日刊鹿島アントラーズニュース

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2014年5月21日水曜日

◆内田、支えてくれた人々のために「勝ちたい気持ちは1人のためじゃない」(サンスポ)


http://www.sanspo.com/soccer/news/20140520/jpn14052012000010-n1.html



 今季ブンデスリーガ復帰は叶わなかったものの、12日に発表された2014年ブラジルワールドカップ日本代表メンバー23人に順当に選ばれた内田篤人(シャルケ)。同日に行われた公開記者会見では「クラブでも練習に復帰していないのは23人の中で僕だけ。つねに代表スタッフとは連絡を取っていたし、ドクターやトレーナーもドイツに来てくれて治療してくれたので間に合うと思っていたけど、拾ってもらって助かった」と本音を吐露した。

 前述の通り、ドイツでは全体練習には合流できなかったものの、「リーグ戦があと1~2週間あれば、試合に復帰できていたかもしれない」とも語っていただけに、回復は順調なようだ。

 それを実証したのが、16~19日に東京都内で行われた欧州組自主トレだった。同じくケガでブラジル行きが危ぶまれた長谷部誠(ニュルンベルク)、吉田麻也(サウサンプトン)とともに初日からこのトレーニングに参加した内田は全力疾走を何本も繰り返すなど、機能的には全く問題ない様子。長期離脱の間に体幹を鍛えるトレーニングを入念に行ったことで、上半身もパワーアップ。屈強な肉体を手に入れたという。

 「リハビリ中はJISS(日本スポーツ科学センター)でトレーニングしてましたけど、僕の右太もものケガよりひどい前十字じん帯負傷とか、いろんな選手と一緒になってみんなにパワーをもらいました。ケガをしていいとは思ったことはないけど、ワールドカップ前に日本に戻ってきて1人のスポーツ選手としてリハビリできたのはすごく良かった。自分がアスリートなんだということに向き合えるいい時間だったと思います」と彼はしみじみと口にした。

 JISSには五輪競技のアスリートが数多く出入りし、トレーニングを積んでいるが、サッカー界のように恵まれた環境にない選手も多い。2月のソチ五輪に出場したアルペン競技の選手たちも、普段の遠征では競技会直後に自らハンドルを握って車で移動し、宿泊も相部屋なのが一般的だという。すべての準備やサポートをやってくれるスタッフがいて、超高級ホテルに泊まれるサッカー選手とはかけ離れた環境にいるアスリートも少なくない。そのことを内田も改めて再認識したという。

 「サッカー選手はホントに恵まれてる。お金の面もそうだし、注目してくれる人もいる。自分たちはまだまだ頑張りが足りないのかなと思います。スポーツをしてご飯を食べていく意味がすごく分かりましたね。僕の足を検査してくれて、治してくれて、強くしてくれる人もいるし、そういう人たちのためにもワールドカップで勝ちたい。勝ちたいって気持ちは1人のためじゃないんだなとすごく思います」と彼は多くの人たちの感謝を胸に、ブラジルのピッチに立つ覚悟を固めた。

 現時点では21日から始まる鹿児島・指宿での1次合宿で最初から全体練習に合流するつもりだが、90分間ピッチに立てるのがいつかという保証はまだない。27日の壮行試合・キプロス戦(埼玉)で慣らし運転し、6月2日のコスタリカ戦、6日のザンビア戦(ともにタンパ)で時間を伸ばしていくことになると見られるが、最終的にピークは6月14日の初戦・コートジボワール戦(レシフェ)に持っていけばいい。4年前の南アフリカワールドカップで直前合宿から出遅れ、守備の不安から最終的にメンバーを外された内田だからこそ、今回は何をすればいいか誰よりもよく分かっているはず。焦らずじっくりと取り組んでいくことが得策だ。

 フィジカル能力の高いコートジボワール、高さのあるギリシャ、個のタレント力が高いコロンビアと1次リーグの対戦相手は難敵揃い。ヤヤ・トゥーレ(マンC)のような世界トップクラスの選手もいる。内田はUEFAチャンピオンズリーグを通して、そういう面々と同じピッチで何度も戦ったことのある数少ない日本人選手。昨年のコンフェデレーションズカップ(ブラジル)でネイマール(バルセロナ)と互角のマッチアップを見せたように、その国際経験値はザックジャパンにとって非常に大きい。その自信をピッチ上で示すべく、今はとにかく万全の状態でプレーできるように、心身両面でいい準備をしてほしいものだ。

 文/元川悦子(Goal.com)

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