日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2017年2月23日木曜日

◆蔚山現代を圧倒した鹿島。 もはや「韓国コンプレックス」はなくなった(Sportiva)


 Jリーグの開幕に先がけ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の戦いが幕を開けた。

 昨季のJリーグを制し、2年ぶりにアジアのコンペティションに参戦する鹿島アントラーズは、グループステージの初戦で韓国の蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)とホームで対戦。64分にFW金崎夢生がCKを頭で合わせて先制すると、終了間際にもFW鈴木優磨が追加点を奪い、2-0の快勝で幸先のいいスタートを切った。



 3日前のゼロックススーパーカップからスタメン6人を入れ替えた鹿島は、前半こそ相手の粘り強い対応に苦戦。4バック+両サイドハーフまでもが最終ラインに下がってくる蔚山現代の堅い守りをこじ開けられなかった。

 しかし、悪いなかでも結果を出すのが、鹿島というチームなのだろう。状況を打破するために有効なセットプレーを確実にものにすると、前がかりとなった相手の裏を突いて追加点。とりわけ、先制してからの試合運びはまさに「常勝軍団」の名にふさわしいもので、相手が攻撃的な選手を次々に投入するなか、決して動じることなく落ち着いて対応し、チャンスらしいチャンスをほとんど与えなかった。

「前半はうまく合わない部分もあったんですけど、後半になってからはある程度、落ち着いてプレーできたと思います。メンバーを代えたなかでも自分たちのサッカーができているということ、しかも結果が出ているということは、Jリーグに向けてもチームの仕上がり状況はいいと感じました」

 石井正忠監督も手応えを口にするほどの、まさに快勝劇だった。

 なかでも圧倒的な存在感を示したのは、新加入のGKクォン・スンテとMFレオ・シルバのふたり。前者は2度のビッグセーブでピンチをしのぎ、後者は強烈なボール奪取と展開力、さらには先制点につながったCKを奪ったように、豪快な攻め上がりから攻撃に厚みを生み出していた。

「スンテとのコンビネーションは徐々に上がってきている感じはあります。レオは自分たちのところに来るまでにボールを取ってくれるのは助かりますし、攻撃の組み立てもできるので、チームとしてプラスになっていると思います」と、両者に挟まる位置でプレーするCBの植田直通も、新たに加わったふたりの助っ人に早くも絶大な信頼感を置いている。

 もっとも、快勝のなかでも反省を忘れないのが、鹿島というチームである。

「点を獲ってから余裕が生まれましたけど、本当は0-0の状況からもっと自信を持ってやらないといけない。前半から厚みのある攻撃をしていれば、セカンドボールを拾えたりして、もっと楽に試合を運べたはず」

 この日、キャプテンマークを巻いたMF永木亮太は、そう課題を口にし、今後に向けての修正を誓った。

 それでも、難しいとされる大会の初戦で鹿島が危なげない戦いを実現できたのは、彼らが備える伝統の勝負強さに加え、濃密な時間を過ごした昨季末の経験も大きいだろう。「クラブワールドカップを経験しているので、そんなに特別感はなかった」と永木が振り返ったように、重要な一戦においても鹿島の選手たちは平常心で臨めているようだった。

 一方で、この試合では一種の違和感も覚えた。それは日韓のサッカーの立ち位置だ。「韓国コンプレックス」というものは、ひと昔前の話ではあるものの、過去のACLを振り返っても、やはり日本勢は韓国勢に対して苦手意識があったように思う。

 実際に昨年のこの大会では、出場した4チームすべてがグループステージで韓国勢と同居し、対戦成績はサンフレッチェ広島が1勝1敗、ガンバ大阪は1分1敗、浦和レッズも1分1敗、FC東京は2敗という成績だった。浦和はラウンド16でも韓国のFCソウルと対戦し、1勝1敗ながらPK戦の末に敗れている。

 個人的な話をすれば、最近偶然、元日本代表選手にワールドカップのアジア予選に関する話を聞く機会があり、サッカー界における日本にとっての韓国は、やはり特別な存在であることを再認識したばかりだった。

 ところが、この試合で警戒していたのは韓国のほうだった。鹿島のサイド攻撃への対策をしっかりと敷き、自分たちのよさを出すのではなく、相手のよさを出させないサッカーを徹底。それを鹿島がいかにこじ開けていくのかが、この試合の焦点だった。鹿島が先制後に危なげない戦いをできたのは、プランを崩された蔚山現代側が意気消沈したことも影響しているはずだ。

 Jリーグ王者とKリーグ3位のチームという両者の置かれた立場の違いもあるだろうし、現役時代にヴィッセル神戸に所属し、当時の鹿島の強さを知るキム・ドフン監督が指揮官だったことも影響したのかもしれない。あるいは、昨年のクラブワールドカップのインパクトが大きかったのかもしれない。いずれにせよ、既存の「対韓国」の構図はそこにはなく、精神的なイニシアチブを握っていたのは間違いなく鹿島のほうだった。

 爆買いで圧倒的な戦力を擁する中国勢の存在は脅威ではあるものの、過去の優勝回数を見ても、韓国勢を倒さなくてはアジアの頂点に続く道は切り開けない。その意味で鹿島は、この試合で単なる1勝ではない、大きな勝利を手にしたのではないだろうか。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2017/02/22/___split_29/

Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事