
日刊鹿島アントラーズニュース
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2018年2月17日土曜日
◆内田篤人「ゲーム、楽しかったよ」 感情を無にした時期を乗り越えて。(Number)

「いい選手が多い。いいチームに来たよ」
2月14日ACLグループリーグ初戦。上海申花との一戦に90分フル出場した内田篤人は、張りのある声でそう答えた。
古巣鹿島アントラーズへの復帰となる移籍が発表されてから1カ月あまりが経った。地元鹿島での始動、新加入会見、宮崎での合宿……。そして練習試合、親善試合とステップを重ねながら、この日の初公式戦を迎えた。
「メディカルチェックでも、篤人だけは特別にけがをした膝や(昨年秋に痛めた)肉離れの箇所を精密検査したけれど、問題はなかった。今、このチームで一番コンディションがいいのは篤人だと思うよ。ずっとシーズン中だったわけだからね。だから、そのあたりの様子を見ながらうまくやっていくはず」
始動前に鹿島の鈴木強化部長が語っていた通り、内田は離脱することなく2月3日の水戸との親善試合でも先発出場している。ACL上海戦は先制点を許したこともあり、内田は敵陣近く高い場所にポジションをとる時間が長かった。
「久しぶりのゲーム、うん、楽しかったよ」
「(敵陣)タッチラインまで行けるというのは、自分が動けているときだから、身体もそんなに重くないなと感じてた。緊張感もプレッシャーというのじゃなかったからね。ヤス(同い年の遠藤康)と久しぶりにコンビも組めるし、嬉しかった。どうせやるなら楽しくやろうと思っていた。久しぶりのゲーム、うん、楽しかったよ」
自身が高いポジションをとることで、相手のサイドの選手を押し込める状況だったこともあったが、内田が攻撃に出たのはゴールを求めた証だったという。同点に追いついたあとも、リスクを背負いながらも逆転を諦めなかった。
「ナオ(植田直通)、ゲン(昌子源)は強いし、ケント(三竿健斗)もボールを拾えるしね。彼らをある程度信頼して、後半は守備を多少サボることもあった。でも、前に行きたかったね。点を獲りたかったからね」
「ユウマ、あいつはいい選手だよ」
そんな内田の元に、長短のパスが集まった。
「(小笠原)満男さんもそうだけど、うちは裏へいいボールを蹴ることができる選手が多いので、タイミングよく走ればチャンスになるなと思っていた。ハーフタイムに言えば、後半には出てくるからね。やっぱり、俺は使われる選手だなって思った。まあ、ユウマ(鈴木優磨)は使っていくけど。あいつはいい選手だよ。目がいい。『点を獲らせてください』っていう目をしているから」
GKの曽ケ端準以外、すべての選手と初めて一緒にピッチに立った内田だったが、組織の一員としての違和感はなかった。もちろん、改善の余地は残されているが、チームのスタイルに合致した「補強」という意味で、不安は感じられない。
それでは、内田個人はどうか?
ドイツ2部ウニオン・ベルリンで昨年秋に出場して以来となる実戦復帰。「思ったよりも全然できた。やっぱりタフさが違う、向こうとは」とその感触について語っている。
サッカーのスタイルや選手のタイプなどの違いがあるため、アジアとドイツとを単純には比較できない。しかし、シーズン途中で加入したウニオンとシーズン前の準備段階から合流している鹿島とでは、現在のほうがチームメイトとの相互理解は深まっているだろう。それが現在の内田にとって、アドバンテージになっている。
90分間戦う姿が、なんとも感慨深い。
90分間戦う内田の姿を見ていると、ドイツでの苦しかった時間は本当はなかったのではないかという錯覚に陥りそうになった(同時に、リハビリしかできなかった時期の彼の姿も思い出したりもしたけれど)。
「全然全然、こんな1試合終わっただけじゃ復帰なんて、言えないから。俺はまだ先、先。Jリーグも開幕していないし、多少筋肉系の怪我は、小さいものを含めてあると思う。そういうのを適当にごまかしながらやっていくんじゃないかな。
でもある程度、どんどん良くなっているなっていう気はする。コンビネーションもそうだし、自分自身も。ゲーム体力、ボールタッチ、クサビを入れるパスだとか……、ある程度戻ってきている。もう少し上下動ができればいいんだけど。まあこれからも波は当然あると思う。
でもここまでは悪くない。体力は後づけでついてくる。これだけ長く休んでいた人はいないと思うから、わからないと思うけど。これから長い間怪我をした人は俺を参考にしてほしい。後づけでついてくるから、我慢我慢」
以前のインタビューで、「あとちょっとで復帰かと思ったら、また痛めてというのを繰り返すなかで、頑張ろうとも思わず、何も考えず、ただ機械的にやるべきことをやり続けるようになっていた」と話した内田。あらゆる感情を無にした日々だったのだろう。
だから、ピッチに戻った彼が口にした「我慢」という言葉の意味がズシンと響いた。
ロッカーでチームメイトにかけた一言。
「攻めても攻めても点が取れないという試合はサッカーではよくある。でも、メチャクチャいいサッカーをしたと思う。絶対にやっていることは間違っていない。自信を持っていい。胸をはっていい」
中国の強豪相手にシュート21本を放つ一方的な展開ながら、同点弾1本しか得点をあげることができなかった鹿島。ホーム初戦で勝ち点3を上げられず、試合後のロッカールームで悔しさをにじませるチームメイトに対して内田はそう言ったという。
その発言の裏にも「我慢」という想いが漂っているのかもしれない。
6月のワールドカップについて繰り返し問われて、内田は2度同じように答えている。
「代表のことはよく聞かれますけど、今、僕は代表に全然入っていないので、今は鹿島で勝ち点を重ねることしか考えていません。鹿島のためにしっかり働きます」
そして、完全復帰と呼べる目途はあるのかと問われると「チームに勝ってほしい。勝ち続けてなんぼだからね。それで自分もチームも波に乗れるのかな」と。
「いい試合だった」と言いながらも、内田の心を占めているのは、やはり、勝利できなかった悔しさなんだなと改めて思った。そして、それを味わえることの喜びも。

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