日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年6月13日月曜日

◆【ルヴァン分析】鹿島アントラーズ「声出し応援解禁試合」の福岡戦後、クォン・スンテ、三竿健斗、土居聖真、3選手の「サポーターの声」への反応(サッカー批評)






【JリーグYBCルヴァンカップ プレーオフステージ 第2戦 鹿島アントラーズvsアビスパ福岡 2022年6月11日 15:03キックオフ】


「すいません。すいません」

 クォン・スンテが手を合わせてゴール裏のサポーターたちに言いながら通り過ぎて行く。

 声出しを伴う応援がようやく解禁されたこの日、鹿島は試合には2-1で勝利したものの、トータルスコアでは2-2。アウェイゴールの差で敗退することになり、試合後の選手たちにはサポーターからの不満が浴びせられた。

 クォン・スンテよりも先に反応したのは三竿健斗だった。久しぶりの容赦ない言葉に思わず足を止めて声の方を見据えると、それを土居聖真が止めた。

 私は鹿島のサポーターではないが、ここ最近のリーグ戦では上手くいかない試合が続いていたとはいえ、まさかこんな結末になるとは思っていなかった。福岡での1戦目をウノゼロで落とした鹿島がホームの声援を力に逆転するのだろう、と思っていた。鹿島というのはこういう時には勝つチーム、という印象が強かった。


■スタジアムのテンションは高かった


 試合前、スタジアムのコンコースの柱には張り紙があった。『新選手チャント』と書かれたそれには、常本佳吾や関川郁万ら、この日初めて鹿島サポーターから個別のチャントを歌ってもらえる選手の歌詞が書かれていた。

 コロナ禍の影響を受け続けて3シーズン目。2年以上に渡り、無観客試合、5000人(もしくは50%)制限、リモート応援、拍手のみの応援、とサポーターは我慢と協力を続けてきた。そしてようやく今年の5月17日、まだ試験段階とはいえ、ようやくスタジアムに声が戻ってくることがJリーグから発表された。初戦に選ばれたのはルヴァンカップのカシマサッカースタジアムだ。

 席間隔が再び広がったり、不織布マスクの着用のみならず飲食も制限(ソフトドリンクのみ可)されたりと条件がついているとはいえ、声と天秤にかければどちらが応援に重要かは明白だった。用意された声出し可能エリアのチケットは飛ぶように売れた。

 当然、スタジアムのテンションはウォーミングアップ前から高かった。チーム名を言うだけでも、当たり前のように毎試合歌っていた定番のものを口にするだけでも、今やそれは特別なことだった。

 10分も経たないうちに奈良竜樹と鈴木優磨が負傷交代を余儀なくされる、という両者にとってまさかの立ち上がりとなったものの、鹿島は鈴木に代わって久々の登場を果たしたエヴェラウドが幸先よくゴールを決めて34分にトータルスコアをタイにすることに成功。さらに40分には仲間隼人にもゴールが生まれ、逆転してみせた。


 しかし、前半アディショナルタイムの最後にアウェイゴールを許すと、後半は福岡の守備をこじ開けることができず。試合には勝ったのは鹿島だが、勝ち抜けたのは福岡だった。

“博多へ帰ろう”を高らかに歌い上げて喜ぶアウェイゴール裏とは対照的に、ホームゴール裏はバッドエンドを迎えていた。これまでは敗れた試合でも拍手をすることしかできなかったが、声出しの解禁はブーイングの解禁でもあった。

 ただし、試合に負けた、あるいは、最近の不調で溜まっていたストレスを乱暴にぶつけた、という単純なものではない。サポーターからすれば、鹿島というチームが持つべきスタンスを示した形だった。

 ブーイングと共にあちこちから飛んでいたのは「タイトルを逃したんだぞ!それをわかってるのか!?」というものだった。

 逆転を目指すホームゲームで声援が解禁。声援が解禁、という前例が当てはまるケースはないとはいえ、鹿島というのはこういう時に勝つチーム、というイメージはあった。しかし結果が、今はそうではい、ということを言っていた。

 久しぶりの声援が必要以上に昔を思い出させたこともあってか、結果が突きつけてくるそのショックは大きかった。ここで拍手をして労ったら、鹿島が鹿島でなくなってしまう。そういうブーイングだった。声出しの解禁は、拍手しかできなかったサポーターにとって、厳しさの解禁でもあった。


■サポーターの言いたいことは痛いほど分かっていた


 一悶着があったとはいえ、サポーターが言いたかったことは選手たちも痛いほどわかっていた。

 常本は「(鹿島サポーターの)声援の中でプレーする、という夢は叶った」としつつ「また応援してもらえるように、結果を求めて戦っていきたい」と続けた。この日の2ゴールではいずれも大きな役割を果たした彼だが「タイトルを求められるチームでやっているので、敗退の責任を感じている」と言葉を使った。

 今シーズンは海外から復帰した鈴木が“強い鹿島”を再び見せるべく奮闘を続けてきたが、その姿は若いチームに(鈴木もまだ26歳ではあるが)鹿島らしさを少しずつ植え付けている。この日は手厳しいものになったが、声援もまた、それを加速させることになるのだろう。

■試合結果
鹿島アントラーズ 2―1 アビスパ福岡

■得点
34分 エヴェラウド(鹿島)
40分 仲間隼斗(鹿島)
45+5分 山岸祐也(福岡)




◆【ルヴァン分析】鹿島アントラーズ「声出し応援解禁試合」の福岡戦後、クォン・スンテ、三竿健斗、土居聖真、3選手の「サポーターの声」への反応(サッカー批評)





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