日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年4月7日水曜日

◆伝統の勝負強さはどこへ… “優勝候補”鹿島、2年連続スタートダッシュ失敗の誤算(FOOTBALLZONE)






【識者コラム】浦和に1-2で敗れ今季4敗目、ポゼッション追求も相手の守備に苦しみ完敗


 スタートダッシュに失敗した元アジア王者同士が代表ウィーク中断明けに顔を合わせたが、内容は好対照を成した。

 ホームで会心の試合を見せた浦和レッズに対し、鹿島アントラーズのザーゴ監督は「就任以来最悪の試合」と評した。両チームともに現監督招聘の狙いは同じで、ポゼッションを高めて主導するゲーム作りを目指している。

 鹿島のザーゴ監督は昨年就任すると、堅守を基盤に勝負強さを貫く伝統を覆す哲学を浸透させるのに苦労した。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフでは敗戦し、Jリーグでも開幕から4連敗と過去に例を見ないどん底状態に陥った。それでも途中からは見違えるように修正し5位でフィニッシュ。終盤にACLの出場権争いで競り負けたあたりは、偉大な歴史との違和感を覚えたが、研磨が見込める2年目は上位戦線に食い込むという見方が大勢を占めていた。

 確かに開幕からザーゴ監督の色は表現できていた。ホームでの4試合はすべて相手をポゼッションで上回り、開幕からの3戦は600本以上のパスを繋ぎ、相手を300本台に抑えて20本以上のシュートを放っている。だが浦和戦では、自陣で浦和の厳しく活発な守備に苦しみ「ボランチの後ろを活用され」(ザーゴ監督)、センターバック(CB)が食いつけば裏を突かれるなど再三ピンチを招き、内容は完敗だった。

 一方、浦和はアンカーに起用された柴戸海が両CBの間に降りてビルドアップの起点となり両サイドバック(SB)を高い位置に押し出すとともに、前線では5人の選手たちが流動的に動き、“偽1トップ”的な武藤雄樹が1列降りてボールを引き出せば開けたスペースへ2列目からMFが飛び出した。

 先制シーンは、決めた明本考浩が「チームにとってもいいゴール」と振り返るように、左一杯に広がった位置から小泉佳穂がサイドチェンジし、右SBに入った西大伍が裏へ抜けていく明本へ正確にアシストした。裏返せば、序盤から自陣に押し込められていた鹿島は、小泉、西、明本と3人に余裕を持ってボールを蹴らせている。その後も浦和は前がかりにボールを奪いに出てショートカウンターを狙い、スペースを見つけて活用し続けたので、むしろ1点差に止まったのが誤算というべき試合だった。


ポゼッション型はクラブや指揮官に確固たる信念がないと浸透させるのは難しい


 鹿島はディフェンスラインの組み換えが大きな誤算となった。CBは過去5戦スタメンを続けてきた犬飼智也が不在で、ここまで唯一ポゼッションで下回り敗戦したアビスパ福岡戦と同じく関川郁万と町田浩樹がコンビを組み、右SBも常本佳吾が初スタメン。攻守に判断や技術的なミスが重なり、連動した攻撃を組み立てるまでに至らず、孤軍奮闘のエヴェラウドの苛立ちを誘因することになった。おそらく戦術の機能ぶりからしても、対戦相手のスカウティング段階から浦和の圧勝だった。

 川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、北海道コンサドーレ札幌、戦力を考えれば大健闘を続ける大分トリニータなど、ポゼッション型はクラブ、あるいは指揮官に確固たる信念がないと浸透させるのは難しい。戦力との相性もあるし、精度が高まらなければ逆に勝負弱さを招くリスクもある。実際ジュビロ磐田と覇権を争っていた頃の鹿島は、「何本パスを繋がれても抑えるべきところを抑えれば問題ない」(秋田豊氏)と、敢えて相手にボールを持たせても勝ち切るしたたかさがあった。

 しかし今季は、ポゼッション62%を占めた名古屋グランパス戦も0-1で敗れている。今年就任したばかりの浦和のリカルド・ロドリゲス監督と比べても、ザーゴ監督のチーム作りが遅れていることは明白だ。昨年クラブは予想以上の我慢強さでザーゴ監督を信頼したが、そろそろなんらかの抜本的なテコ入れを検討するべき時期が近づいているのかもしれない。


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