今季は、1人の若者が鹿島を飛び出し日本代表でも活躍を見せた1年だった。昨季の9から19に得点数を倍増させた大迫勇也。鹿島の1トップとしてチームを牽引しただけでなく、日本代表でも欧州遠征で見せたオランダ戦の一撃で名を馳せたシーズンとなった。
とはいえ、大迫がその片鱗を見せたのは昨季の途中から。残留争いに巻き込まれたチームの苦境を、その類い希なキープ力で救い、マイナス面を覆い隠す活躍を見せた。それに加えて今季は得点力が開花。押しも押されるエースストライカーへと進化を遂げた。ただ、昨季の柴崎岳、そして今季の大迫と、新たな世代が台頭するのはうれしいことだが、彼らのスペシャルな力に頼ることが多くなっている。6年連続で獲得し続けた国内タイトルは途切れ、リーグ戦は5位に終わった。王座奪還のためにやるべきことはまだまだ多いと感じさせる1年だった。
Text by 田中滋