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苦手意識を植え付けられた94年
5月28日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代最強チーム」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“歴代で最強だと思うチームトップ3”を選んでもらっている。ここでは元日本代表で、現在は群馬のGKコーチを務める小島伸幸氏の“トップ3”を紹介しよう。
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「小島伸幸氏が選ぶ“最強チームトップ3”」
1位:1994年の鹿島アントラーズ
2位:1998年のジュビロ磐田
3位:2019年の横浜F・マリノス
とにかく鹿島は対戦したくないチームナンバーワン。勝っていても負けていても最後まで走り切るし、一つひとつのコンタクトに緩みがない。先に点を取られた時点で、「これは勝つのは難しいぞ」と思わされてしまう。どの時代に戦っても嫌でしたね。
なかでも苦手意識を植え付けられたという意味では、やっぱり初めて対戦した94年のチームが印象深いです。当時僕が在籍していた平塚はこの年にJリーグに参入したんですけど、初対戦時にはアルシンドに2点を決められて、2回目の対戦時にはアルシンドとジーコに2点ずつを決められて……。3戦目こそ勝ったけど、4戦目は最後にステージ優勝をかっさらわれて。もう散々でした。
特にジーコは凄かった。チームに妥協を許さない姿勢を落とし込んだだけじゃなく、秀逸なテクニックで攻撃を操っていました。僕なんてあっさりとFKを決められていますからね(苦笑)。あれは美しい軌道だったなあ……今でも忘れられません。
あとは潰し屋の本田泰人は厄介な選手でした。いつも中盤の良いところにいるから、それ以上先にボールを運べないんですよ。それに長谷川祥之がいて、黒崎比差支(久志)がいて、空中戦では秋田豊が出てきてと、どこからでも点を狙ってくる。とにかくチームとしても、選手個々を見ても、鹿島は嫌なチームでした。
次に嫌だった相手が98年の磐田。ドゥンガ、名波浩、福西崇史、奥大介、藤田俊哉らMF陣は賢さと強さを備え、田中誠、鈴木(秀人)くん、服部年宏らDFは当時若く勢いがあり、ゴン(中山雅史)や高原(直泰)の前線は決定力抜群……今振り返っても恐ろしい。
藤田には本当に手を焼いた
チームを“戦える集団”に変えたドゥンガはやっぱり凄いし、高原のシュートテクニックにも驚かされたんですけど、特に藤田が神出鬼没で煩わしいのよ(笑)。名波とかドゥンガに気を取られていると、スススっと前線に上がってきて、ゴールを狙ってくる。彼には本当に手を焼きました。
平塚と磐田はともに94年にJリーグに上がったチームで、その頃はお互いにライバル視していたんですよ。そんなチームにこの年は目の前でステージ優勝を決められてしまうんです。いやあ、あの時は悔しかったなあ。
最近では昨季の横浜が好印象です。(アンジェ・)ポステコグルー監督が就任したばかりの18年は、カウンターに弱かったり裏を取られやすかったり、すごく脆かった。でも昨年はそれを克服して見事に完成形に仕上げた。
チアゴ・マルチンスのパフォーマンスは素晴らしかったし、なにより攻撃的な姿勢を貫いて相手の攻略を上回ってみせた指揮官の手腕には感服です。正直昨年も開幕前は残留するんじゃないかと予想していたんですけど、見事に覆されました。
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取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)