日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年9月19日水曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第2戦(オフィシャル)


三竿健斗 Kento.Misao


AFCチャンピオンズリーグ 準々決勝 第2戦

セルジーニョと安部、土居が決めた!鹿島が天津権健を圧倒、クラブ史上初のACLベスト4!

会場変更、そして台風直撃。幾多もの困難を乗り越えて、鹿島がクラブ史上初のベスト4進出を成し遂げた。AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦。マカオの澳門奧林匹克体育中心運動場にて中国の天津権健と激突すると、13分にセルジーニョ、27分に安部がゴールネットを揺らす。2試合合計4-0と圧倒的優位に立って迎えた後半には、途中出場の土居が豪快な一撃で追加点。3-0で勝利を収め、2試合合計5-0と圧倒して準々決勝を突破した。

鈴木が劇的なヘディングシュートを突き刺し、金曜日の聖地は歓喜に包まれた。9月14日のJ1第26節、湘南を相手に2-1。「課題はたくさんある」と町田が振り返ったように、会心の出来とは言い難い90分だった。それでも、ラストプレーで奈落の底へ突き落とされたアウェイでの雪辱を果たす、後半アディショナルタイムの決勝弾が持つ意味は計り知れない。殊勲の背番号9は「勢いがつくと思う。難しい試合で勝ち切れたことはチームとしてプラスになるので、ACLにつなげていきたい」と引き締まった表情で言葉を紡ぐ。視線は既に、次なる戦いへと向けられていた。

ACL準々決勝、第2戦。9月18日のアウェイゲームは、天津権健の本拠地で開催される予定となっていた。スタッフは会場や設備を視察し、入念な準備を進めてチームの行程を固めていた。しかし、試合開催のわずか15日前に会場変更が決定。予想外の事態となり、現地での視察を急遽実施してスケジュールを組み直した。「国際大会は何が起きるかわからない」。その言葉通り、クラブ全体の対応力が問われる事態となった。

緊急事態に対応すべく準備を進めていく中で、新たな敵が浮上した。台風22号による悪天候だ。フライト欠航の恐れを回避するため、チームはマカオへの移動を一日早めることを決断した。湘南戦を終えたばかりの選手たちは、翌日の早朝に鹿嶋を発って敵地へと向かう。新たなルートは、中国経由でのマカオ行き。長時間移動を経て、無事に到着することができた。

しかし、暴風雨に見舞われる中、到着後2日間は屋外での練習が不可能となった。選手たちはジムでのトレーニングでコンディション調整に努め、集中力を研ぎ澄ましていく。試合前日の公式練習も会場が変更となったが、チームに動揺はない。「このタイトルを獲るために帰ってきた」。不退転の決意を刻んだ内田は「いろいろなことが起きるのが国際大会。こういうことには慣れている」と事も無げに語っている。前日会見では、大岩監督が「チームの士気も上がった状態で来ることができた」と勝利への誓いを言葉に刻んだ。



過酷な状況、湘南戦から中4日で臨む勝負のアウェイゲーム。指揮官は5名の先発変更を断行した。右サイドバックに内田、センターバックに犬飼、左には山本を復帰させ、ボランチの一角にレオ シルバ、前線に鈴木を起用した。その他、ゴールマウスはクォン スンテに託し、センターバックは犬飼とともにチョン スンヒョンが務める。レオとともに三竿健斗がボランチを務め、2列目には安部と遠藤。そして前線では、鈴木とともにセルジーニョがゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、西、町田、安西、永木、小笠原、土居が座る。



台風22号の通過から2日、マカオは青空に恵まれた。周辺では台風の爪痕が残っていたスタジアムも、急ピッチの準備で決戦の舞台を整えた。はるばる敵地まで駆け付けたアントラーズレッドの背番号12が声を張り上げ、ボルテージを高めていく。「みんなの想いとともに俺達も戦う」。思いは一つ、準決勝へ――。



現地時間19時30分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。凹凸が目立つピッチで、立ち上がりに圧力を高めたのは天津権健。少なくとも2得点が必要なホームチームは、両サイド深くへボールを入れて攻勢をかけてきた。開始4分、右サイドからのクロスをニアサイドで逸らされ、アレシャンドレ パトに強烈なボレーを打たれる。枠を捉えた一撃で肝を冷やしたが、スンテがシュートコースに入っていた。正面でボールを処理し、しっかりとキャッチ。いきなり迎えたピンチだったが、守護神が抜群の安定感で無力化してみせた。

立ち上がり10分、鹿島は前線で起点を作れずにリズムを掴めなかった。それでも12分には安部が中盤左サイドで相手のボールを奪う。若武者の粘りから攻撃に転じると、右サイドへの展開から内田、遠藤を経由して右CKを獲得した。この夜最初のチャンス、是が非でもほしい先制点――。願いを叶えたのは、レフティーコンビだった。

13分、遠藤が蹴った右CK。ゴール方向へカーブがかかりながら、鋭いボールがニアサイドへ飛んだ。相手GKの動きをブロックし、落下点を確保したのはセルジーニョ。ヘディングシュートがゴールネットを揺らすと、マカオまで駆け付けたアントラーズレッドが沸騰した。1-0。極めて大きな意味を持つアウェイゴールを刻み、鹿島が2試合合計3-0と圧倒的優位に立った。





願ってもない展開で先制に成功した鹿島は、チーム全員が冷静沈着に時計の針を進めていく。焦りの色を隠せない天津権健の激しいプレスを遭うこととなったが、正確なパス交換と連動した動き出しで守備網をかいくぐった。16分、そして21分に鈴木が鋭いシュートでゴールを脅かすなど、追加点への意欲を体現していった。









主導権を握って攻勢を強めていた鹿島だったが、25分に2度目の大ピンチ。自陣ペナルティーエリア内での混戦から、スンテが弾き出したボールをダイレクトボレーで狙われる。守護神不在のコースへシュートが飛び、枠を捉える絶体絶命の瞬間。しかし、立ちはだかったのは背番号2だった。百戦錬磨の内田が起死回生のシュートブロックを見せ、鹿島を救った。

渾身の守備からわずか2分後、内田は次のスコアを演出してみせる。27分、敵陣右サイドで倒されながらも粘った遠藤からボールを引き取ると、ドリブルで縦へ。冷静に繰り出したグラウンダーのクロス、そこへ待っていたのが安部だった。若武者のシュートは相手DFに当たってコースが変わり、ゴール左隅へ。2-0。2つ目のアウェイゴールを刻み、鹿島が2試合合計4-0とリードを広げた。たたみ掛ける鹿島は直後にも鮮やかなパス交換から遠藤が決定機。ペナルティーエリア右側から左足で狙ったが、相手GKに阻まれてしまった。











突破のためには5得点が必要となった天津権健は激しいタックルを連発し、ファウルの笛が鳴る場面も増えていった。それでも鹿島は集中力を切らすことなく、力強い対人戦で応戦。2-0とリードを保ち、ハーフタイムを迎えた。

残りは45分、鹿島としては4失点さえ喫しなければ突破が決まる状況だった。とはいえ、目指すものはクリーンシート、そしてさらなる得点だ。前半同様に立ち上がりは天津権健がボールポゼッション率を高めたが、連動したプレスと鋭いカバーリングで攻撃の芽を摘んでいく。決定的な縦パスを出させることなく、時計の針を進めていった。2-0のまま、残り30分を切った。















次第にスペースが空き始める中、大岩監督は61分に土居を投入。鈴木に代えて前線へ送り出し、活性化を図る。すると5分後、3度目の歓喜が訪れた。66分、土居がペナルティーエリア右手前からセルジーニョとのワンツーで守備網を突破。迷うことなく左足を振り抜くと、強烈な一撃がゴール左隅へ突き刺さった。3-0。準決勝進出を揺るぎないものとする、決定的なスコアが刻まれた。







ラスト20分は相手のラフプレーも増え、肉弾戦の様相がより色濃いものとなった。鹿島は途中出場の永木や小笠原がミドルゾーンで献身し、攻撃陣は機を見たカウンターで4点目を狙っていく。86分には土居が激しいタックルで削られたが、背番号8は勝利への執念を燃やしてプレーを続行。終盤にはポスト直撃のシュートを打たれた場面もあったものの、チーム一丸でゴールを守り抜き、そしてついにホイッスルを聞いた。3-0、2試合合計5-0。天津権健を圧倒し、クラブ史上初のベスト4進出を成し遂げた。



準決勝は10月3日にホームでの第1戦、そして24日に敵地での第2戦が予定されている。鹿島はまた一つ、壁を打ち砕いてみせた。アジアの頂へと続く道を、一丸で駆け上がる日々は終わらない。

そして次戦は5日後、23日のJ1第27節だ。ACLベスト4を成し遂げた自信と勢いを胸に、チームは明日、鹿嶋へ帰還する。飛行機移動でのアウェイ連戦、今度は札幌での90分。日常と化した過酷なスケジュールは、各大会を勝ち進んでいるからこそでもある。ならば、勝利とともに進むのみ。総力戦で、勝ち点3だけを目指して準備を進めていく。




【この試合のトピックス】
・ACLで初めて準決勝進出を果たした。
・中国のクラブとACLで対戦するのは通算17試合で、10勝3分4敗となった。
・セルジーニョが準々決勝第1戦に続いて、ACLでの2得点目を挙げた。
・安部が加入2年目でACL初得点を挙げた。
・土居が今大会3得点目を挙げた。全てがアウェイでの得点。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


天津権健:パウロ ソウザ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半、天津権健が非常にアグレッシブに戦ってきた中で少し受け身になってしまったが、先制点、追加点と前半のうちに2得点を取れたことが大きかった。しっかりと準備してきたことを90分に渡って出してくれた。選手を非常に評価している。そして、 マカオまで来てくれたサポーターの力があってこその勝利だと思う。非常に感謝している。

Q.クラブ史上初のACLベスト4進出となったが、次のラウンドへ進んだことの意味は?決勝進出、そしてタイトル獲得のチャンスがあるが?

A.ベスト4進出を非常に嬉しく思っている。ただ、我々の目標は優勝。次の準決勝に向けた準備をしていき、その先で結果が付いてくると思う。

Q.ここまで中国の3クラブに勝ってきているが、弱点はどこなのか?そして中国のクラブにアドバイスはあるか?

A.中国のクラブは外国籍選手を中心に、力のあるチームが多い。タイトな試合が多く、非常にリスペクトしている。100%、120%の力で戦わなければ勝てない相手で、ホームでもアウェイでも非常にパワーを使うので、難しい相手になっている。

Q.試合の入り方を重視していたが、先制点を取るまでの戦い方についてどのように考えているか?CK獲得のプレーや2点目に内田選手が絡んでいたが、評価は?

A.試合の入りを非常に重視していたことは事実。ホイッスルが鳴って、天津権健がシステムを変えて臨んできた中、選手が状況を把握して冷静に対応してくれた。少し押し込まれたが、冷静に対応してくれた。内田は経験があるので、相手との駆け引きの中で「出ていくところ、出ていかないところ」の判断をして、チャンスがあれば出ていく。実際にチャンスを得たので評価したい。周りの選手のサポートも忘れてはいけないし、チーム全体で連動していた結果がチャンスにつながり、得点につながり、勝利につながったと感じている。

天津権健:パウロ ソウザ



選手コメント

[試合後]

【三竿 健斗】
立ち上がりのピンチでみんなで体を張って失点をせず、先制点を取れたことが大きかった。アウェイゴールなので非常に大きかった。追加点を前半のうちに取れて、2-0は危険なスコアという中で3点目を取れて、みんなで最後まで戦えた。アウェイまでサポーターの方が来てくれた中で非常にいい試合ができたと思う。

【安部 裕葵】
練習通りの形だった。優磨くんがファーに流れて、相手DFを釣り出してくれてフリーになれたし、いいボールも来た。味方に感謝したい。ピッチ状態はいいとは言えなかったけど、それは相手も同じ。その中でイージーミスもなかったし、集中して戦うことができた。最初は嫌な雰囲気だったけど、セットプレーからセルジーニョが決めてくれて、チームとしてすごく楽になった。

【内田 篤人】
簡単な相手ではないし、第1戦での2-0では全然差がない。先制点を取れて、2点目も取れたから、あのような展開になった。セットプレーで点が取れたのは大きかった。ライン上のクリアは、GKが出た時に空いているコースに入れば、ボールは飛んでくる。パトだから絶対に枠に飛んでくると思った。アシストのパスは久々にマイナスに出した。裕葵がうまく入ってきてくれた。

【遠藤 康】
ベスト4云々というよりも、目の前の試合にまず勝つということを考えていた。相手は3バックだったので、その脇を突いていこうと思っていた。それがいい時間帯での先制点につながったと思う。セットプレーは常にチャンスで、点が入れば楽になる。1点を取ってからだいぶ落ち着いたところもある。セルジーニョがよく入れてくれたと思う。

【犬飼 智也】
引く時やボールに行く時の(意思の)共有がうまくいっていたと思う。一人ひとりがサボることなく、自分の仕事をまっとうした結果。思ったより相手がボールを動かしてきたけど、慌てることなくどこから守備を始めるのかがうまくいっていた。それはよかったと思う。

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第2戦(オフィシャル)

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