http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/02/12/kiji/K20140212007565630.html
ドイツ2部の1860ミュンヘンに加入したFW大迫勇也(23)が鮮烈デビューを飾った。冬季中断明けでリーグ再開初戦となった10日のホーム・デュッセルドルフ戦に2トップの一角として先発出場。後半18分に左足で先制弾を決めて移籍後初戦で初得点を記録した。試合は1―1で引き分けたが、ザックジャパンのエース候補がW杯イヤーの初戦で最高のスタートを切った。
名刺代わりの一撃だった。0―0の後半18分、大迫がMFシュトッペルカンプのシュートのこぼれ球に反応。はじいたボールを抑えようとするGKより一瞬速く右足を突き出して左にボールを持ち出すと、角度のない位置から倒れ込みながら左足を振った。移籍初ゴール。鹿島時代も09年3月18日のACL1次リーグ・上海申花戦で公式戦初先発初得点を決めていた。大迫は「初戦で取れたのは大きい」と笑った。
鹿島のエースという地位を捨てて1月に加入。ドイツとはいえ2部クラブへの移籍を疑問視する周囲の声もあったが「挑戦しないと成長もない」と揺るがなかった。新天地で結果を出すことが、5年間過ごした古巣への恩返しとなる。鹿島のMF小笠原から「何も考えないぐらいの方がいい」と言われるなど本来は細かいことを気にしない性格。それでも1月7日にチームに合流すると、自ら進んで連日コーチ陣と居残りで戦術確認を行った。必死にチームコンセプトを理解しようとする姿は、日本では見られなかった新たな一面だ。
前半28分にはペナルティーエリア内で倒され、PKかという場面を迎えたが、ノーファウルと判定された。果敢にゴールに迫り、正確なポストプレーなど流れの中でも存在感を発揮。終盤の失点で引き分けに終わり「本当に残念」と悔しがったが「こっちで試合に出ることでFWとしてもっと強くなれると思った。相手を背負った時に重かったし、体が慣れれば余裕を持ってもっと良いプレーをできる。もっと成長できる」と手応えも口にした。W杯で活躍するため、あえて選んだいばらの道。クラブでの定位置を確固たるものにし、代表での成長につなげる意味でも、デビュー弾には1点以上の価値がある。