今夏のパリ五輪で金メダル獲得を目指すサッカーU―23日本代表のオーバーエージ(OA)枠に、日本代表FW上田綺世(25=フェイエノールト)が最有力候補に挙がっていることが24日までに分かった。複数の関係者によれば、大岩剛監督(51)が得点力アップに前回の東京五輪も経験したかつての教え子をリストアップ。4月開幕のパリ五輪アジア最終予選(カタール)での出場権獲得を前提に、日本サッカー協会が他の候補も含めクラブ側と交渉を開始させているという。
1968年メキシコ五輪以来56年ぶりのメダル獲得へ、昨夏に移籍金1000万ユーロ(約16億円)でオランダの名門に加入したストライカーが“助っ人”として加わる可能性が浮上した。複数の関係者によれば、大岩監督が7月24日開幕の本大会へ向け、複数のOA枠候補をリストアップ。その中で経験、実力ともに申し分のない上田の名前が最上位に挙がっているという。
U―23日本代表は4―3―3を基本布陣に、1トップには現在カタールで開催中のアジア杯にも出場しているFW細谷真大(22=柏)がエースとして君臨。だが、細谷に続く人材が現れていないのが現状で、短期決戦となる本大会へ次なるアタッカーの“補強”は不可欠だ。
そこで浮上したのが、3位決定戦でメキシコに敗れた東京五輪に出場した経験を持ち、A代表でも着実に実績を重ねる上田だ。ポストプレーにたけ、裏への抜け出しも抜群の屈強FW。招集が実現すれば、細谷を切り札として起用できるほか、2人の同時起用など可能と選択肢が大幅に増える。大岩監督が鹿島監督時代の19年に指導した経験を持ち、特徴を熟知しているのも大きなメリットだ。
最大3人のOA枠には上田の他にも、チームの最大の弱点とされるセンターバック2枚で使用するプランも浮上。A代表コンビの冨安健洋(25=アーセナル)、板倉滉(26=ボルシアMG)が有力候補に挙がっているという。
U―23日本代表は4月15日からカタールで開催される五輪最終予選を兼ねた同アジア杯に出場。16チーム中3位までが五輪出場権を獲得し、4位はプレーオフにまわる。
当然、OA枠起用は8大会連続12回目となる本大会出場が大前提だが、日本協会の反町技術委員長は「6月にOAを入れて数試合やって、五輪本大会へ向かう」と既に綿密な計画を練っている。五輪には代表側の拘束力がないため、クラブ側との粘り強い交渉は必須。悲願のメダル獲得へ、上田らOA枠候補の動向に注目が集まる。
◇上田 綺世(うえだ・あやせ)1998年(平10)8月28日生まれ、水戸市出身の25歳。中学時代は鹿島の下部組織に在籍し、鹿島学園高から法大に進学。3年時にサッカー部を退部して鹿島に加入。22年にベルギー1部セルクル・ブリュージュに完全移籍し、昨夏にオランダ1部フェイエノールトへ完全移籍。19年に南米選手権の初戦チリ戦で日本代表デビュー。1メートル82、76キロ。利き足は右。
◆上田綺世 OA最有力 パリ五輪メダルへ強力“助っ人” 冨安、板倉も有力候補に(スポニチ)