日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2015年1月24日土曜日

◆【インタビュー】柴崎 岳「目の前のことに全力を注ぎたい」(サッカーキング)


http://www.soccer-king.jp/sk_column/article/273228.html


インタビュー・文=細江克弥 写真=兼子愼一郎

 柴崎岳にとって、2014年は「勝つことの難しさ」を痛感した1年だった。

 鹿島アントラーズはあと一歩のところでタイトルを逃し、リーグ戦は3位でフィニッシュ。チームは無冠に終わり、主軸としてピッチに立ち続けた柴崎も「チーム力が足りなかった」と振り返った。

 しかし、ポジティブな要素がなかったわけではない。若手が台頭するチームは世代交代が着々と進み、何よりも大切な“経験”を着実に積み重ねている。その結果として、来たる新シーズンにはタイトル獲得を狙えるという十分な手応えを得ることができた。

 柴崎自身も、前方への着実な一歩を踏み出した1年だったと言えるだろう。ハビエル・アギーレ体制となった日本代表に定着し、その存在感と期待感は徐々に高まりつつある。

 「一歩一歩ですけど、しっかり階段を上がれているとは思います。今の自分は過去の自分が積み重ねてきたことの集合体であると思うので、そういう意味でも、少しずつ、自分なりに成長することができていると思います」

 自身の“今”についてそう語った彼は、2014年をどう捉え、2015年をどのようにイメージしているのか。独自のサッカー観に迫った。


今シーズンは優勝を狙えるという手応えが十分にある
――2014シーズン、鹿島アントラーズはタイトル獲得に一歩及びませんでした。
「タイトルを取れなかった理由は、細かく挙げればいろいろな要因があると思うんです。でも、それはチーム力が足りなかったということだと思うし、1年間の間に何度か、勝たなければならない重要な試合を落としているので、それが結果につながってしまったことは当然という思いもあります」

――勝たなければいけない試合で勝つことの難しさ。
「はい。1年間を通して戦っていると、自分たちの順位と対戦相手の順位を見た時に、必ず『勝たなければいけない試合』というものが存在すると思うんです。昨年の僕らは、そういう試合で勝つことができなかった。もちろん、年間を通じて最初から最後まで首位にいることが理想ですが、それは簡単なことじゃない。そうではない時に、例えば、順位が近いチームと対戦することがありますよね。そういう試合では、絶対に勝たなければいけないと思います」

――昨シーズンの鹿島は、若い選手の台頭が際立ちました。そうしたポジティブな要素があった中で、「重要な試合で勝ち切るメンタリティー」を作る作業は難しかったのではないかと思います。
「チームとしても、個人としても、若手が成長した1年だったことは間違いないと思います。シーズン開幕当初の戦力としては、リーグでも下のほうだったと思うので。でも、1年間戦った成果として、今年は十分に優勝を狙えるチームに成長したという手応えもあります」

――確かに、昨シーズンは少しずつチームが変わっていった印象がありました。
「そうですね。個人のレベルが上がっていくことでチームのレベルが上がっていく。そういう感覚を持つことができた1年だったと思います。試合を重ねていけば連係も高まっていくので、ほぼ同じメンバーで戦うことのメリットとデメリットはあります。でも、昨シーズンに関してはメリットの部分を多く実感することができました。それまで試合に出ていなかった選手が経験を積めたことは、間違いなく今シーズンに生きると思います」

――個人的な部分での「変化」についてはいかがでしょうか?
「やっぱり、ゴールへの意識は高くなりましたね。それが数字としても表れていますし、そういう意味では、個人的なところだけを見ればポジティブなシーズンだったと思います」



今の自分は、過去の自分が積み重ねてきたことの集合体

――柴崎選手にとって「サッカーがうまくなる」とはどういうことですか?
「サッカーがうまくなる……。そうですね……」

――もしくは、「サッカーがうまい人」の定義。
「やっぱり、『結果を出せる』ということでしょうね。個人競技ではないので、チームを勝たせることができる選手が『良い選手』であり、『サッカーがうまい選手』であると思います。個人としては地道な反復練習をしていくだけだと思うので、その成果をどこで判断するかというと、やっぱり結果を残せるかどうかだけだと思います」

――例えば、一本のスルーパスを通した時に「あ、このパスは今までとは違う視野で出せた」と感じることは?
「それはありません。『この場面だから出せた』と感じるパスはないし、一本のパスによって自分の成長を実感できるということもありません」

――ファンとのツイッターイベントで「悔しかった試合」について全国高校サッカー選手権を挙げられていましたが、当時と比較して、今の自分の成長についてはどのように感じていますか?
「一歩一歩ですけど、しっかり階段を上がれているとは思います。そのツイッターイベントで『基本的にはやりたくないことはやらない』と言いましたが、僕は自分が『違う』と思うことはやらないという考え方でやってきました。その積み重ねでここまできたので、『あの時こうしておけば良かった』と思うことはありません。今の自分は過去の自分が積み重ねてきたことの集合体であると思うので、そういう意味でも、少しずつ、自分なりに成長することができていると思います」

――プレーしている時の感覚は、子供の頃からずっと変わらない?
「いや、やっぱり子供の頃のほうが純粋に楽しめていたとは思います。結果について今ほど意識することなく、プレーすることを楽しめていたと思うので。今はそれとは違う世界でサッカーをやっていますが、でも、それはそれでまた違った楽しみがあるとも感じています」

――日本代表に名を連ねるようになると、自分自身の扱われ方や、周りの騒々しさが変わると思います。そのあたりをストレスに感じることはありませんか?
「それはないですね。自分が今できること、やっていること以上のことはできないので、周りの反応は気になりません。僕は未来のことを具体的にイメージするタイプではないし、先のことは見ません。目の前のことに全力を注ぎたいタイプなので」

――目標は設定しない。
「はい。もちろん、漠然としたイメージみたいなものはあります。でも、それは言葉にできるようなことではありません。だから、例えば『10年後にこうなりたい』という気持ちはない。遠い目標ではなく、近い目標を設定して、そこになるべく早く到達するために一歩一歩積み上げていきたい。そういう感覚でやっています」

履いた時に包み込まれるイメージ



――スパイクについて聞かせてください。
「今回の新しいスパイクは、かなり気に入っています。僕の場合、カラーは黒にこだわっているので、デザインも好きです。それから、履いた時のフィット感がすごく良い。僕のプレースタイルに合ったスパイクだと思うので、履きこなすことを楽しみにしています」

――大切なのはフィット感?
「そうですね。それは大前提だと思います。自分の足にフィットしているということは、自分のプレーを発揮しやすいということだと思うので。フィット感や素材感を含めて、履いた時にしっくりくる感覚があるので、ピッチに立った時にスパイクのことを気にせずにプレーできる。そこがすごく重要だと思います」

――子供の頃からスパイクにはこだわるタイプだったんですか?
「いや、最初はそうでもなかったんですよ。こだわりが強くなったのは、プロになってから。やっぱり、プレーする上で絶対に欠かせない道具の一つなので、こだわることも大切だと思います。履いた時に包み込まれるイメージというか、僕はその部分を大切にしているんですが、このシリーズはバージョンアップするたびにその点が強化されているので、僕自身も新作をいつも楽しみにしています」


Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事