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7月9日に都内で開催されたスポーツビジネスのシンポジウムに登壇した経営幹部たち。左からメルカリの小泉文明氏(社長兼COO)、ジャパネットホールディングスの髙田旭人氏(社長兼CEO)、日本コカ・コーラの渡邉和史氏(東京2020オリンピック&エクスペリエンシャルマーケティング統括部長)、楽天の堀弘人氏(グローバルスポンサーシップオフィス ヴァイスオフィスマネージャー )。
「社会貢献としてスポーツチームを持つ」といった動機とはまったく違う、「事業としてのスポーツチームの運営」に関心を示す企業が、この2、3年増えてきている。
これまでもプロ野球のソフトバンク、ディー・エヌ・エー(DeNA)、プロ野球とサッカー・Jリーグでチームを所有する楽天など、IT企業を中心に、スポーツチームの本格的なビジネス立て直しは進んできた。
特に楽天は、所有するサッカー・ヴィッセル神戸への投資を強めている。楽天はテニスの国際大会やNBAチームにも投資している。なぜ、企業はスポーツに投資するのか。
7月上旬、都内でスポーツビジネスに関するシンポジウム「Global Sports Business Conference 2019」が開かれた。そこで語られた内容は、まさにこの「ビジネスとしてのスポーツチーム運営」に挑む企業のリアルな姿勢そのものだった。
(7月30日 17時35分更新)
メルカリは本記事公開後の30日午後、Jリーグ鹿島アントラーズの経営権取得する意向を発表。鹿島アントラーズを運営する鹿島アントラーズ・エフ・シーの発行済株式61.6%を譲り受ける譲渡契約を締結した。「Global Sports Business Conference 2019 」開催時点では同チームにスポンサー参加していたのみだったが、今回の経営権取得の布石として読むと、別の意味あいが浮かび上がる。
スポーツへのスポンサーシップはあくまで手段
オリンピックで1928年のアムステルダム大会からパートナーシップとしてスポンサードしている世界ブランドのコカ・コーラ。スポーツに投資する理由は、あくまでビジネスのためだという。
日本コカ・コーラの渡邉和史氏(東京2020オリンピック&エクスペリエンシャルマーケティング統括部長)は、こう話す。
「スポンサーシップの理念で大事にしているのは目的。『スポンサーシップ=投資』。僕らが1000万円を投資することによって、どんなリターンがあるかをきっちり検証しないといけない。オリンピックの話でいうと、1928年からパートナーシップになった。なぜかというと、アメリカのマーケットが頭打ちだった。オリンピックの各アスリートにコカ・コーラを1本でもサンプリングして、その味を母国に持ち帰ってもらって、ビジネススキームを伝播してもらおうと。僕らにとってスポンサーシップというのはあくまで(ビジネスのための)手段です」
逆に、目的を達成すれば、スポンサーからも降りる可能性があるという。
メルカリはスポーツビジネスをこう見る
メルカリは2017年シーズンから鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーになり、2018年シーズンにはチームの試合ユニフォームのスポンサーにもなっている。同社の小泉文明社長も日本コカ・コーラ渡邉氏と同じく、目的があった。
「(スポンサーになった目的は)短期と長期で考えている。メルカリは20代、30代の女性に強い。一方で30代、40代の男性に極めて弱い。そういうところに刺激を与えたくて、鹿島アントラーズや日本ハムファイターズとスポーツに投資しました。もう一つは私たちは若い会社。会社が若いので、アントラーズのスポンサーをしていくことで、ブランド価値を作っていこうとしました」
一方で、チームの中の当事者としてビジネスにかかわっているのが、ジャパネットホールディングスの髙田旭人氏(社長兼CEO)。2017年、債務超過に陥っていたJリーグのV・ファーレン長崎を引き受けた。旭人氏の実父である高田明氏がチーム運営会社の社長に就任した。実際の経営は旭人氏が指揮をとる。旭人氏はスポーツへの投資を多角的に説明する。
「うちは実は変わっていて、スポンサーでいうとバレーボール、フィギュアスケート、たまにプロ野球もやっている。バレーだと第2セットが終わると、ショッピングが90秒生放送で流れる。だから、第2セットが終わったら皆スタジオでスタンバイしている。全国にそれなりにバレーを見る視聴世帯がいて、15%の視聴率が全国で90秒流れると、一番多い時は1万個くらい商品が売れる。そこの回収ができることが通販の特徴です」
スポーツ大会への外部からスポンサーするのと同時に、前述のように、サッカーチームの運営も行っている。
「債務超過になった時、株主全員が賛同するならやりますと話し、その結果全員が賛同してくれたので、赤字の会社を買うことになりました。今は、長崎にスタジアムアリーナを作ろうとしている。500億円を出すことになっていて、恐らく600億円とか650億円になるかもしれないが、それくらい民間企業が出してやれば、収支が取れるスポーツチームができるんだと示したい。地元自治体の協力もありここまでは比較的順調です」(高田旭人氏)
そこまでサッカーチームに投資する理由には、サッカー自体への関心もさることながら、やはりビジネスとして取り組めることがある、という想いから。また、それまでの、スポンサーに「ユニホームへのスポンサーをお願いします!」と頭を下げるだけの営業で、スポンサーとチームの関係が健全でないことにも疑問を感じたという。
「世界的には収支が合っているサッカーチームはいっぱいあるのに、日本は(収支が)ぎりぎりの経営で苦しんでいる。日本における問題点は、日本ならではの、スポンサーとチームの対等じゃない関係が全てだと思っています。それを正常化させるためには、ジャパネット流の一つ一つ消費者を考えて(問題点を)改善することを、スポーツチームでやっていけばとやっている」(高田旭人氏)
スポーツの場というのは企業理念の体現の場
同じく、スポーツで大型投資をしているのが楽天。特にこの2年のスポーツへの投資は数百億円という規模だ。プロ野球・楽天イーグルスやサッカー・ヴィッセル神戸を所有して、投資をしている。さらに約300億円をかけてFCバルセロナのメインスポンサーになったり、他にもNBAとパートナーシップを組んだり、NBAゴールデンステイト・ウォリアーズ のスポンサーになっている。
特にV神戸では、元スペイン代表のアンドレス・イニエスタを数十億円をかけて獲得したと言われる。ここまでスポーツに投資する背景に、楽天の堀弘人氏(グローバルスポンサーシップオフィス ヴァイスオフィスマネージャー )は、スポーツの持つ価値の大きさだとする。それを日本国内だけでなく海外でも活用できる。
「まず、インターネットビジネスをやる上で、企業、ブランドの名前をシンプルに覚えてもらうために、ブランドビルディングという観点で(2004年からチーム所有を)やり始めました。もう一つは、スポーツの場というのは企業理念の体現の場だと思っている。スポーツの場は人間の感情が動きやすい、影響を与えやすい。楽天は人に活力を与えるといった意味の『エンパワーメント』を大事にしている。また、2年前から(NBAやFCバルセロナなど)グローバルコンテンツに対するスポンサーシップを開始しました。いよいよグローバル企業の一員だと」
東京五輪の権利を買って終わりになっていないか
スポーツへのスポンサード、スポーツチームの経営参画など、スポーツビジネスが活発化している反面、日本コカ・コーラの渡邉氏は、まだ足りないことが多いと指摘する。
「今回の東京五輪で如実に表れた日本の企業の悪いところは、スポンサーシップになるところがゴールになっていること。権利を買って終わりになっている。何のために五輪を使っているのか。欧米企業は(ビジネスの)手段としてスポンサーシップを見ている。そのために、これだけの予算があれば見合って、これだけのコンテンツを買って、アクティベーションにだいたいこれだけのお金を投資をすれば、きちんとしたスポンサーシップができるだろうと計算しているはず。日本企業はマックスで勝っちゃって、いざアクティベーションとなった時に『お金がない』となるのをよく聞く」
アクティベーションというのは、聞き慣れない言葉だが、スポーサードしたコンテンツ(この場合スポーツ大会)を使って、例えば広告宣伝活動だったりイベントを行うこと。登壇者たちの話によると、買ったコンテンツと同額のアクティベーション費用が必要とされる。
1億円でコンテンツを買ったら、1億円のアクティベーション費用が必要で、ここまでを見越している日本企業が意外と少ない、と指摘する。
また、メルカリの小泉社長は、スポンサードする側の立場として、もっとやれることがあるのではないかとも言う。
「アントラーズの試合の、メルカリのスポンサーデーでVRコンテンツを楽しめるハコスコ(紙とプラレンズでできた簡易版のVRゴーグル)を無料で2万個配った。他のスポンサー企業から“よくやりますね”と言われたが、たいした金額ではない。試合前に、みんながハコスコをつけて楽しんでいる光景はなかなかでした。
サッカー観戦って、(客層によっては)必ずしもサッカーを見せないといけないわけではない。その場に何かがあれば、サッカーを見せなくても人が来るのではないか。そこでお金を落とすポイントがあれば良い」
日本は現在、国としてスポーツの産業化を推進している。これまでアマチュアだったスポーツ団体やリーグのプロ化構想も出ている。7月28日には、ラグビーのプロリーグ構想が明かされて話題になった。
当然、実現すればそこには、実業団リーグ以上のビジネスチャンスが広がっている。スポンサーする企業や、あるいはチームの運営に関わる企業が大きな収益を得る可能性も大いにあるはずだ。
(文、写真・大塚淳史)