[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.8 高円宮杯プレミアEAST 浦和ユース0-1鹿島ユース 味スタ西]
ボールが上空を行き来する時間が長かった文字通りの“空中戦”は、2015年王者で昨年4位の鹿島アントラーズに軍配が上がった。試合を動かしたのは、メンバー18人で最も身長の低いFW杉山眞仁(2年)。左からのクロスを「飛び込むのは得意」というダイビングヘッドで豪快に叩き込んだ。
鹿島ユースはともに4-4-2に近い布陣を用いる浦和ユースとの一戦で、互いの長所である『球際』での戦いを選択した。だが、スモールスペースで多くの選手が密集する中、思うようにボールを前進させることができず。相手の3倍以上のシュートを放ちながら、MF前田泰良(3年)のPK失敗もあり、ただただ時間が過ぎていった。
しかし後半34分、ようやく均衡を破る。自陣でボールを持ったDF増崎大虎(3年)がロングフィードを送り、相手のクリアボールは大きく流れて左サイド奥へ。縦に走り抜けた前田がハーフボレーで左足クロスを配給すると、ゴール前に走り込んだ杉山がダイビングヘッドで合わせた。
「クロスからのチャンスが多かったので、良いボールが来ると思っていた」。そう振り返った165cmの小さなストライカーは「ヘディングが好き」(杉山)。決勝ゴールの場面については「良いボールが来たので、決めるだけでした」と笑顔で謙遜したが、低い弾道で来たボールに頭から飛び込む高難度の一撃だった。
浮き球の応酬となる試合では、高身長の選手に分があるのがセオリーだが、空中戦ををためらう様子はなかった。「自分は見ての通り背が高くないですけど、身体を当てれば相手の体勢も崩れる。小さいなりの工夫をすれば苦にならない」。自らの個性と真っ向から向き合い、それを長所に変えていこうとしている。
尊敬する選手は同じく「前から強く行く」という特長を持つFW金崎夢生、FW鈴木優磨といった鹿島の先輩。プロで活躍する身長の低い選手を見習いながら「もっとガタイを良くして、でかい相手でもキープできるようになりたい」と先を見据える。「チームとしては残留が目標。個人としては年間を通して成長して、1点ずつ積み重ねていければ良い」。深紅の元U-15日本代表FWがプレミアリーグの舞台で好スタートを切った。
(取材・文 竹内達也)
[MOM2469]鹿島ユースFW杉山眞仁(2年)_決勝ダイビングヘッド! “空中戦”を制した小さなストライカー