◆ルヴァン杯1次リーグA組 ▽第5節 鹿島3―0大分(23日・カシマスタジアム)
1次リーグ突破を決めたというのに、取材エリアに姿を見せたMF荒木遼太郎の表情はさえなかった。
「チームのサッカーにまだ対応しきれていない。自分の特長があまり出せていない。チームのサッカーを理解した上で、自分の持ち味を出すことはまだ難しい」。
先発した大分戦。味方から「復調のきっかけに」と託されたPKを決めることができなかったが、それよりも深刻に受け止めたのは、いまだに新しいサッカーを表現できなかったことだった。
鹿島は今季、スイス人のレネ・バイラー監督が就任。縦に速いサッカーを目指す中で、これまで以上の運動量、スプリントが求められている。ポゼッションや遅攻の中で違いを作ってきた荒木は、よりプレースタイルを変化させなければいけない存在となった。「監督から求められているものがある。それをプレーで表現しながら、自分のプレーを出していけるように」と話すが、「その形は見つかったか」と問うと視線を落とした。まだピッチに自分の居場所が見つけられていないようだった。
荒木は昨季リーグ戦で36試合10得点を挙げ、Jリーグのベストヤングプレーヤー(野球の新人王相当)に輝いた。すでに有名な海外クラブからも注目される司令塔で、パリ五輪、次代の日本代表を背負う存在として大きな期待がかけられている。もちろん10番を託された鹿島復活のキーマンとしても。さらなる飛躍を確信した今季だったが、バイラー監督が指揮を執ったリーグ戦5試合のうち、先発起用されたのは1試合のみ(途中出場3試合)と出場機会が激減した。
この現実を、選手として幅を広げる時期ととらえるか。それとも、ストレスと感じるか。荒木は「正直、両方ある」と言い、少し考えてから「選手ならば誰もが試合に出たいと思っている。試合に出られないことは選手としてマイナスなので。試合に出たい思いをぶつけていきたい。中学、高校で監督が代わったことがある。その経験が(今回の課題を乗り越える上でも)良い経験になると思う」と続けた。
東福岡高から鹿島に入り、順調に階段を上ってきたが、プロ3年目で大きな壁に直面した。20年近い取材の中で新しいサッカーに適応し、成長につなげた選手を多く見てきた。一方でサッカー選手の寿命は短く、「サッカーが合わなかった」と移籍する選択も、決して悪くないと感じる。自分を貫くこともプロとして大事な部分だ。荒木がどう向き合い、どのような答えを見つけるか。今後も注目していきたい。(鹿島担当・内田知宏)
◆【番記者の視点】出番激減の新人王MF荒木遼太郎…鹿島3発快勝の裏で苦悩を「見た」(報知)
「バイラー監督が指揮を執ったリーグ戦5試合のうち、先発起用は1試合。この現実を、選手として幅を広げる時期ととらえるか。それとも、ストレスと感じるか」
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) April 24, 2022
『正直、両方ある』
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