<明治安田生命J1:新潟0-2鹿島>◇第9節◇23日◇デンカS
鹿島アントラーズが長いトンネルを抜けた。FW鈴木優磨(26)が1得点1アシストと活躍し、新潟に2-0と快勝。3月4日の横浜FC戦以来の白星を挙げ、連敗を4で止めた。
15日の前節・神戸戦でホームワーストの5失点を喫し、去就が注目された岩政大樹監督は戦い方にテコ入れ。選手の役割を明確にし、伝統の4-4-2にシステムを変え、今後につながる1勝を手にした。
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暗闇に風穴をあけたのは闘将、鈴木だった。前半3分、DF広瀬の右からのクロスがGKを超えてファーポスト際まで飛んだ。体を目いっぱい伸ばし、ダイビングヘッドで先制点をたたき込んだ。どうだ、とばかりに両拳を握りほえた。続く前半26分、相手複数選手を引きつけると、右足アウトで意表を突く浮き球パスをFW垣田へ。このボレーシュートが決まり、前半で幸先良く2点を先行した。
後半早々に足を痛めて同7分で交代となったが、十分すぎる活躍。これでチームの士気は高まった。体を張った守りで新潟の反撃を寄せ付けず、無失点に封じた。
1カ月半ぶりの勝利へと導いた男は「今日、勝てたのは大きいけど、あまり1勝で一喜一憂しすぎず、次に向けて臨みたい」と、かぶとの緒を締めた。
惨敗した神戸戦後、鈴木はゴール裏サポーターの怒号を受け止めた。「俺らだって100%でやっている」「まだ巻き返せるチャンスはある」と共闘を呼びかけた。クラブは続投を明言したが、岩政監督の去就も注目を集めた。19日のルヴァン杯福岡戦にも終盤の失点で逆転負けし、選手は目指す方向を失いかけた。
20日の練習、岩政監督はテコ入れに乗り出した。各選手に立ち位置と「誰が裏を抜けるか」などの役割を明確に提示。試合前日になって垣田、仲間、名古の今季初先発を決めた。4-3-3が軸の並びも、この日は前線に鈴木と垣田を並べた鹿島伝統の4-4-2に変更。戦い方をはっきりさせ、選手間の話し合いも増えた。鈴木は「これまでは崩しを意識しすぎて中途半端な取られ方をしていた。今日はシュートならシュートとやり切ろうと。やり切れた」と納得した。
リーグ最多8度の優勝。常に勝利が求められるのはクラブの宿命だ。鈴木も「苦しかった」と吐露するトンネル。「これがいい方向に向かうための時間だと思って、いい経験にして進みたい」。新しい鹿島への光が見えた1勝となった。【岩田千代巳】
『これまでは崩しを意識しすぎて中途半端な取られ方をしていた。今日はシュートならシュートとやり切ろうと。やり切れた』
— 日刊鹿島アントラーズニュース (@12pointers) April 25, 2023
◆【鹿島】FW #鈴木優磨「苦しかった」1得点1アシストで3月4日の横浜FC戦以来の白星(ニッカン) https://t.co/kUFjdS7hMK pic.twitter.com/fXaWsi806f