日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年8月3日木曜日

◆鹿島と浦和から見るサッカークラブの運営(財経新聞)

鹿島アントラーズFCを退職する道免弘子さん=鹿嶋市粟生

■浦和のクラブ体質について

 先日、サッカーJ1・浦和レッズのペトロビッチ監督が解任された。ペトロビッチ監督は、もともとサンフレッチェ広島の監督だったのだが、浦和には、この広島から加入した選手が非常に多い。解任前の最後の戦いとなった7月29日の北海道コンサドーレ札幌では、スタメン11人のうち、半数近くの5人がかつて広島に在籍していた経験がある選手だった。そのため、広島に在籍経験がある選手たちは、この解任劇を非常に悲しく、悔しいことだと思っていることだろう。

 しかし浦和レッズの生え抜きの選手と彼らには温度差があるようだ。いくら活躍しても「さらに広島から選手が連れてこられるのではないか」という思いもあれば、引き抜いたからには試合に出さざるを得ない。監督の意向がすべてというわけではないが、かなり監督の要望が応えられているの想像に難くない。

 もちろん、移籍による補強はチームの弱点を補うために行われるものだ。また、新しい選手が加入すれば新たな競争が生まれ、チームの活性化につながるという良い面も大いにあるだろう。そうすることで、ここ数年の浦和は常にリーグ戦では上位の結果を残してきた。

■鹿島というクラブについて

 一方、鹿島アントラーズは浦和の真逆を言っているといってもいいかもしれない。生え抜きを育て上げ、他クラブからの乱獲はしない。若手を評価して試合に出し、若手もそれにこたえる働きを見せる。もちろん監督交代や選手放出はある。しかし単に「成績が悪いから」という理由はあまりないように見受けられる。

 先日、鹿島のチケット販売を25年弱勤めた道免(どうめん)さんが定年退職を迎えたというニュースが流れた。彼女は選手から母親のように慕われてきた。1993年のJリーグ開幕当初からずっとチケット販売を行い、19回ものタイトル奪取を目の当たりにしてきた。彼女の退社には、小笠原選手が「貴重な戦力を失う」という言葉を残した。チケット販売員ですらチームの一員ということを実感させるエピソードである。よくチームを「ファミリー」という人はいるが、まさに鹿島アントラーズファミリーだと言って過言ではないだろう。

 ここ数年の鹿島は若干成績に波があるものの大崩れはせず、昨シーズンは年間1位の浦和を破り、Jリーグ王者に輝いている。

■両チームの監督解任劇

 奇しくもこの両チームは今シーズン半ばで監督交代という決断に迫られた。しかしこの決断に関しての両チームのプロセスは全く異なっている。どちらが正しいということではないが、浦和というチーム、鹿島というチームの気質が現れた交代劇と言ってもいいのではないだろうか。それぞれシーズン半ばから舵取りが変わった両チームだが、シーズン後の監督選びにも注目したいところである。


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