新年を迎え、2019/20シーズンは後半戦へと突入した。欧州各国でプレーする日本人選手たちはどのような活躍を見せたのか。今回はトゥールーズでプレーする昌子源の前半戦を振り返る。(文:編集部)
自身初の海外挑戦で定位置確保
ロシアワールドカップでは日本代表のベスト16進出に大きく貢献。所属していた鹿島アントラーズでも守備の要として活躍し、8年間の在籍で6つのタイトル獲得に貢献するなど、日本を代表するCBとして印象的なパフォーマンスを見せ続けていたDF昌子源。1対1、空中戦、ポジショニングとすべての面で安定感を誇る同選手は、DF吉田麻也に代わる新たな守備リーダーとして、日本代表の未来を背負っていく存在になることが期待されていた。
そんな昌子の自身初となる海外挑戦が決まったのは、2018年12月29日のことだった。獲得を正式に発表したのは、フランス1部のトゥールーズ。地元メディアは移籍金3000万ユーロ(約3億8000万円)の3年契約になると報じている。
昌子の新天地デビューは第21節のニーム戦であった。同選手は3バックの左で先発出場を果たすと、序盤から激しいボディコンタクトを披露。試合中には相手選手と味方選手との小競り合いに割って入り仲裁するなど、デビュー戦ながら堂々とした姿勢を見せた。
試合は1-0でトゥールーズが勝利。昌子はフル出場を果たし、無失点に大きく貢献している。デビュー戦のパフォーマンスとしては申し分なかった。
同試合後、当時の指揮官であったアラン・カサノバ監督はリーグのインタビューで「彼はボールを運ぶのがうまいCBでもある。後方からしっかりとビルドアップできて、守備面でも力強い。運動能力が抜群というわけではないが、守備における本物のリーダーだよ。ワールドカップも経験した国際的な選手だし、彼の加入はチームにとってプラスになるね」とコメントするなど、昌子はさっそく信頼を掴み取った。
続く第22節のアンジェ戦でもフル出場を果たした背番号3は、ここでも再び無失点に貢献。以降もコンスタントにピッチに立ち続けた昌子は、FWキリアン・ムバッペら大物選手とのマッチアップも経験し、着実に力をつけた。結果、昌子は第21節から最終節までのすべての試合で先発フル出場。チームの残留に大きく貢献している。
加入から間もなくしてレギュラーに定着。決して上位を狙えるチームではないが、昌子はフランスで充実した日々を送っていたと言えるだろう。今後の活躍に、ますます期待が懸かっていた。
今季出場はわずか1試合
しかし、迎えた2019/20シーズンは昌子にとって厳しいものとなっている。
日本人DFは、今季開幕前に行われたノリッジとのプレシーズンマッチでハムストリングを負傷。その影響で、開幕からリーグ戦6試合の欠場を余儀なくされた。
その後の第7節・アンジェ戦ではスタメン入りを果たすなど戦列復帰。今季初の出場ながら献身的な守備を見せていた。しかし、昌子は試合中に足首を痛め45分での途中交代を余儀なくされる。試合後のクラブの発表により、2~3週間の離脱を強いられることが明らかとなった。チームも後半に2得点を許し、0-2で敗れている。
昌子が離脱している中、チームも苦しんでいた。リーグ開幕から8試合で勝ち星を得たのは第2節のディジョン戦と第4節のアミアン戦のみ。そして、第9節のボルドー戦で1-3と敗れた後、カサノバ監督との契約を双方合意の下で解除。後任にはアントワーヌ・コンブレア氏が就くことになった。
負傷で離脱していた昌子は、その後順調な回復を見せ、11月にはトレーニングに復帰していた。しかし、悲劇は起きた。日本人CBは、トレーニング中に足首を再負傷。戦列復帰目前で、またも離脱することになった。
12月には、治療に専念するため一時日本に帰国することがクラブの公式サイトで発表されている。前半戦、昌子の出場はリーグ戦わずか1試合のみ。それも、たった45分間である。未だ復帰には至っておらず、厳しい現状だ。
トゥールーズ自体も大苦戦中で、年明けにはコンブレア監督の解任を発表。現在はデニス・ザンコ暫定監督の下で再出発を図っているものの、状況は好転せず。リーグ戦では現在10連敗中と泥沼にハマっており、単独最下位に沈んでいる。
昌子にとって難しい状況が続く2019/20シーズン。まずは怪我の治療に専念し、万全な状態で復帰を果たしてもらいたいところだ。
(文:編集部)
【了】
◆昌子源、19/20前半戦の評価は? 出場1試合の理由とは…チームの成績も散々なものに【欧州日本人中間査定(10)】(フットボールチャンネル)