8月限りで現役を引退した元日本代表DF内田篤人氏(32)が、11月7日のルヴァン杯決勝、柏-FC東京(国立競技場)を中継するフジテレビ系で解説者デビューする。このほど本紙の取材に応じた同氏は、10月に活動を再開した森保ジャパンを独自の視点で分析。J1鹿島、シャルケ(ドイツ)などで活躍し、W杯で2度メンバー入りした経験を生かし、早速、選手目線で熱く“解説”した。
▼久しぶりに集まり準備期間もなかったカメルーン戦
淡々とした表情で、鋭く切り込む。現役時代のプレースタイルをほうふつさせる内田氏の語り口。8月23日のG大阪戦を最後にスパイクを置いた日本の右サイドバックが、活躍の場をスタジアムの解説席へと広げた。
「素人がピッチで何もできないのと同じ。解説といっても素人。(周りに)頼りながら思っていることをいいたい」
フジテレビ系で中継する11月7日のルヴァン杯決勝で、初のテレビ解説に挑戦する。そのウオーミングアップとして、10月のオランダ遠征で10カ月ぶりに活動を再開した日本代表に言及。こう切り出した。
▼選手の使い分けが分かりやすかったコートジボワール戦
「いまいち。1戦目は特に」
カメルーンに主導権を奪われ、0-0で引き分けた試合。「難しさは分かる。久しぶりに集まったし、準備期間もないから、あのような試合になる」。一方、先発7人を入れ替えたコートジボワール戦は、鹿島の後輩にあたるDF植田直通(セルクル・ブリュージュ)の後半ロスタイム弾で1-0で勝利した。「個人の特徴がはっきりしている選手が多かった。そういう選手の使い分けが分かりやすかった」とうなずいた。
本題のルヴァン杯決勝は柏-FC東京の顔合わせとなった。「両チーム、前線にいい助っ人がいる。彼らがどれだけ爆発するか」と勝負の分かれ目を予想。「実際に戦った相手はまだいるし、選手の気持ちも分かる。そういうところを見ている人に分かってもらいたい」といい、データに頼らず選手目線で語ることを強調した。
「(局に)迷惑をかけてもいいなら、『この選手を代えた方がいい』というくらいでやる」と真剣な表情を浮かべ、辛口解説で知られるセルジオ越後氏(75)に対しても「自分の中では普通。あの人は当たり前のことをいっている」と共感を示した。熱いウッチー節で、決戦を盛り上げる。(一色伸裕)
■日本協会でU-19代表を指導する内田氏
内田氏は現在、日本協会で若年層の強化や普及活動に携わる「ロールモデルコーチ」としてU-19(19歳以下)代表を指導。「教えるよりもアドバイスするイメージ。『こうした方がいいよ』というより、『俺ならこうする』と伝えている」と近況を明かした。また、J1で首位を独走する川崎については「強い。大卒を即戦力とし、ポゼッションサッカーが生きている。どんどん点を取りにいき、引き分け狙いがない」と分析した。
■フジ系で中継 「クレバーなコメント期待」
内田氏が出演するルヴァン杯決勝の中継は7日午後1時から。実況は西岡孝洋アナウンサー(44)、解説を元日本代表DF坪井慶介氏(41)が務める。植村敦チーフプロデューサーは内田氏の起用理由を「現役時代のプレー同様、クレバーで的確なコメントに期待してオファーをさせていただいた」と説明した。
生中継の司会はジョン・カビラ(61)と鈴木唯アナ(26)が担当。副音声で、帝京高サッカー部出身のカリスマホスト、ローランド(28)と浦和、神戸などで活躍した元Jリーガーの那須大亮氏(39)が出演する。
31日には「ルヴァンカップ決勝まであと7日!初解説・内田篤人とファイナルを楽しもうSP」(深夜1・45)を放送。内田氏の一日に密着するほか、同氏が準決勝を鋭く分析する。