に関する意見交換会を開催。9月のJ1・J2合同実行委員会、Jリーグ理事会で承認した2ステージ制とスーパーステージに問題点があることを明らかにし、大東和美チェアマンは「1ステージ制を採用する可能性はゼロではなくなった」とコメントした。
今回の意見交換会にはJリーグ優勝もしくはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場経験を持つベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、柏レイソル、FC東京、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田、名古屋グランパス、ガンバ大阪、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島の12クラブが参加。主に以下の4項目について話し合いを行った。
1.リーグ戦とポストシーズン制度(スーパーステージ)における問題点の洗い出しと解消方法
2.リーグ戦におけるACL出場権の獲得とJ2降格の決定方法
3.大会フォーマット変更に伴って増える収入の使用用途
4.ピッチ内クオリティーの向上
ここで問題になったのが、1)のリーグ戦とポストシーズン制度における問題点の洗い出しと解消方法だ。
9月のJリーグ理事会では2ステージ制とポストシーズン制の導入こそ承認したものの、詳細部分については今後突き詰めていくこととなっていた。その後、日本プロサッカー選手会(JPFA)との労使協議会で選手側からは「年間順位の尊重」と「フェアな大会方式」を希望され、「年間2位よりステージ2位が重視されることについて違和感がある」という意見も参考にした。また、佐藤寿人選手会長からは「負けたほうが得をするような試合が出てくるような方式は望ましくない」ともコメントされている。こういった経緯を踏まえて詳細を詰めるにあたり、さまざまな状況をシミュレーションしていたところで今回の問題点が見つかった。
問題になったのは、2ステージ制導入に際してポストシーズンに4試合を固定した場合だ。現在の方式では各ステージの1位と2位がスーパーステージに進出し、それぞれたすき掛けで対戦。その勝者同士で試合を行い、勝ち上がったクラブが年間勝ち点1位と激突するため、計4試合が行われることになる。ただし、年間1位と各ステージ上位が重複した場合の大会方法、スーパーステージ参加クラブの決定方法は先送りされていた。
現状のとおりポストシーズンに4試合を固定すると、各ステージ3位以下のクラブを繰り上げて出場させる必要がある。だが、その場合、例えば年間1位を重複させることで繰り上がって出場できるクラブが出てくることにもなりかねない。つまりステージ3位のクラブなどが「わざと負ける」ことで年間1位を確定させて重複クラブを出し、出場枠を空けさせようとするケースが出てくる可能性が生じてしまう。リーグ戦の途中で負けたほうが得になる試合があるとすれば、その大会フォーマットにおいては「決定的な欠陥」(中西大介Jリーグ競技・運営事業部長)となり、選手側の意見と逆行することになってしまう。
Jリーグの露出と収入増加を目指して、各クラブと理事会は2ステージ制とポストシーズン制の導入を決定した。だが、もしポストシーズン制を繰り上げクラブなしで実施した場合、重複したクラブが関連する試合が省略され、ポストシーズンの試合数が減ってしまう。反対に3位以下を繰り上げずに試合数を固定する場合は2ステージ制を導入する必要がなく、誰もがベストな方式だと思っている1ステージ制で年間上位クラブを出場させる方式を採用するべきという声が上がる。
今後のポイントは、以下のどちらを優先すべきかだ。
1.《2ステージ制におけるフェアな大会方式》を優先する場合は、各ステージの3位以下を繰り上げずにポストシーズンの試合数減を受け入れる。
2.《ポストシーズンの試合数固定》を優先する場合は、1ステージ制を導入して出場クラブが重複しないようにする。
理事会ではそもそも2ステージ制とポストシーズン制の導入のみを承認していたが、これはポストシーズンの放映権料や大会スポンサーを確保するために枠組みだけを先行して決定したもの。試合数が減れば試合の放映権料が減り、1ステージ制に戻せば各ステージで“ヤマ”を作って注目を集め、試合中継を増やすという目論見が崩れる。いずれにしても大幅な見直しは必須だ。
決して2ステージ制を取り下げたわけではないが、大東チェアマンは「2ステージ制がベースだが、(今回の問題を受けて)もう一度検証しようということ。1ステージ制を採用する可能性もゼロではない」と説明。中西氏は「理事会に差し戻す勇気を持ってやろうということ。選手やサポーターの声は届いている。改めてインターネット調査を実施しており、その結果は近日中にJリーグ公式サイトにアップする予定。(より良い大会フォーマットを決定するための)プロセスをしっかりと踏みたい。矛盾点は解消していかなければならないが、出てきた課題をクリアするべく前に進んでおり、決して戻っているわけではない。大会フォーマットは年内には固めたいが、一番重要な部分なので時間をかけてしっかりやりたい」と話した。
なお、2.リーグ戦におけるACL出場権の獲得とJ2降格の決定方法については、年間順位によって決定する方向でほぼ意見が一致。これまでと同様に年間上位3クラブがアジアへの挑戦権を獲得し、16位~18位のクラブがJ2へ自動降格する見込みだ。ただし、現状どおりの2ステージ制を導入した場合にステージ2位までに入ったクラブの年間順位が降格圏内となった場合は、ポストシーズンへの出場権を得られないことになることが濃厚となっている。
3.大会フォーマット変更に伴って増える収入の使用用途については、メディア露出の増加にあてるだけでなく、リーグ戦の賞金上乗せなども視野に入れているという。また、新しい大会フォーマットを採用するにあたり、Jリーグから各クラブへの分配金をピッチ上やマーケティングの成果に応じて傾斜配分するという意見も出た。これは横並びの考えから脱却し、各クラブ間の競争意識を高めることにつながるという考え方に基づいたもの。ただし、今回の意見交換会に出場したクラブは上位を争える力を持ったところが大半。J2には分配金が減ることで経営難に陥るクラブが出る可能性もある。本件について大東チェアマンは「時間があるので、じっくり考えていきたい」と慎重な姿勢を示した。
4.ピッチ内クオリティーの向上については、アジア戦略に伴う外国籍選手枠の増加やJリーグ規約42条ルール、いわゆる「ベストメンバー規定」について話し合いが行われたという。
この意見交換会後のメディアブリーフィングでは、報道陣から「迷走しているようにしか見えない」という意見もあがっていた。スポンサー収入の差を見比べつつ、年間勝ち点をどうリスペクトするか。関係各所へのヒアリングと矛盾点を解消しなければ、先へは進めない。大東チェアマン、中西氏ともに「しっかり整理して進めたい」と語ったが、明確なロードマップを描かなければ、混乱を重ねるだけ。メディアを通じて決定までのプロセスを開示することは必要だが、まずはしっかりと問題点と改善方法を整理することが必要となる。
文●青山知雄(Jリーグサッカーキング編集長)
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