日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年4月2日木曜日

◆静学のアザール・松村優太。 「18歳でも若いとは言っていられない」(Sportiva)



松村優太 Yuta.Matsumura


くまのこチャップ (ケロちゃんえほん) [ 増田裕子 ]


鹿島アントラーズ・松村優太インタビュー@後編

 鹿島アントラーズに加入した松村優太は、先の全国高校サッカー選手権大会で優勝した静岡学園高校の10番として、たびたび得意のドリブルで決定機を作り出した。

「ボールを持ったら放さない」と言わんばかりのドリブルは、試合を重ねるたびに注目を集め、同校初の単独優勝という快挙の立役者にもなった。

 自身も武器と認識する「スピードとドリブル」は、どのように磨いてきたのだろうか。

「もともと、子どもの頃から足は速かったんです。だから、ドリブルにも自信はありました。でも、ジュニアユースの頃までは、ひとり目をかわしても、ふたり目でボールを取られたりと、そこで終わってしまうことのほうが多かったんです。

 スピードのある選手特有の速さに頼っていただけ、だったかもしれません。でも、静学(静岡学園)で足もとの技術が身についたことによって、何人来てもボールを取られないようなボールタッチの感覚が養われたんだと思います」

 大阪で生まれ育った松村は、日本国内でも個のスキルを磨くことに長けた静岡学園高校に進学。そこで得意のドリブルに磨きがかかった。ただ、”静学”を選んだのは、足もとの技術を学びたいと思っていたからではなかったようだ。

「大阪から外に出たいと思っていたんですよね。中学時代は大阪府の選抜に入っていたわけでもなく、ほかから声がかかるような選手ではなかったんです。

 ただ、アントラーズでも先輩の名古(新太郎)くんが自分と同じ大阪東淀川FCでプレーしていて、自分よりも先に静学に進学していたことが大きかったんです。そうした縁もあって、声をかけてもらって。

 当時の自分はあまり高校サッカーを見る機会もなくて、正直、静学のこともあまり知らなかったくらい。でも、調べてみたら個の能力を主体としたサッカーをしているということがわかった。県外に出たいという思いも強かったので、それもあって静学に行くことにしたんです」

 武器を武器と呼べるまでに飛躍させるのに”静学”という土壌はぴったりだった。

 高校3年間で技術を磨いた松村は、鹿島アントラーズから声をかけられるまでの存在へと成長した。ただ、自身がアントラーズに加入できた理由を聞けば、持ち前のスピードやテクニックではなかった。

「負けたくないんですよね。すごく負けず嫌いなんです。静学でも最初は1年生のチームでも試合に出られなくて。トップチームに上がったのも、同じ学年のなかでは4、5番目くらいだったんです。

 ずっと周りに負けたくないという思いが強かったですし、試合にも負けたくなくて。負けたくない、負けたくない……という思いが続いていて、そうなったら練習しますよね。その積み重ねで今、ここにいることができているんだと思います」

 その思いは、鹿島アントラーズに加入した今も変わらないという。18歳だから、ルーキーだから、試合に出られなくても仕方がない、という考えには至らない。

「18歳だからといって、若いとは言っていられないと思っています。世界を見渡せば、16歳で注目されている選手もいる。それに1カ月後には19歳になるので、10代でいられるのもあと1年しかないんです。

 サッカー選手のひとつの区切りを30歳だと考えたら、あと10年しかない。その期間でどれだけ自分がトップレベルでやっていけるのか。だから、18歳だからといって、若いとは言っていらないですよね。

 それに、ルヴァンカップで退場してしまった関係で、J1の開幕戦は出場停止でしたけど、同期の荒木(遼太郎)はルヴァンカップもJ1の開幕戦も出ている。あいつはプレシーズンマッチでも点を獲っていますし、結果を残しているという意味では、まだまだ自分は劣っていると思います。もちろん、同期に負けたくないという思いもあります。だから、やるしかないんです」

 今シーズンの鹿島アントラーズには松村のほか、東福岡高校からMFの荒木、尚志高校からFWの染野唯月(いつき)、そしてユースからGKの山田大樹が高卒ルーキーとして加入した。

 それぞれユース年代では、名を馳せた選手たちである。鹿島アントラーズのサポーターからは、時代を築いた小笠原満男、中田浩二、本山雅志、曽ケ端準の4人になぞらえ、今後の成長と活躍を期待する声もある。

「同い年なので仲もいいですし、お互いに切磋琢磨していければいいなとは思っていますけど、負けたくないという思いはありますよね。どれくらいの時間がかかるかはわからないですけど、いずれはこの4人でチームを支えていけるくらいになりたい。

 自分が海外に飛び出していくかもしれないですし、誰かが移籍するかもしれないですけど、同じ世代を代表する選手にそれぞれがなっていければと思います」

「海外」というキーワードが出たので、思い描く将来像はあるかと聞いてみた。松村の答えは、こちらの想像とはちょっと違っていた。

「もちろん、海外でプレーしたいとか、日本代表になりたいとか、ワールドカップに出たいという思いはありますけど、最終的には、誰かに憧れられる選手になれたらいいなと思っています。小学生でも、中学生でも、自分のプレーを見て『ああいう選手になりたい』って思ってもらえたらうれしいなって」

 自分もそうした存在がいるのかと聞けば、首を振る。

「自分には、そうした憧れの選手がいなかったので、自分が誰かの憧れになれたらいいなって、なおさら思うんですよね。よく、『誰か目標にしている選手はいますか?』って聞かれるので、そういう時は(エデン・)アザール(レアル・マドリード)って答えていたんですけどね(笑)」

 プレースタイルが似ていることから、高校時代は「静学のアザール」なんてニックネームを拝していた。

「でも、実はそんなにアザールのプレーを見たことがないんです。だから、なんとなくイメージでそう答えていたんです(笑)」

 急に18歳の一面をのぞかせて微笑ましく見ていると、再びプロの顔に戻ってこう言った。

「ただ、憧れてもらうには、プレーの結果ももちろん、サポーターに対しての姿勢も身につけなければいけないと思っています。私生活も見られると思うので、そういったところでも一流にならないといけないと思っています。僕がプレーしていた東淀川FCでプレーしたいとか、静学に入りたいとか思ってもらえるような、そんな選手になりたいんです」

 今シーズンの目標を聞けば、こうも言う。

「ポジション奪取はもちろんですけど、アントラーズは昨季、タイトルを獲れていないので、自分がタイトル獲得に貢献できるような影響力のある選手になりたいと思っています。

 具体的に挙げれば、得点とアシストでともに、ふたケタくらいは目指してやりたい。まだリーグ戦だけで達成できる選手ではないと思っているので、ルヴァンカップ、天皇杯とすべての公式戦を併せて、それくらいの結果が残せたらいいなと」

 自ら具体的な数字を挙げたので、いたずらっぽく「記事に書いてしまうよ」と笑うと、松村は自分に言い聞かせるように強くうなずいた。

「高校時代は個人技で打開することが多く、アントラーズに来てからポゼッション主体というか、システマチックなサッカーに挑戦しているところもあります。守備も攻撃も組織的ではありますけど、ザーゴ監督からは、試合に出た時には仕掛けていいと言ってもらっている。

 監督にも仕掛けるプレーを求められていると思うので、チームのことはやりつつ、やっぱり自分の特徴を出していければと。ひとりで打開することができれば、その分、どこかが空くと思いますし、ボールをつなぐことも大事ですけど、緩急で違いを出せればと思います」

 選手権という大舞台でも席巻したドリブルで勝負する。その武器は、自分自身が研ぎ澄ませてきたものである。アントラーズに加わったスペシャリストが、サイドを駆け上がる光景が待ち遠しい。

【profile】
松村優太(まつむら・ゆうた)
2001年4月13日生まれ、大阪府出身。大阪東淀川FCから静岡学園高校に進学。背番号10番を背負い、チームを同校初の単独優勝に導く。今季から鹿島アントラーズに加入。ポジション=MF。173cm、63kg。


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