誰も目を合わせてくれず、「俺が蹴るしかないな」。
[J1 8節]鹿島 1–0 京都/2024年4月13日15:00/県立カシマサッカースタジアム
J1リーグ8節、鹿島アントラーズが22歳の大卒ルーキーDF濃野公人のプロ初ゴールで、京都サンガF.C.に1-0の勝利を収めた。チームはリーグ3試合ぶりの白星、ホームでは連勝。首位セレッソ大阪から5ポイント差の6位。
85分の師岡柊生→関川郁万→濃野公人と大きく揺さぶり、カシマスタジアムに大きな歓喜をもたらしたゴール。その起点は、知念慶のコーナーキックからだった。
今季開幕からボランチに起用される知念は、この日も強烈なプレスからボールを奪い切るなど期待される仕事をまっとうした。ただこの試合終盤のチャンス、なぜ、CKのキッカーを担ったのか?
スタジアムも一瞬、キッカーは13番……知念!? という空気も漂った。ベンチからはポポヴィッチ監督が低く抑えるように(落ち着いてと伝えていた?)とゼスチャーで指示を出していた。
そして、そのアウトスイングのパンチのあるキックから、相手に渡りそうになってもチームでボールをつないで濃野弾に結実させた。
このCKの場面、知念によると、自分のところにボールが来たので、キッカーを希望する選手に託そうとした。しかし、誰も目を合わせようとしない。本来キッカーである樋口雄太、土居聖真らは不在。師岡柊生が適任か、と思ったが、視線を逸らされた。
決して、蹴りたいと懇願したわけではない。ただそこは元来ストライカーとあって「俺が蹴るしかないな」と、知念がキッカー役を担ったということだ。
結果的には、そのパワーの乗った弾道が、ゴールまでの道筋を描き出した。ただ、いいキックだったと言われると知念は「いえいえ、誰も行かなかったから……」と顔を赤らめた。
加えてこの日はランコ・ポポヴィッチ監督の狙うクサビのパスを入れていくシーンも目立った。
知念は「ボランチでプレーを始めた時は、まず守備第一でやらなければいけないと考えていて、今は次のステップに入ってきている部分があります。パスを差していき、裏に抜け出した選手を使うことも覚えないといけないし、今日も練習からやってきたことを出せるようになってきています」と、勝利を収めながら着実に進歩を遂げている確かな感触を得ていた。
”ボランチ知念慶”が、また一気にプレーと可能性の幅を広げた。それでも本人は一切満足しておらず、次は強烈なミドル弾あたり……期待して良さそうだ。
◆【鹿島】なぜ知念慶がコーナーキックを蹴った!?京都戦、決勝ゴールをもたらす(サカノワ)