日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年6月22日土曜日

◆「敵とはいえ…」鈴木優磨がアルビレックス新潟に賛辞を送り、松橋力蔵監督が誤解を解く「あ、そうだったんですか」【コラム】(フットボールチャンネル)






 明治安田J1リーグ第18節、鹿島アントラーズ対アルビレックス新潟が16日に行われ、1-1の引き分けに終わった。試合後、新潟の松橋力蔵監督のもとに歩み寄った鹿島FW鈴木優磨は何を伝えたのか。両者の人間性や姿勢が垣間見えるやりとりの内容が明かされた。(取材・文:野本桂子)


主導権を握った前半。アルビレックス新潟らしい先制点


「選手たちと話す中で、昨季のリーグで選手たちが難しいと感じた、本当に強いと感じたというチームが鹿島アントラーズでした。




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その相手に対して、われわれはどこまでできるのか。僕はできると思っています。小手先勝負というよりは、しっかりと自分たちの力をぶつけていくことが、すごく大事だと思います」。J1第18節・鹿島戦の試合前日会見で、新潟の松橋力蔵監督は、そう意気込みを語り、敵地へ向かった。

 鹿島とは昨季リーグで2戦2敗。いずれも前半のうちに、クロスを起点に鈴木優磨と垣田裕暉に1点ずつ決められ、その後は相手の堅守を破れず、0-2で敗れている。

 だが今季は、新潟が主導権を握ることができた。24分、27分には相手の波状攻撃を受けたが、粘り強い守備でゴール前で耐えると、そこからは新潟が保持する時間に。すると43分、自陣でのパス回しで相手を引き付け、その背後にできたスペースを使って攻撃。中央から右、左と相手を揺さぶりながら前進すると、小見洋太が先制点を決める。これまで積み上げてきた、新潟らしい意図的なビルドアップから生まれたゴールだった。


「われわれ(鹿島)の唯一良かったところは…」アルビレックス新潟の成長


 悔やまれるのは後半の入りだ。敵陣に押し込んでいた中で相手スローインになると、素早いリスタートから一気に背後をとられてピンチに。最後は交代出場したばかりの藤井智也にミドルシュートを決められ1-1に追いつかれた。その後はオープンな展開に。前半のシュート本数は互いに5本ずつだったが、後半は新潟が8本で鹿島が3本。より多くのチャンスをつくったが精度を欠き、勝ち点1を分け合う形となった。

 試合後、鹿島のランコ・ポポヴィッチ監督が「われわれの唯一良かったところはそこ(勝ち点1)。あとはすべて相手に内容でも上回られた」とコメントしたことからも、全体的には新潟が主導権を握り、ゲームをコントロールしていたといえる。新潟らしさをまったく出せなかった昨季対戦時と比較すると、チームとしての成長も感じられる内容だった。松橋監督は「いい時間帯が非常に長かったと思います。だからこそ、選手もみんな悔しいと思うんですよね。当然のように勝てるチームにしていかないといけない」と振り返った。

 首位・町田に3-1で快勝した前節に続き、2位・鹿島と力をぶつけ合う好勝負は見ごたえがあった。この試合終了後、松橋監督のもとには、鹿島の鈴木優磨が歩み寄ってきた。


「あ、そうだったんですか。すみません」鈴木優磨と松橋力蔵監督の会話


「彼から話しかけてきてくれたんです。単純に、僕らに対してすごく賛辞を送ってくれました。ああやって、他のチームのところへ来て、素直にゲームに対する自分の気持ちを言ってくれるのって、ちょっとうれしい気持ちになるんですよ。敵とはいえ」。松橋監督にとっては、思いがけないことだった。

 打ち解けたところで、些細な誤解も解いた。56分、鹿島陣内でボールを取り返そうとした奥村仁が、鈴木優磨をファウルで止めた場面のことだ。「僕は、仁に向かって『ファウルで止めるな』と言ったんです。敵陣でファウルして止めてしまうと、ほかの選手が次でボールを取れるチャンスを失ってしまうので」。それを自分に言われたと誤解した鈴木に、何か言い返されていた場面があった。「『あのとき、うちの選手に言ったんだけど、(鈴木に)怒られちゃったからさ』と。そうしたら『あ、そうだったんですか。すみません』って。そんな会話をしました」。

 そのあと、関川郁万も握手を求めにやってきた。松橋監督は千葉県立市原緑高校で、関川は流通経済大付属柏高校で、同じ本田裕一郎監督に師事したご縁から、あいさつに来てくれたという。

 また試合中、松橋監督が鈴木優磨に新潟のウォーターボトルを手渡していた場面は、SNSでも話題となっていた。このことについて別の記者に尋ねられると「別に彼だけじゃなくて、敵のチームでも渡します。非常に暑いですし、連戦ですし、きれいごとに聞こえるかもしれないですけど、彼らのパフォーマンスを引き出す上でも大事な水だと思うんですよね。(パフォーマンスを)落とさせるために水をあげないとか、そういうことは、僕自身はしたくない。逆にそういうことをするのは、自分たちを信じていないということにも繋がるのかなと」。

 さまざまな場面で、お互いサッカー人としてリスペクトし合う姿勢が垣間見えた一戦となった。

(取材・文:野本桂子)


◆「敵とはいえ…」鈴木優磨がアルビレックス新潟に賛辞を送り、松橋力蔵監督が誤解を解く「あ、そうだったんですか」【コラム】(フットボールチャンネル)





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