日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年10月15日火曜日

◆187センチの長身レフティが心のど真ん中に据えるのは「常に感謝」。鹿島ユースDF土橋竜之介は貴重な先制弾で勝利の一翼を担う!(ゲキサカ)

    




「誉や海宏や遥翔を見て、サッカーの部分もそうなんですけど、シンプルに『人としてもプロになるべき人たちだな』ということは感じたので、自分も大学の4年間ではサッカーの部分はもちろんですけど、人としても成長していけたらいいなと思いますし、もちろんサッカーの部分でも武器を磨いていって、プロに近付いていきたいです」


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◆187センチの長身レフティが心のど真ん中に据えるのは「常に感謝」。鹿島ユースDF土橋竜之介は貴重な先制弾で勝利の一翼を担う!(ゲキサカ)






[10.13 プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 0-2 鹿島ユース 東京ガス武蔵野苑多目的グランド]

 この舞台で戦うことが自分たちにもたらす成長は、ここまでの半年近い時間でとにかく強烈に実感してきた。だからこそ、それを後輩たちに一番良い形で残してあげたい。今年のチームを支えるべき3年生として、試合のメンバーに選ばれているプレーヤーとして。

「ここでやれたら絶対に上手くなるというのはもう全員が感じているので、目指すのはもちろん優勝なんですけど、後輩にもずっとプレミアでやらせてあげるというのも目標ですし、鹿島が今後もっと強くなっていくためにも、このプレミアの舞台で戦うことは大事だと思うので、そこに向けて3年生も責任を持って戦えていると思います」。

 恵まれた体躯に抜群のポテンシャルを宿している、鹿島アントラーズユース(茨城)のレフティセンターバック。DF土橋竜之介(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)の今シーズン2点目となる先制弾が、チームに大きな勝点3を力強くもたらした。


「今日は代表組がいないということで、普段あまり出ていない人も出ている中で、監督も『総力戦だ』と言っていて、ここで勝てないと横浜FCに離されるところもあるので、優勝に向けて絶対に勝たないといけないゲームでした」。

 土橋は今節の重要性をそう口にする。プレミアリーグEAST第18節。FC東京U-18(東京)のホームに乗り込む一戦は、U-18日本代表のスペイン遠征に招集されたキャプテンのDF佐藤海宏(3年)、ディフェンスリーダーのDF大川佑梧(2年)、既にJ1でもゴールを決めているFW徳田誉(3年)が欠場。さらに来季のトップチーム昇格が内定しているDF松本遥翔(3年)とチームトップスコアラーのFW吉田湊海(1年)もメンバー外という状況で、大事な90分間を迎えていた。

 ここまで全試合にフル出場を続けてきた佐藤の不在を受け、前節はベンチスタートだった土橋は今季初めてスタートから左サイドバックを任されることに。横に並ぶ左センターバックにはDF元砂晏翔仁ウデンバ(1年)が先発に指名され、右サイドバックにFW長疾風(2年)、右センターバックにDF玉木亜門(3年)が並ぶ、いつもとは異なるディフェンスラインの構成でゲームの幕は上がる。

 前半からやや押し込まれる展開を強いられたものの、鹿島ユースは冷静に対応。いくつか危ないシーンは作られながら、シビアなゾーンでは自由を与えない。「左サイドバックはセンターバックと全然運動量が違うので、少し大変でしたけど、サイドハーフの(小笠原)聖真と協力して、上手く守ることができました。あとは1年のトニ(元砂晏翔仁ウデンバ)がセンターバックとしては初スタメンだったので、うまく亜門とサポートしてあげながら、トニも良いプレーをしてくれたので良かったと思います」(土橋)。試合はお互いにスコアを動かせないまま、終盤の時間帯へと突入していく。

 後半33分。鹿島ユースが右サイドで獲得したCK。MF大貫琉偉(1年)が丁寧に蹴り込んだ軌道へ、187センチの長身が宙を舞う。「自分のマークに付いていたのが永野(修都)でだいぶ強かったんですけど、大貫が良いボールを上げてくれて、最初に触った後に自分は後ろを向いてしまったので、よく状況がわかっていない中で、振り向いたらゴールに入っていました」。

 自らのゴールを確認すると、アップエリアのチームメイトの元へ一直線に走り寄る。「結構押されていた部分もあって、先制点がとにかく欲しい中で決められたので、メッチャ嬉しかったですね。ベンチのみんなと喜べたのも良かったです」。土橋の先制点でリードを手にした鹿島ユースは、45+1分にも再び大貫の右CKから元砂がプレミア初ゴールを記録。「今まで出ていなかった選手も何人か入った中で、粘り強く戦ってくれたと思いますし、そこが勝利に繋がったのも大きいですね」と柳澤敦監督も笑顔を見せた鹿島ユースは、まさに総力を結集する格好で貴重な勝点3をもぎ取ることに成功した。

 中学3年時には年代別代表にも招集されており、もともとその実力を高く評価されていた土橋だが、ユースに昇格してからの2年間はBチームでのプレーも経験するなど、思い描いていたような時間を送るまでには至らなかった。

 柳澤監督は「彼の持っているフィジカル的な部分は申し分ないと思うんですけど、やっぱり少し決定的なミスが失点に繋がってしまうところがあるので、そこをもう少し落ち着いてできればと思いますね」と言及。本人にそのことを尋ねると、「そこは監督にも言われていて、ディフェンスラインに入るんだったらミスは1回もしてはいけないぐらいなので、そういう集中力は自分でも意識しているんですけど、もっと高めていけたらいいなと思います」とのこと。ただ、プレミアの舞台で実戦経験を重ねることで、ウィークも確実に改善には向かっているようだ。

 この日のパフォーマンスには指揮官も「非常に走るスピードもありますし、フィジカル的にも強いので、今日は良かったですね。期待している分、厳しく見ている部分も多いですけど、少しこういう試合を自信に繋げてもらえればと思います」と及第点の評価を口に。安定したパフォーマンスを積み重ねていくほかに、信頼を勝ち獲る方法がないことは土橋が一番よくわかっている。

 トップチームへの昇格が決まった“同級生”からも、小さくない刺激を受けている。それはオフ・ザ・ピッチの部分も含めて。「誉や海宏や遥翔を見て、サッカーの部分もそうなんですけど、シンプルに『人としてもプロになるべき人たちだな』ということは感じたので、自分も大学の4年間ではサッカーの部分はもちろんですけど、人としても成長していけたらいいなと思いますし、もちろんサッカーの部分でも武器を磨いていって、プロに近付いていきたいです」。

 ジュニアユースから慣れ親しんだ、このエンブレムの付いたユニフォームに袖を通すことができるのも、あと2か月あまり。残された時間で自分が為すべきことは、明確過ぎるぐらい明確だ。

「自分はこのクラブで6年間育ててきてもらったので、まずはその感謝の気持ちを忘れずにプレーすることと、この鹿島という伝統あるクラブでプレーすることは当たり前じゃないということを常々感じているので、育ててくれたスタッフや支えてくれた家族に感謝の気持ちを恩返しという形で示したいですし、それをプレーで表現できたらいいなと思います。最後まで全員でプレミア優勝を目指して戦っていきたいですね」。

 短くない時間を過ごしてきたアントラーズアカデミーでの集大成。寄せられる期待に、100パーセントの信頼で応える自分になるための大事な2か月。多くの人たちへの感謝を心のど真ん中にしっかりと据えて、土橋は与えられた場所で、与えられた役割と、真摯に向き合っていく。

(取材・文 土屋雅史)

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