ワールドカップ(W杯)ロシア大会で1次リーグ突破へ快進撃を続ける日本代表。植田直通選手(23)=熊本県宇土市出身=はまだ出場機会がないものの、元気な姿でチームを支えている。地元では後援会を中心に、初めてW杯を経験する郷土の星の活躍を願う。
W杯日本代表メンバーが発表された5月末。父の太実男さん(55)はJ1鹿島のクラブハウスを訪れ、息子を「一つでいい、日本のために何かを残せ」と激励した。息子も「W杯という舞台でしっかりと自分のプレーを皆さんに見せたい」と誓いを新たにした。
父の教育方針が「何でもいいから1番になれ」という熱血一家。その分、応援も熱心だった。「いつも息子と一心同体のつもりで応援しました」。息子が試合でヘディングをすると、父も思わずスタンドで一緒に頭を振っていたという。
そんな父は「サッカーは地域の皆さんが教えてくれた」と感謝する。1993年に「キッズサッカー協議会」が発足した熊本県では、地元住民が子どもたちにサッカーを教える取り組みが浸透。植田選手が通った住吉中も教員2人と外部コーチの計3人で教えるなど、指導体制が整っていた。
小学校でサッカーと同時に取り組んだテコンドーでも全国大会に出場した植田選手のプレーを見て、住吉中の指導者は「キック力とボールをはね返せる力強さがある。センターバックに向いている」と見抜いた。その上でいろんなポジションでも経験を積ませた。
日本代表でもポジションはセンターバック。当時住吉中の監督で、後援会のメンバーでもある田中良典さん(48)は「宇土のみんなで育てた選手。地方の子どもに希望を与えてくれた」と話す。火の国の恩師たちの思いも胸に、28日のポーランド戦でW杯初出場のチャンスを待つ。 (ボルゴグラード末継智章)
=2018/06/28付 西日本新聞朝刊=
W杯初出場目指す植田直通選手 「何でもいいから1番になれ」父の熱血教育