日刊鹿島アントラーズニュース
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2014年7月19日土曜日
◆内田篤人インタビューVol.2「自分たちのサッカーという言葉が一人歩きした」(ゲキサカ)
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?143323-143323-fl
ブラジルW杯で1分2敗のグループリーグ敗退に終わった日本代表において、孤軍奮闘とも言えるパフォーマンスを見せたのがDF内田篤人だった。ピッチに立つことができなかった南アフリカW杯から4年。ブンデスリーガのシャルケで一回りも二回りも大きくなって挑んだブラジルW杯では全3試合にフル出場したが、チームとして結果を残すことはできなかった。シャルケでの5シーズン目を控え、日本が誇る右サイドバックは今、どんな思いを持っているのか。ゲキサカが直撃インタビュー――。
▼内田篤人インタビューVol.1「ノイアーは自慢の友達」
―南アフリカW杯後からのドイツでの4年間は充実していましたか?
「チャンピオンズリーグももちろんですが、ブンデスリーガでも優勝争いに絡んでくれば、しびれるゲームができますし、国内だけでなく、国外のビッグクラブと渡り合えることで、自分自身の位置づけ、このあたりの順位にいるのだなということが分かります。国際舞台を経験することで分かるものです」
―ドイツに行ってから1対1の守備力が付いたのでは?
「ドイツという環境の中で自然とそうなりました。意識もしていましたが、やはりシャルケというチームが強くしてくれたと思います。4年間やってきたことすべてが、自分に返ってきています。W杯は4年に一回しかないからそう言われますが、僕は毎年が勝負だと思ってやってきました。今さらW杯がどうだったなど言われても、自分の中ではあまり関係ありません」
―ブラジルW杯のベスト8の顔ぶれを見ると、ドイツ以外は日本も対戦したことのあった国で、日本としては成績も悪くなかった。W杯では何が違ったのでしょう。
「親善試合の中には、(欧州から)日本に来て時差ボケの中でやっているチームもあります。日本は欧州から見れば地球の端ですからね。どうしても真剣なゲームにはならない。試合をしていても、本気じゃないと思うことが多々ありました。そういうのを一つ超えて、W杯のようなスイッチが入る大会でグッと力を出せるチームが勝つんですよ。日本人はなんでも一生懸命やろうとするし、練習試合も勝たないといけないと思う。まじめすぎるんです。本気でやってこない相手が多い中で勝って、僕らは喜んでいる。本番で結果を出さないと、何もひっくり返らないんですよ」
―ご自身はまじめ過ぎはしませんか?
「まじめ過ぎはしないですね。ちょっと手を抜いてしまうときも状況によってありますし、外国人寄りかなと思います。ケガもあったし、体調(不良の時期)もあったし、自分の中でセーブしていかないと1年間もたないということがありました。それは自分の弱さなんですが、そういう中で、全部一生懸命やるより、大事なところでしっかり戦えたほうがいいと気づいて、力を抜くようになりました。でも、それもまた力なのだと思っています」
―今回のW杯では日本代表の選手から「自分たちのサッカー」という言葉が何度も出ました。
「『自分たちのサッカー』と言いますけど、普段どおりのサッカーでいいと思うんですよね。言葉が勝手に歩いて行った気がします。そんなんじゃないと思うんですけどね」
―言葉が一人歩きしたとは?
「プレースタイルがあるのは良いと思います。スペインみたいなパス回しとか、アフリカ勢のように前線に体の大きな選手がいたりとか、そういうスタイルがあるのは良いと思うんです。ただ、言い方は難しいのですが、今の日本は他の国のようにできないからパス回しをやっているというような気がするんです。実際、スペインほど僕らはうまくない」
―スタイルを追求することには賛成しているが、違和感もある?
「岡田(武史)さん(元日本代表監督)がそれを打ち出して、チームが『自分たちのサッカーって何だろう』と考えるようになりましたし、(イビチャ・)オシムさん(同)もその前からそれについては言っていました。『日本って何だろう』と考え始めたのはすごく良いと思うんです。だけど、スペインが優勝したら『じゃあスペインみたいなパスサッカー』という消去法で行くのは違うと思うんです」
―答えはどこにありそうですか。
「簡単に答えは出ないと思います。欧州は歴史が違う。100年やってますから。Jリーグができたのは僕が幼稚園のときですから、そこに追いつこうというのは厳しい。ブンデスリーガを見ていても、正直言ってお客さんの数も熱も違う。だから現状では今の差はしょうがないんじゃないですか。実際、W杯のあのピッチの中では、どうにもできなかったんです。状況を変えたくても変えられなかった。だれ一人、状況を打破できる選手はいなかった。日本はレベル的にはまだそういう国なんだと思う」
―日本の特徴をもっと突き詰めて考える作業も必要と感じているのでしょうか。
「でも、勝つためには結局、パスサッカーしかないとも思います。僕らにはアフリカ人のようにデカイ選手はいないですから。僕自身、変な話ですが、アフリカンの血が欲しいなと思っているときがある。でも、それがない。だから、日本人に近い体形であり、すばしっこい技術のあるスペインということになる」
―でも安易に流れたくないという思いもある。
「強い選手が出てきてもいいのにと思うし、パワープレーで行ってもいいと思う。でも、技術のある選手が多いから技術なんだと思う。大きい選手が出てきたらそれはそれだし、パワープレーもある程度は必要なんじゃないかと思うんです」
―スパイクの色はいかがですか?
「シャルケカラーであり、日本代表の青でもあるので、すごく気に入ってます。鹿島の赤も好きなんですけど、シャルケに行ってから青も大好きです」
―新しいスパイクは気に入っていますか?
「かかとにあるグラフィックは、W杯で履いていたバトルグラフィックを踏襲していて、そこがアクセントになっています。気に入っていますよ。僕は、違和感なくしっかりとボールタッチできることを重要視していますが、このスパイクは自分の足に合った、ジャストフィットなスパイクです。それと、ドイツのピッチは水が撒かれていることが多くて濡れやすいのですが、このスパイクはアウトソールがしっかりと芝を噛んでくれるので、90分間上下動して走り抜いてもしっかりと足をサポートしてくれる。そういう意味でケガをしにくいスパイクだとも感じています」
―新シーズンへの抱負は?
「5回目のチャンピオンズリーグで少しでも上にいきたいですね。シャルケがブンデスリーガやカップ戦でも上に行けば盛り上がると思うので、負けないようにしたいです」
―4年後への思いは今の時点でどうでしょう。W杯後には代表引退も視野に入れるという発言もありましたが。
「そのことについては、W杯が始まる前から、終わったら考えるということを代理人と約束していました。それまで自分の中で思いながら続けていたので、あの場でパッと言っちゃえば、次にやるとなったとき、最後まで4年間やるという気持ちになる、自分を追い込めるきっかけになると思ったんです。あそこで発言することは、追い込むにはもってこいだと思いました。発言が広がることも、反響が大きいのも分かっていました。もうハッキリしました」
―ハッキリ4年後を目指すということですか?
「そういうわけではないです。まだ決めていません。代表は呼んでもらって初めてそこからというところですから。新しい監督が決まって、9月に試合がありますよね。そこで答えが出れば出したいと思います」
(取材・文 矢内由美子)
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