日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年2月16日土曜日

◆総合力の向上を図る鹿島。タイトルに必要なチームの核と若手の成長【J1戦力分析/鹿島編】(GOAL)






サッカーダイジェスト 2019年 2/28号 [雑誌]


2019シーズンの明治安田生命J1リーグが2月22日に開幕する。『Goal』では開幕に合わせてJ1全18クラブの戦力分析を実施。今回はアジア王者としてクラブ20冠目のタイトルを獲得し、今季は9度目のリーグ制覇を目指す鹿島アントラーズを取り上げる。【文=寺野典子】





期待度(A・B・Cの3段階評価)

■シーズンの期待度:B
新生鹿島の成長に対する期待はA

■戦力の期待度:B
離脱者がいなければ、Aに近い





新加入選手

ブエノ(1月9日)
[←徳島/期限付き移籍期間満了により復帰 ]

白崎凌兵(12月29日)
[←清水/完全移籍]

伊藤翔(12/27)
[←横浜FM/完全移籍]

平戸太貴(12/8)
[←町田/期限付き移籍期間満了により復帰]

有馬幸太郎(11/1)
[←鹿島ユース/新加入]

佐々木翔悟(11/1)
[←鹿島ユース/新加入]

関川郁万(5/12)
[←流通経済大学付属柏高校/新加入]

名古新太郎(3/1)
[←順天堂大/新加入]





ポジション別キーマン
■GK
1 クォン・スンテ

サポーターからも「神」と言われるビッグセーブでチームをACL王者へけん引した。高い精度を持つキックでのゴール演出にも期待したい。そして、今年40歳となる曽ヶ端準も健在。ゴールマウス以外でも献身的にチームを支える不動の象徴だ。11年目の川俣慎一郎や2年目の沖悠哉もチャンスに備えている。

DF
2 内田篤人

小笠原満男からキャプテンを受け継いだ内田篤人はやはりキーマン。センターバックは、負傷離脱が続いた昌子源の代わりにコンビを組んだチャン・スンヒョンと犬飼智也にも安定感が生まれてきた。それに続くのが町田浩樹、ブエノか。高卒ルーキー関川郁万の成長にも期待。両サイドバックやサイドハーフと様々なポジションでの仕事を担う安西幸輝は今季もバックアッパーとしての存在価値は大きいが、先発ポジション獲得を目指す。

MF
4 レオ・シルバ

ボランチはレオ・シルバ、2列目は遠藤康、安部裕葵が中心となるか。また、中盤ならどのポジションでも出場可能な永木亮太、高いテクニックとセンスを持つ中村充孝、チームを動かすプレーができる土居聖真、長い離脱から復帰したレアンドロという経験豊富な選手が先発を争う。大卒ルーキーの名古新太郎、育成型期限付き移籍から復帰した平戸太貴という若手は未来の小笠原満男になれるのか?

FW
9 鈴木優磨

鈴木はポストプレーだけでなく、後方からボールを引き出すプレーや守備など多岐にわたる役割をこなす。そのぶん、ペナルティーエリア内に人がいないというケースもあった。昨季は鈴木とセルジーニョの2トップが縦に配置される形もあったが、伊藤翔の加入で、明確な1トップという試合が増えるかもしれない。それでも「得点だけが仕事ではない」という鹿島のFWが担う仕事は変わらない。






予想布陣/戦術を読み解く

60試合を戦った昨季の影響が出たのか、9日のプレシーズンマッチ・水戸ホーリーホック戦(1-0)は、鈴木優磨、三竿健斗、犬飼智也といった中心選手を欠いた状態で迎えた。軽度負傷で安部裕葵や伊藤翔も出場していない。その試合で存在感を示したのは、昨季長期離脱していた中村充孝だ。得点を決めただけでなく、何度も高い位置でボール奪取を見せている。「今年はサイドハーフが9対1の割合でボールを取りに行こうという話もある。前で取れれば相手の陣地、相手のゴールに近づくから」と今季の意識について話した。

「いい守備からいい攻撃というコンセプトは昨季から引き続き持っているし、ボールを持ったときのバリエーション、選択肢も増やしていかなくてはならない」と大岩剛監督も今季のテーマについて語る。しかし、バリエーションを増やすために必要なベースも今はまだ他を圧倒するほど強固とは言えない。ベースとバリエーション作りを同時進行で行い、試合を重ね結果が残すのは容易ではないだろう。

鹿島は良質なポストプレーヤーが育つクラブだが、金崎夢生移籍後は鈴木頼みのような状態が続いた。その鈴木が離脱のなか開幕する今季は、新加入の伊藤がいかにチームに馴染むのかがスタートダッシュのカギを握る。ただ鹿島のFWは仕事が多く、前線でのポジションチェンジも多い。周囲との連係を深めるには時間が必要になる可能性は高い。






3つのポイント/その1:総合力の質

昨シーズンは次々と離脱者が相次ぎ、フィールドプレーヤーで先発ベンチ入り以外はほとんどケガ人という時期すらあった。そういうなかで、過密日程を乗り越えてACLを獲得し、JリーグYBCルヴァンカップ、天皇杯、クラブワールドカップでベスト4入りを果たし、リーグ戦3位という結果を残せたのは、チームの総合力の成果だ。

出場機会の少ない若手も鹿島のサッカーを理解していたことが大きいだろう。しかし、昨季限りで出場機会を求めて鹿島を去った選手も少なくない。ケガ人を出さないということも大きな課題だが、今季加入した経験の浅い若手選手がどこまでチームサッカーを表現できるのか? 高いポテンシャルをいかに引き出せるのか? 総合力の質が問われる。





3つのポイント/その2:内田篤人

昨季、ドイツから帰還し鹿島へ復帰したが、長く戦線を離脱していた内田は、シーズンを戦う身体がまだできていなかった。10月のACL準決勝第1戦・水原三星戦では重要な決勝ゴールを決め、タイトル獲得に貢献したものの、1年間を見れば肉離れなどでコンディションを崩し、リーグ戦出場は12試合にとどまっている。

しかし、出場した試合では、崩れかけた守備陣を落ち着かせるために声をかけたり、身体を張ったプレーで自身が先輩から学んだ「鹿島スピリット」を表現した。何よりそのプレーの質も高く、ドイツで積んだ研鑽を垣間見せる。今季はチームとは離れた形でシーズン前の準備を行い「離脱しない」身体を維持することを目標にしている新キャプテンに注目したい。





3つのポイント/その3:核作り

ACLや国内カップ戦ではその粘り強さを発揮したが、シーズン全体を振り返ると明確な個性を示すことはできなかった。「今はまだチームの自力がない」と内田も語っていた。そして今季開幕を前に「今は活躍すると海外へ移籍してしまうので、チームの核作りが難しい。昔はサッカーを知っている選手がいたから、戦術がどうこうというのがなくても戦えた。でも今は違う。鹿島にはポテンシャルを持っている若い選手がたくさんいるので、ちゃんと型にはまって戦える流れができてくればいい」と話した。

選手個々の能力で導く結果を継続させるには、明確なチームとしての型や核を作っていく必要がある。それが自力となるはずだ。


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