日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年11月19日木曜日

◆英国人が見たメキシコ戦。「鹿島か火星か。何が起きているのか…」「日本代表はこの何十年間…」(フットボールチャンネル)






日本代表は現地時間17日、国際親善試合でメキシコ代表と対戦し、0-2で敗れた。この試合中、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。(語り手:ショーン・キャロル)


「伊東純也はインパクトを残している」


――本日もよろしくお願いします! 日本代表はパナマ戦から9人を替えてきました。


「選手たちは4-2-3-1に慣れているので、今日の方が攻撃は機能するんじゃないかと思います」

「でもパナマと同じく、簡単な相手ではないね」

――立ち上がりから日本代表のボールホルダーに対して、メキシコの選手は激しく寄せていきます。

「酒井宏樹へのプレーは少し心配ですね。大丈夫かな」

「立ち上がりは少し押し込まれているが、今日は右サイドに注目したいです。攻撃的には機能すると思う」

――今日は原口元気、伊東純也、鈴木武蔵と、スピードのある選手が起用されました。

「森保一監督は、メキシコの方が攻める時間が長いと思っているのかな。背後を狙うカウンターで彼らを活かしたいのでしょう」

――日本代表はパナマ戦とは対照的に前半からチャンスを作っていますね。

「伊東はインパクトを残している。彼はもともといい選手でしたが、ヨーロッパに移籍してからも本当に成長している」

――原口のミドルシュートは相手GKに阻まれました。

「原口も同じですね。ただ、原口のプレースタイルは若いころに比べて少し変わりました。10代のときは自由にドリブルする印象がありました。でも、今はちゃんと考えてチームのために働く、非常にいい選手だと思います」

――原口のラストパスから決定機が生まれましたが、鈴木は決めることができません。

「GKのナイスセーブでしたが、武蔵は決めたいですね。でも、チャンスを作っているのはいいことです」


「前半の日本代表は完璧に近い。足りないのは…」


――パナマ戦に比べて前半の攻撃はうまくいっているように見えます。

「試合前の予想通り、選手はやっぱり4-2-3-1の方が気楽にできているみたいです」

「でも、あのようなチャンスを作りながら得点できていないのは心配ですね。今は日本代表の時間帯ですが、メキシコの時間帯は必ず来ます」

「日本代表は伊東と原口がワイドから前に攻めていきたいね。あの2人は攻撃の起点になっている」

――特に伊東はDFラインの裏を狙うプレーが多いですね。

「相手にとって非常に嫌な選手だと思います」

――と言った矢先、伊東へのファウルでヘスス・ガジャルドにイエローカードが与えられました。

「やっぱり。フラストレーション……」

「前半の日本代表は完璧に近い。足りないのは得点だけ」

「遠藤航と柴崎岳はいい仕事をしています。2人ともボールの扱いが非常にいいし、メキシコの攻撃を防げている。さっきの(遠藤の)ファウルもよかった。あのようなマリーシアは必要」

――前半はチャンスを作りながらも無得点に終わりました。ボックス内に侵入するところまではいいのですが……。

「それはこの何十年間の日本代表の紹介ですね(笑)」

――強いチームに“いい試合”をしながら、一発のピンチから失点して敗れるというのはこれまでもありました。

「だからこそ、主導権を握っているときに必ずゴールを奪わなければいけない。後半はメキシコもいいパフォーマンスを見せてくると思うので、どうなるかな……」


「これが今日の試合の総括です」


――後半が始まりました。

「少しずつメキシコのペースになってしまっているね」

――57分に鈴木と柴崎が下がり、南野拓実と橋本拳人が入ります。

「橋本はロシアでいいスタートを切ったので、見てみたいですね」

「それにしても、ピッチがあまり見えない(笑)」

――霧がすごいです。GKは大変ですね。

「見ている僕らも大変です(笑)」

――前半とは対照的な展開で、メキシコがゴールに近づいています。

「そうですね。やはり、自分たちの時間帯で得点を奪わなければ、ゲームは難しくなります」

――63分に失点しました。

「後半はメキシコペース。チャンスをいくつも作っていたので……」

――そして、5分後に再び失点……。吉田麻也が裏を取られました。

「日本代表がチャンスを決めきれなかった一方で、メキシコは必ず決めます。これが今日の試合の総括です。まだ早いですけど(笑)」

――これがワールドカップ7大会連続ベスト16の実力でしょうか。3日前の韓国戦でも4分間で3点を決めていました。

「メキシコの実力もあるけど、日本代表が前半のチャンスを活かしていたらこういう流れにはなっていない。このレベルの相手には、チャンスがあるときに決めきれなければいけません」


「メキシコから学ぶことが結構ある」


――原口に代わって久保建英が入ります。変化に期待したいです。

「久保、頼みます! でも時間は少なくなってきているし、メキシコは守りに入ると思うので、簡単に崩せるわけはないね」

「メキシコは必ずゲームマネジメントをしてくると思うし、日本代表が終盤に得点するのは非常に難しい」

――ボールを見失ってしまいますね。ここはカシマスタジアムではないですよね(笑)。

「鹿島か火星か。何が起きているのか、誰がどこにいるのか分かりません」

「後半はメキシコが完全にコントロールしています。日本は前半と後半で別にチームみたい」

――試合は0-2で終わりました。

「吉田のコメントに同意です。メキシコから学ぶことが結構ありますね」


※吉田麻也の試合後のコメント


「一番大事なのは、チャンスがあるときに絶対にものにしないといけないことですね。サッカーは主導権を握れるときもあるけど、90分ずっとできるわけじゃない」

――チャンスをものにするというのは個人問題というのが大きいですか?

「試合全体を見ると、両チームともにいい時間帯はあったが、決めるべきところでメキシコの選手が仕事をしました」

――これで日本代表の年内の試合は終わりました。アジア予選は3月に再開される予定です。

「次の試合まで4か月あるから、今日習った教訓が残るかどうか……」

――時間が空くのでクラブでの活躍が重要ですね。

「その通りです。アジア予選のときはクラブでの活躍の方が大事なので、全員が伊東や原口のようなパフォーマンスを目指してほしい」

――今日はありがとうございました!

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

【了】


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