日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年6月13日月曜日

◆ガーナ戦で無得点の上田綺世をどう見るか。天性のストライカーを生かせないのはもったいない(サッカーダイジェスト)






「この一戦だけで評価するのではなく…」

[キリンチャレンジカップ]日本 4-1 ガーナ/6月10日/ノエビアスタジアム神戸

 4ー1と快勝した6月10日のキリンカップ・ガーナ戦、CFで先発した上田綺世は、「良くなかった」と評価するのが一般的なジャッジだろう。

 そもそもボールに触れる回数が少なく、チャンスは限られていた。目ぼしい決定機は20分に柴崎岳のクロスに合わせたヘディングくらいで、前半終了間際には2得点目のシーンも含めて2度ほど三笘薫のクロスに反応していたものの、ギリギリボールに届かず合わせられていない。なによりFWなのでノーゴールでは評価できない。

 ただ、ガーナ戦での上田を慮ったのが柴崎岳だった。

「相手が3バックだったのは大きい。必然的にゴール前の人数が多くなり、スルーパスや縦パスを受けるシーンはなかなか作りづらい。綺世もその辺はちょっとやりづらさを感じたのではないかなと思います。

 それでも彼にシュートチャンスがなかったわけではないし、おそらくJリーグでは抜け出せている部分も、ガーナの身体能力の違いもあったと思う。この一戦だけで評価するのではなく、本人も結果は欲しかったはずなので、また違った試合になれば違ったやり方で、彼にチャンスが来るのではないかと思います」

 確かに柴崎の言うとおりガーナ戦はCFにとって難しい試合だった。相手DFがブロックを固めていたなかで上田は、ゴールに最も近い位置に立ち続け、敵に囲まれてボールタッチ回数が少なくなった。結果的にはノーゴールなので評価できないとはいえ、そのポジショニングは、個人的にはポジティブに映った。

 例えば前述の20分の決定機は、ポストプレーに集中してサイドに流れてしまえばチャンスが巡ってこなかったわけで、点を取るためにはゴール前に立ち続けるのは適切な動き出しだった。他にも、29分に山根視来が先制点を決めたシーンでは、スっとマイナス方向にポジションを変え、相手のマークを外していた。

 なにより、ビルドアップ時に上田は何度も裏への抜け出しを狙い、スルーパスを呼び込んでいた動きが最も好印象。結果的には味方と呼吸が合わず、横パスを選択する出し手がほとんどだった。

 また、56分に高くジャンプし、ハイボールを胸トラップで収めたプレーにも驚いた。アフリカ人選手にも引けを取らない身体能力を見せたのだから、エアバトルでは高確率で勝利が見込めるだろう。

 前回に日本代表でスタメン出場したベトナム戦と比べれば、ノエビアスタジアム神戸ではガーナのDFに囲まれながらも、上田がゴールに近い位置に立ち続けているように映った。プレーからは「得点こそが自分の存在価値」という気概も感じられた。


一つひとつの動き出しからゴールゲッターとしての能力は疑っていない


 なにはともあれ、上田が日本代表でノーゴールという事実は残るので、「上田の能力が足りないだけ」という評価があっても否定はできない。それでも一つひとつの動き出しからゴールゲッターとしての能力を疑っていない筆者は「天性のストライカーを生かせないのはもったいない」と見ている。

 ではどうするべきか。今の日本代表が志向するスタイルと4-3-3システムでは、上田を生かすのは困難な模様なので、彼を天性のストライカーと認めてチームが合わせるなら、鹿島のように2トップへの移行などの策が必要になる。

 ただし現実的には、指揮官が多用する4-3-3からシステムを変更する可能性は低いだろう。となると、上田自身がなんとか今の日本代表に合わせなければならないが、かつては“半端ない”と呼ばれたストライカーも、森保ジャパンではポストプレーに徹して段々と点が取れなくなっていたので、上田も同じ轍を踏んでしまうのではないかと危惧している。

 果たして、ガーナ戦で無得点の上田をどう見るべきだろうか。日本サッカー界におけるピラミッドの頂点で手本となるべき日本代表で、得点に特化している日本人ストライカーを使いこなせない代わりに、ポストプレーヤータイプをCFに置いたら……。決定力のあるストライカーはもう育たないのではないかという心配もある。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)





◆ガーナ戦で無得点の上田綺世をどう見るか。天性のストライカーを生かせないのはもったいない(サッカーダイジェスト)





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