[4.12 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 F東京U-18 0-1 鹿島ユース アミノバイタルフィールド]
4月12日、高円宮杯プレミアリーグEAST第1節。昨冬のJユースカップ王者・鹿島アントラーズユースは、今季からリーグ復帰を果たしたFC東京U-18と激突することとなった。F東京の本拠地である味の素スタジアムに隣接するアミノバイタルフィールドでの開幕戦は、最初から最後までタフなバトルとなった。
立ち上がり、鹿島の出来はあまり良くなかった。フレッシュな気持ちで試合に入ってきたF東京に対し、受けに回る展開が目立つ。相手のミスに救われるシーンもあり、苦しい流れとなってしまった。DF町田浩樹は「前半は押し込まれるシーンが多くて、良い内容ではありませんでした」と苦笑い。「それでも、失点しなかったことは収穫」と語ったように耐え切ったのはある意味でさすがだったが、鹿島の指揮官は前半の内容に若い選手たちを叱咤する必要を感じていた。
「昨年のJユースカップで優勝してから、メンタリティーの部分は気になっていました。このリーグは本当に力の差がない。初戦なので難しい試合になるのも当然なのに、選手たちには甘さがありました」
熊谷浩二監督はチームに漫然と漂っていた「甘い」空気感をハーフタイムに一喝。出した指示はシンプルなものだったそうで、要するに「やるべきことをやれ」(熊谷監督)ということ。後半のピッチに現れた時点で、選手たちの雰囲気は明らかに変わっていた。
一方、F東京の佐藤一樹監督は、「やはりプレミアは甘くない」と痛感していた。「鹿島の選手たちは競り合いが本当に上手。その部分が徹底して鍛えられている」と語ったように、押し込みながらも局面では鹿島の強さに屈する場面が多く、ゴールは遠かった。
そして迎えた後半17分。鹿島がスローインの流れからハイクロスを放り込む形で先制点が生まれる。長身FW垣田裕暉がF東京GK波多野豪と競って十分なパンチングをさせず、こぼれ球をすかさずMF松浦航洋がヘッドで押し込みに行く。これはゴールライン近くにカバーに入っていたF東京DFに防がれるも、そのこぼれ球はゴール前中央に残っていた垣田の下へ。ワントラップで寄せてきたDFを外した鹿島の新エースは左足ボレーでボールをゴールへ流し込んでみせた。
「我慢していたら攻撃陣が結果を出してくれた」(町田)となれば、次は守備陣の出番。F東京は交代カードを切って攻勢を強めたが、U-18日本代表候補にも名を連ねる町田を核とした鹿島守備陣は崩れない。逆に交代出場のFW色摩雄貴が力強い突破から好機を演出するなど、青赤軍団に試合のペースを握らせず、試合終了の笛をきくこととなった。
「後半に入ってからある程度は良くなった」と、熊谷監督。「もう一度足元を見つめ直させる」と勝って兜の緒を引き締めた鹿島は、プレミアリーグで当たるどのチームにとっても厄介な存在となりそうだ。
[写真]後半17分、鹿島ユース・垣田が決勝ゴール
(取材・文 川端暁彦)