鹿島アントラーズが、11日の第28節アビスパ福岡戦に完敗した。
残念ながら、負けるべくして負けた印象だ。相馬直樹監督も試合後、完敗を認めた。ボール保持率は鹿島が62%、福岡が38%。福岡は鹿島にボールを持たせても、中をしっかり固め「最後はやらせない」と割り切った戦い方をしていた。さらに速い攻守の切り替えで圧力をかけ、マイボールにするや縦に速い攻撃を仕掛け、したたかに得点した。
鹿島は横浜F・マリノスに快勝した際、低いボール保持率ながら、鋭いカウンターを発動し、鹿島らしい勝ち方で快勝していた。今回、まさに福岡に逆のことをされた。実際、福岡の長谷部茂利監督(50)は試合後に「これまでの鹿島のような戦いができた」と胸を張った。
鹿島はDF犬飼智也(28)と町田浩樹(24)と、2人のセンターバックを負傷で欠き、今夏復帰したDFブエノが初先発。大卒1年目のDF林尚輝(23)とコンビを組んだ。3失点はすべて、鹿島の左サイドを起点にされた。そのうち2失点は、ペナルティーエリア内で相手をフリーにしてシュートを浴びたもの。マークの受け渡しを含め、明らかに守備ラインの連係の隙を突かれていた。
タイトルを重ねていた時から「だれが出ても鹿島」と言われ、メンバーが替わっても芯の通ったぶれない戦い方を続けてきた。それが鹿島の強さだった。今季もルヴァン杯では、ターンオーバーをした中でも1次リーグを突破。だが今回に限っては、ブエノと林の初コンビで、今季24試合に出場している犬飼と町田の穴を埋めるには厳しすぎた。経験値からも責めるのも酷だろう。相馬直樹監督も最終ラインの評価に「準備はしたつもりだったが、むしろ彼らだけの責任ではないと思っている」とかばった。
ホームで痛い黒星となったが、前向きに考えれば、ブエノと林が公式戦の経験値を積んだことで、選手層の厚さにつながる可能性も十分にある。「ピンチをチャンス」に変え、この敗戦を糧に今後の若いセンターバックの奮起に期待したい。【岩田千代巳】
◆負けるべくして負けた鹿島「ピンチをチャンス」に若いDF2人の奮起に期待(ニッカン)