【磯佳奈江インタビュー|Part 2】植田、金崎の退団で「勝ち切れない試合が多い」
「なぜ、山にのぼるのか。山があるから」ならぬ、「なぜ、ボールを蹴るのか。ボールがあるから」――。思わずそんなフレーズを発したくなるほどサッカーに魅了されてきた、大阪を拠点とするアイドルグループ「NMB48」の磯佳奈江さん。独自の目線から注目のサッカー選手を紹介する「いそっぺFC」、自ら大技「ヒールリフト」を実演する動画をSNSで配信するなど、“サッカー通”として活躍の場を広げている。
そんな磯さんは、Jリーグが開幕した1993年生まれで茨城県出身。小さい頃から地元クラブの鹿島アントラーズを家族とともに見届けてきた。今季の鹿島の戦いぶりや歴代ベストイレブンについて訊いてみた。
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――今季の鹿島は連敗が一度しかない反面、連勝も「2」までとリーグ戦で苦戦が続いています。ここまでのチームの戦いぶりをどのように見ていますか?
「正直、何が悪いのか、私も理由が分からず悩んでいます(苦笑)。ただ、今年は下位のチームに勝ち点を落としたり、勝ち切れない試合が多い印象があります」
――植田直通選手がベルギーのセルクル・ブルージュ、金崎夢生選手がサガン鳥栖へ移籍したのが、やはり大きいと感じていますか。
「痛いですね。攻守のバランスは昌子(源)選手と植田選手のCBコンビで持っていたところがありました。今は二人ともいない(編集部・注/昌子は負傷離脱中)ので、チョン・スンヒョン選手、町田(浩樹)選手、犬飼(智也)選手が出ていますが、フィットにはもう少し時間がかかる気がします。植田選手が鹿島からいなくなってしまったのは寂しいですが、海外で世界一最高のCBになってほしいです」
巻き返しのキーマンは三竿健斗「4年後のカタールW杯も期待できる実力者」
――では、磯さんが“救世主”と期待する選手は?
「三竿健斗選手です。ロシア・ワールドカップも最終候補の27人まで選ばれていて、あと一歩のところで涙を呑みましたが、4年後のカタール大会も期待できる実力者だと思います。ボランチもセンターバックも幅広くできるので、今後の巻き返しには絶対に必要だな、と。あと、プレー以外でも、いつも笑顔の姿をよく見かけて。試合前の集合写真でも常に笑っているんです。どんな時でも楽しくサッカーをしているので、見ている私も自然と笑顔にさせてくれます」
――磯さんが考える、今後の巻き返しのプランを教えてください。
「首位との勝ち点差を考えると、これ以上離されるわけにはいきません。試合数が減っていくと正直ハラハラもします(苦笑)。でも、どんな状況でも最後まで諦めないのが鹿島。いつだって本気で、勝利の二文字のために戦っています。選手たちも私たちファンも、絶対に優勝しか見ていないし、2位は目指していません。伝統のジーコ魂が熱く燃え上がることを期待しています」
――鹿島の黄金時代を見届けてきた熱烈な鹿島サポーターの磯さんに今回、鹿島の歴代ベストイレブンを選んで頂きたいと思います。
「先日、三連覇(2007~09年)した時の映像を見返す機会があって、改めて黄金世代だったなと思いにふけりました。素晴らしい選手ばかりなので、11人を“選抜”するのは本当に難しいんですが……(苦笑)」
――まずは守護神からいきましょうか。
「GKはソガさん(曽ヶ端準)一択です。私が小学校低学年の頃から現役を続けているんですよ、凄くないですか!? ずっと鹿島のゴールマウスを守ってきてくれた最後の砦。昔から『大きくて凄い』というイメージがあります」
「小笠原選手とジーコさんはマスト! 増田選手はカッコ良さが滲み出ている(笑)」
――では、DFは? 堅守を伝統とする鹿島だけに、人選は困難を極めそうです。
「そうですね……。小さい頃によく見ていた秋田(豊)さんは、鹿島との最初の思い出があります。父親が言うには、生まれてすぐに連れて行ってもらった練習場でほっぺにチューしてもらったらしくて(笑)。貴重な体験ですよね。三連覇の時のディフェンスリーダーだった岩政(大樹)さんも外せません。現役選手からはぜひ昌子選手を! 昌子選手がいるからこそ、今の鹿島があると思っています」
――中盤はどうでしょう?
「小笠原(満男)選手とジーコさんはマストです! 小笠原選手は寡黙でカッコいい。トラップ一つで『さすが満男さん』ってなりますね。昌子選手とはまた違う安心感を生んでくれるし、空気もピシッと締まります。鹿島に根付くスピリットの伝道者、ジーコさんは神様なので(笑)。14年間、鹿島の10番を背負った本山(雅志)選手も小さい頃から好きでした。柴崎(岳)選手は、クラブワールドカップ(W杯)でレアル・マドリード相手に2ゴールを決めて、世界から注目された選手。バルセロナからも得点していて、冷静でパスも上手い。今年のロシアW杯セネガル戦のキーマンでした。増田(誓志)選手は……、イケメン揃いの鹿島にあってカッコ良さが滲み出ていたので(笑)」
――最後にFWになります。
「攻撃の軸は柳沢(敦)選手です。私は右SBでしたけど、FWへの憧れもありました。兄が13番をつけていたので、同じ13番の柳沢選手を応援するようになりました。プレースタイルも好きでしたね。最後の一人はやっぱり、『半端ない』大迫(勇也)選手で(笑)。ロシアW杯で大迫選手、柴崎選手、昌子選手の“鹿島ライン”を見た時には本当に感激しました。今回は入れられなかったのですが、FWのマルキーニョスさんと鈴木優磨選手、MFの野沢(拓也)選手、DFの新井場(徹)さんも魅力的です。鹿島だからこそこんなに悩むんだ、と思うと本当に楽しかったです!」
(京川舞との友情編へ続く)
[PROFILE]
磯佳奈江(いそ・かなえ)/1993年8月9日生まれ、茨城県出身。2013年、「第1回AKB48グループ ドラフト会議」で、NMB48・チームBIIに1巡目指名を受ける。小さい頃から鹿島アントラーズのスタジアムや練習場に通い、ユニフォームを着て声援を送る筋金入り。Jリーグだけでなく、スペイン1部リーガ・エスパニョーラの番組アシスタントを務めた経験もあるなど、国内外のサッカーに熱視線を送る。