日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年9月16日土曜日

◆【新潟 vs 鹿島】 ウォーミングアップコラム:大武峻が投げた日、その可能性について。(J's GOAL)




「なんで大武に投げさせないんですか? めっちゃ飛ばしますよ」。旧知のディレクターに声を掛けられたのは、NACKでの大宮戦(第22節●0-1)が終わった後だ。何を投げるかというと、ロングスローである。

Jリーグはもちろん、アマチュアまで、番組制作のためだけでなくサッカーの現場に足繁く通い、フィールドワークを重ねてきた彼にとって、福岡大学時代に鳴らした大武峻(写真)の強肩はよく知るところだった。

大宮戦では、チアゴ ガリャルドがロングスローを投げていた。三浦文丈前監督のころからセットプレーのオプションの一つだが、ここまでそこから得点は生まれていない。

その大武が投げた。前節・広島戦、0-0のまま迎えた後半アディショナルタイムに入ろうかというところだ。

最下位の新潟にとって、17位広島との対戦は、是が非でも勝ちたい直接対決だった。最終ラインから急ぎ、広島陣内右サイドのタッチラインまで駆け上がっていったセンターバックの遠投は、中で合わせる味方の動きが足りず、広島の守備にはね返されてしまった。

6月、完全移籍で名古屋から新潟に加入した大武のロングスローが、新しい仲間たちに知られていなかったというのもあるだろう。本人が封印していたわけではないが、「だからといって、自分から監督に“投げさせてください”と直訴するのもおかしな話でしょう?」と、練習でも披露はしていなかった。

広島戦ではプレーが切れて右スローインになったとき、ボールを持った小川佳純に促される形で投げた。「名古屋で一緒だったズミさん(小川)は、僕がロングスローできるのを知っていましたから。“お前が投げろ”、みたいな雰囲気になって」と大武が話せば、小川は「別に誰が投げても良かったけど、大武と目が合って。あいつが投げたそうにしていたので」。

微妙に認識が食い違うが、当事者の数だけ真実はあり、またそのどちらでも良いだろう。いずれにせよ、新潟の選手、スタッフも、サポーターも、そのロングスローが強力なチームのオプションになり得ることを、あのとき目の当たりにしたのだった。

もちろん、本分の守備をおろそかにして、勝ちにはやるわけではない。広島戦は自身が加入して以来、初めて無失点で90分を戦い終えた。勝ち切れなかったのは痛いが、チームとして浮上の足掛かりとすべき成果であるのは間違いない。

今節は、リーグ連覇に向けて加速する鹿島と対峙する。

「コンビネーションで裏を狙う動きだったり、セットプレーだったり、アントラーズは一瞬の隙を突くのが本当にうまい。自分たちのペースで試合を進められていると思っていても、ワンチャンスを決めるし、何気ないミドルシュート、クロスから抜け目なく得点する。ディフェンスラインとして、90分しっかりやらないと」

試合巧者の相手に隙を見せず、時計の針を進めていけば、やがて勝ちに行くべきポイントが訪れるはずだ。再び44番がタッチラインの方へと向かう場面も十分あり得る。そしてこの次は、ボールを持って助走に入る前から、ビッグスワンは大歓声に包まれ、期待に膨らむことになる。今や我々は、彼が投げられることを知っている。

文:大中祐二(新潟担当)


明治安田生命J1リーグ 第26節
9月16日(土)18:00KO デンカS
アルビレックス新潟 vs 鹿島アントラーズ


【新潟 vs 鹿島】 ウォーミングアップコラム:大武峻が投げた日、その可能性について。

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