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[9.9 キリンチャレンジ杯 日本2-2ベネズエラ 日産ス]
フィニッシュに至るまでの一連の動き、そしてシュート。すべてが絵に描いたような素晴らしいゴールだった。
1-1で迎えた後半22分。この日がA代表デビューとなったMF柴崎岳(鹿島)は中央エリアの左サイド寄りの位置でFW武藤嘉紀とワンツー。武藤にボールを戻すと、今度は右サイドのエリアを外へ膨らみながら駆け上がっていく。そして、左サイドをえぐったFW岡崎慎司からゴール前にクロスが来ると、ファーサイドに走り込んだ柴崎が右ダイレクトでボールを叩き付け、ゴールを決めた。
「味方がDFを引きつけてくれて、良いところにスペースを空けてくれた。パスが通れば打てるタイミングだと思っていた。良いボールが来たので、流し込むだけだった。合宿の練習の成果だと思う」
A代表デビューを果たした選手がその試合でゴールを決めたのは、昨年7月21日の東アジア選手権・中国戦でデビュー弾を記録したFW柿谷曜一朗とFW工藤壮人以来、史上28人目となる。
4-3-3のインサイドハーフでゲームメークを任された。「ボールタッチを多くしながら、ある程度自分の考えているプレーは表現できたかなと思っている。ただ、プレーというよりはまず試合に対する心、スタンスを大事にしたいと思っていた。90分を通してブレずにそれはできたと思う」。この言葉からも分かるように、自己評価としては及第点を自らに与えているのだろう。
前半は相手の勢いに押された部分もあり、チャンスの数が少なかったが、後半は修正を図り、盛り返すことに成功した。
「プレーがある程度ハッキリした分、後半の方が良かったと思う。アクティブに動けたのは後半。チャンスが多かったので後半のほうが良かったと思う」と手応えもにじませる。
インサイドハーフでコンビを組んだMF細貝萌が「岳はもともと前目の選手。岳が気持ち良く上がれるようにバランスを取れればいいと思いながらやっていた」と言うように、周囲のサポートもうまく引き出した背番号7は、「どんな状況でも、自分の判断やプレーを積極的に表現したい」とさらに意欲を高めていた。
(取材・文 矢内由美子)