日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年2月21日月曜日

◆琉球MF武沢一翔が堂々開幕Jデビュー「昨日の夜は全然寝れなくて…」指揮官も“鹿島の先輩”も称賛(ゲキサカ)






[2.20 J2第1節 町田0-0琉球 Gスタ]

 東京学芸大出身のFC琉球MF武沢一翔が、J2開幕節で堂々たるJリーグデビューを果たした。ボランチの一角でフル出場した22歳は攻守に高い連動性を発揮。強敵FC町田ゼルビアとのアウェーゲームでの勝ち点奪取に大きく貢献した。

 1999年生まれの武沢は鹿島アントラーズの育成組織出身のボランチ。昨季は大学在学中ながらもFC琉球の練習生としてエリートリーグに参加し、一足先にプロの舞台を踏んだ。そうして迎えた今季はキャンプからアピールを続け、喜名哲裕監督の信頼を獲得。「運動量が多く、攻守にアグレッシブに動けて、後ろよりも前に選択肢が持てる。トレーニングの姿勢も非常に良く、新人だけど周りに影響力をもたらせる選手」という高い評価を受け、栄えある開幕スタメンの座を勝ち取った。

 開幕戦でのJリーグデビューを控え、「昨日の夜は全然寝れなくて、緊張感は正直あった」という武沢。それでもピッチに立てば緊張感も解け、プレーに集中していた。攻撃では最終ラインに加わってビルドアップの舵取りを行い、守備では「一度追い、二度追い、三度追いとできる選手はなかなかいない」(喜名監督)という豊富な運動量を発揮。さらにひときわ光っていたのは、ピッチ上での堂々とした振る舞いだった。

 武沢は自身がボールを受ける前後には周囲の味方に立ち位置などをたえず指示し、守備の局面でもそれは同様。「大学までやってきたように、自分が思っていることや考えていることが合っているかは別として、周りに伝えてすり合わせをしていく意識を持ってやってきた」とこれまでの積み重ねによるものだという。

 とはいえ、学年の近い選手が並ぶ育成年代とは異なり、経験あるプロ選手が並ぶJリーグの舞台でその姿勢を体現することは決して簡単ではない。それでも「みんなの意見と違うことはプロのほうが多いし、みんなの考えも聞きながら成長できている。間違っているかどうかは別として、自分も要求していくことで吸収して成長できる」と果敢に挑み、前向きな成長サイクルの一助としているようだ。

 そんな堂々たる姿勢を見せた武沢に対しては、対戦相手の“先輩”も称賛を送った。今季から町田の主将を担うMF平戸太貴は鹿島アカデミーで武沢の2学年先輩。「あの代はプレミアリーグで優勝して、チャンピオンシップも勝って日本一になっているし、本当に尊敬する先輩の一人。試合前に軽く挨拶もさせていただいて、マッチアップは意識していた」と嬉しそうに振り返った後輩に対し、平戸も「高校で一緒にやっていたので非常に楽しみだったし、高校時代しか知らなかったのですごく成長していると感じた」と目を細めていた。

 この日はそんな二人のマッチアップも実現した。ハイライトは後半30分。平戸の決定的なシュートをゴールカバーに入った武沢がブロックし、これが結果的に勝ち点の行方を分けるビッグプレーとなった。「太貴くんが来ていると思った。キックの精度は随一のものがあるので、できるだけ正面に立って、いいボールを蹴らせないようにしていた」。そう冷静さをのぞかせた武沢は「プロの舞台でマッチアップできて嬉しかった」とルーキーらしい笑みも見せた。

 プレーでも持ち味をいかんなく発揮し、振る舞いでも存在感を放った理想的なJリーグデビュー。もっとも、武沢に満足した様子はなかった。無得点に終わった攻撃への貢献度に課題を感じているからだという。

「僕自身、普段から攻撃の部分で後ろからのピックアップ、そこから起点になる縦パスの本数がまだ少ない。相手を揺さぶりながらどこかでスイッチを入れないといけないので、そこが少なかった。それでシュートの本数も少なかったので、改善しないといけない」

「センターバックからボールを受けてさばく場面が多かったけど、横に動かしてばかりではスイッチが入らないこともある。もっと高い位置で間受けして、(大本)祐槻さんや(池田)蓮くんに縦パスを入れる角度を作ったりできれば、もっとコンビネーションが出てくると思う」

 記念すべきJリーグデビュー戦を経て、武沢一翔はさらなる高みを見据えている。

(取材・文 竹内達也)




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