http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20141110/249119.html
W杯コロンビア戦に出場した内田篤人(右)は、この試合以来の復帰となった。 [写真]=Getty Images
来年1月に迫った2015年アジアカップ(オーストラリア)前最後の選手見極めの場となる11月2連戦(14日のホンジュラス戦=豊田、18日オーストラリア戦=大阪)。その重要な2試合に挑む日本代表が10日から愛知県内で強化合宿に入った。初日は香川真司(ドルトムント)と川島永嗣(スタンダール・リエージュ)の2人を除く21人が合流。メキシコ企業が主催するサッカー殿堂に選出され、チームを一時離脱したハビエル・アギーレ監督と昼のミーティングで顔を合わせ、夕方からのトレーニングにのぞんだ。
同日帰国した本田圭佑(ミラン)ら欧州組、あるいは8日のヤマザキナビスコカップ決勝を戦った遠藤保仁(ガンバ大阪)らタイトな日程の選手も多いことから、この日の練習は2人1組のパス交換やサッカーテニスなど1時間半程度の軽めのものだった。
8日に行われたブンデスリーガ第11節のフライブルク戦で左手を痛め、代表合流が危ぶまれた内田篤人(シャルケ)も大半のメニューを問題なく消化した。全体練習後には初招集の昌子源(鹿島アントラーズ)がフアン・イリバレン・フィジカルコーチとともに相手FWのマークの仕方を居残り練習。柴崎岳(鹿島)と田口泰士(名古屋グランパス)もスチュワート・ゲリング・ヘッドコーチとアンカーとインサイドハーフの関係を確認するためのトライアングルパスを行っていた。
練習後、メディアの注目をもっとも集めたのが、2014年ブラジルワールドカップ以来の代表合流となった内田だった。「この大会が終わったら、代表をどうするかを漠然と考えていた」とコロンビア戦後に発言し、「代表引退を示唆した」と報じられてきた彼だが、「俺、ワールドカップ終わってから代表のことに関しては喋ってなかったのに、最近の新聞では最近喋ったかのように書いてあって、なんか怖いなあと思いました。それは本心ではないので。俺が喋らなくてもみなさん記事書けるし、喋んなくてもいいかなと」とここに至るまでの報道への不満をストレートに吐露したのだ。今回の2試合も「左手は大丈夫ですけど、ひざもいろいろあるんで、ドクターと相談します」とピッチに立てるかどうか微妙な情勢であることも明らかにした。
満身創痍の中、ブラジルで戦った後、今シーズンが開幕してからも肉体的にギリギリな状態が続いた内田。それゆえに、本人の中ではクラブと代表を掛け持ちできる絶対的自信を持てなかったのは確かだろう。それでも、ブラジルでもそうだったように、彼はイザ勝負のかかる局面になれば、持てる力の全てを出して日本代表に貢献しようとする。その闘争心と勝利への意欲は誰よりも強いといっても過言ではない。だからこそ、アギーレ監督も内田を呼びたいと希望したのだ。
今回のホンジュラス戦とオーストラリア戦はフレンドリーマッチ。決してムリをする必要はないが、体の状態が許すのであれば、彼の新たな覚悟と決意を改めてピッチ上で示してほしい。それを多くの人々が待ち望んでいる。
文=元川悦子