日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年12月19日火曜日

◆負傷で不完全燃焼の終幕…関西学院大MF濃野公人が途中出場でアシスト「何もできないもどかしさがあった」来季鹿島で右SB争い挑戦へ(ゲキサカ)



濃野公人


[12.10 インカレ2回戦 明治大 5-3 関西学院大 保土ヶ谷]

 大学サッカー生活最後の大会は不完全燃焼で終わった。太もも裏の肉離れでインカレ初戦を欠場した関西学院大MF濃野公人(4年=大津高/鹿島内定)は、2回戦の明治大戦でベンチ入り。2-5で迎えた後半18分から右サイドハーフで途中出場し、追い上げの1点をアシストしたものの、2点及ばず敗退となった。

 この日の関西学院大は序盤から明治大に圧倒され、前半38分までに0-5でリードされるという絶体絶命の展開。その後はFW望月想空(4年=関西学院高/FC大阪内定)が2点を返したものの、その望月に代わって濃野が投入された時点で、残り約30分間で3点ビハインドという苦しい状況だった。

「外から見ていて何もできないもどかしさがあって、自分が出たらもっとこうしたらできるのになと思うこともあったけど、それも自分が怪我をしてしまって招いたこと。申し訳なさのほうが大きかった」(濃野)

 しかし、何もできずに終わるつもりはなかった。右サイドハーフでの起用となった中、ベンチから眺めていた戦況を冷静に分析し、相手の嫌がるプレーを徹底。明治大のプレッシングを弱めることで、徐々に押し込む時間が増えていった。

「相手が後ろ5枚だったので、守備では相手のウイングバックが前に縦ズレを起こして守備のスイッチが入っているとわかったので、そこのスイッチを入れさせないように。自分が内を取ったり、外を取ったりすることで、相手のスイッチを入れるタイミングを遅らせたり、惑わせることを意識していた」

 さすがの戦術眼は明治大にも通用。そうして迎えた後半45分には得点にも絡んだ。

 MF長尾優斗(4年=G大阪ユース/水戸内定)からのサイドチェンジにゴール前まで走り込み、濃野がヘディングで折り返すと、これに詰めたMF倍井謙(4年=名古屋U-18/名古屋内定)がゴール。「長いボールのサイドチェンジとか、ウイングバックの裏は突けるポイントだと思ったので、長尾とか蹴れる選手に入った時に動き出すのを意識していた」という濃野の狙いが的中した格好だった。

 それでも同点に追いつくには至らなかった。重くのしかかったのはやはり、濃野がピッチに立つ前に喫した前半の5失点だ。「みんなにも言ったけど、4失点目からの5失点目とか、何気ない失点かもしれないけど、後半自分たちにとっては喉から手が出るほど欲しかった1点で、あの1点がなければなということの積み重ねがいっぱいあった。もっとこだわるべきポイントが前半にたくさんあった」。主将として、チームメートにも反省点を突きつけた。

 4年間の大学サッカー生活はこれで終了。濃野は「楽しいことより、苦しくて、たくさん悩んで、一番泣いた4年間だった。ただ、それが悪かったかというとそうじゃなくて、ものすごく苦しいことがたくさんありつつも、それを乗り越える力、対応する力を4年間で身につけることができた。サッカー人生の中でもとても濃く、成長できた4年間だったのかなと思っている」としみじみ振り返る。

 来季からは鹿島に加入し、J1屈指の名門クラブでプロ生活をスタートさせる。鹿島は2018年のAFCチャンピオンズリーグ優勝以降タイトルから遠ざかっており、国内では7年連続無冠と苦しい状況。それでも「小さい頃からJリーグを見て育っていて、常勝軍団で、タイトルを取っている姿を何度も見ていた。ここ数年、タイトルから遠ざかっている現状でルーキーだけど関係なく、鹿島アントラーズの一員として、あのエンブレムを背負う以上はタイトルを取る必要があると感じている。そこにしっかり貢献できるように頑張っていきたい」と意気込む。

 関西学院大では3年時から右SBでのプレーを経験しており、鹿島でもSBでの起用が濃厚。近年ではDF山根視来(川崎F)、DF毎熊晟矢(C大阪)らプロ入り後のSBコンバート組がA代表に辿り着いている例も多く、濃野も世界を目指して戦っていく構えだ。

「違いを作り出せる部分を評価していただいて入団させてもらうことになったので、他の選手にない自分の強みをしっかり出していきたい。そしてプロの世界ではやっぱり失点しないとか、1対1でやらせないという守備の部分を求められる世界なので、そういう部分でもしっかりこだわって、攻守ともに万能なサイドバックに成長したい」

 その先にはパリ五輪代表も見据えている。「自分の世代なのでチャンスがないわけではない。しっかり鹿島で結果を出すことがそこの近道になる」。来年4月にはパリ五輪予選(U23アジア杯)を控える中、チャンスを掴むには開幕スタメンが必須。まずは怪我のケアを続けてコンディションを整え、「1年目を大事にやっていきたい。開幕から出られるようにしっかりキャンプで自分をアピールしていきたい」と闘志を燃やした。

(取材・文 竹内達也)





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