◆明治安田生命J1リーグ ▽第20節 鹿島 3―3 C大阪(6日・カシマスタジアム)
鹿島がホームでC大阪に3-3で引き分けた。
MFディエゴピトゥカは突然、全力で走り始めた。前半42分、C大阪が最終ラインで回していたボールに対し、猛烈なプレスをかけた。奪う確率は低いが、GKに戻されるところまで追い切る。試合は妙に落ち着いていた時間帯。0―1のまま、ハーフタイムに向かう空気を変えるために走ったのではないか。私はすぐにノートに書き留めた。
2分後の前半44分。ピトゥカが蹴ったFKから同点ゴールが生まれた。MFアルトゥール・カイキがヘディングでねじ込んだ。残り数分をやり切る―。前述のピトゥカのダッシュにはそんな思いが込められたと受け止めた。こうした「感じる力」と「行動力」は試合運びを考えていく上で需要な要素だ。一時逆転した理由の一つでもあるが、逆に後半はその要素が不足していたために、勝ち切れなかったとも言える。
MF三竿健斗が途中交代でベンチに下がったことを契機に、相手カウンターから1本のスルーパスでセンターバックが危機にさらされ、立て続けに2失点を喫した。数少ないピンチでゴールを許してしまう、いわゆる安い失点で簡単に勝ち越しを許した。センターバックの前のスペースを使われ、放置し、失点を重ねた。
試合後の三竿は厳しかった。「外(ベンチから)見ても、いるべきところにいなかった。つけるべき(相手)選手についていなかった。ゲームを読む力が必要だと感じた」。ゲームを読む力は「いろんな経験をして身につくもの。言われて得られるものではない。失敗も含めて、経験して感じられるようになる」と付け足した。
FW鈴木優磨は、責任感を説いた。「『俺が守ってやる』、『俺が点を決めてやる』という責任感が芽生えてくるのが、優勝するチーム、勝つチーム。『俺が絶対守らせる』、『俺が絶対に得点を取る』というようなリーダーは必ず優勝するチームにはいる。何人がその気持ちを持ってやれるか。それが課題かなと思っています」。
今は、足りなかった「ゲームを読む力」。栄光の歴史を築いた先人たちを見ても、2人の言葉を聞いても同じことを思う。ミスを恐れず、問題に向かって責任感を持ってプレーすること。それを続けて初めて、試合の空気や流れを感じられるようになると、改めて気づかされた試合だった。(鹿島担当・内田 知宏)
◆【番記者の視点】痛恨ドローの鹿島 望まぬシーソーゲームで足りなかった「ゲームを読む力」と「責任」(報知)