斎藤学選手が横浜Mから同じ神奈川県の川崎に移籍しました。横浜Mの絶対的エースの優勝チームへの電撃移籍は、この冬のJリーグの移籍市場における一番のニュースでした。
選手は常に成長することを求められます。「もっと上を目指す」ということは「変わっていかなくてはいけない」ということであり、特に20代半ばを過ぎると、サッカーをしていれば、うまく強くなっていった若い頃と違い、新しく何かを塗り替えていく必要性を常に感じるようになります。
斎藤選手にとっては今回、それが「チームを変える」という選択だったのだと思います。この世界が長くなれば、ライバルチームへの移籍がどのように周囲に受け止められるのかもよくわかっているはずです。それをわかった上での今回の移籍は、それこそが“自分の成長のため”だと感じたのでしょう。
簡単ではなかったはずの移籍の決断の先の、これからの斎藤選手に注目です。
同じ川崎には大久保嘉人選手が出戻りし、鹿島には内田篤人選手が復帰しました。昨年激しく覇権を争った両チームが共に、覚悟をもってチームを選んでくれた選手を加え、今年の上積みとしました。
ブレないチーム作りの上に、覚悟を注入する。移籍市場でも“らしさ”を見せたこの2チームが今年もリーグの主役を演じていくことになるのでしょうか。
移籍市場が落ち着いたと思ったら、もうほとんどのチームがキャンプインしています。今年も興味深い移籍が続きましたが、戦いはこれからです。
どんな移籍も決断自体には正解など存在しません。決まるのはそこからの自分次第であり、結果を正当に評価できるのは未来の自分だけ。
今年も、移籍に始まるドラマの行く末に注目して見ていきたいと思います。(東京ユナイテッド、元日本代表DF)
【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】移籍から始まるドラマに注目