日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年3月19日日曜日

◆2017明治安田生命J1リーグ 第4節(オフィシャル)


明治安田J1 第4節

日本平での逆転劇!植田と優磨、金崎のゴールで鹿島が清水を撃破、公式戦4連勝!

鹿島が3月の公式戦4試合を全勝で終えた。J1第4節、清水エスパルスとのアウェイゲームに臨むと、71分まで0-2とビハインドを負う苦しい展開に。それでも74分に植田、79分に鈴木、そして85分に金崎がゴールを決め、3-2と逆転勝利を収めた。これで公式戦は4連勝、3月は全勝で終了した。

3月に入ってから3試合連続で完封勝利を収め、上り調子にある鹿島。公式戦7試合を終えて5勝2敗、石井監督をして「納得していない部分はある」という成績ではあるが、シーズン序盤の過密スケジュールを乗り越えながら、着実に進化を遂げていることは確かだ。戦術理解度とコンディションを同時に高めるプレシーズンのチャレンジを経て、試合のたびにメンバーを大幅に入れ替える指揮官の采配も日常として定着しつつある。

選手間の競争と切磋琢磨を促しながら、チーム力を高めていく挑戦に終わりはない。14日のACL第3戦、ブリスベン・ロアーFC戦では3-0と勝利。雨中のホームゲームで鈴木と植田、遠藤がゴールネットを揺らし、勝ち点3を掴んでグループEの首位に返り咲いた。今季の公式戦初先発となった曽ケ端が好守を連発して無失点勝利の立役者となり、J1開幕戦以来ピッチから遠ざかっていた西も実戦復帰を果たすなど、チーム内の競争意識はさらに高まっている。

3月に入って4試合目、ここ9日間で3試合目となったアウェイゲームに向けて、チームはトレーニングに打ち込んだ。清水戦を終えると、国際Aマッチウィーク突入に伴い、2週間のインターバルに入ることとなる。3月の公式戦4試合を全勝で終えるべく、グラウンドは熱を帯びた。土居は「勝利を意識して戦いたい」と、結果を求める姿勢を言葉で示して決意を見せた。



春の訪れを感じさせる穏やかな気候に恵まれた、三連休の初日。IAIスタジアム日本平には、アントラーズレッドの背番号12が早くから足を運んでいた。2年ぶりとなる清水遠征で、勝利の喜びを分かち合うために。ビジタースタンドから大きなチームコールが降り注がれ、選手たちを鼓舞する。



「今は安定した戦い方ができているので、こちらのメンバーを大きく変えるつもりはない」と話していた石井監督は、ブリスベン・ロアーFC戦からの変更を3名にとどめた。GKは曽ケ端に代わってクォン スンテ、ボランチの一角にはフル稼働を続けていたレオ シルバではなく小笠原、そして前線にペドロ ジュニオールを起用。最終ラインは伊東、植田、昌子、山本の並びで、ボランチの位置では永木が小笠原とコンビを組む。2列目は遠藤と土居、そして前線は公式戦2試合連続得点中の鈴木が今季のリーグ戦初先発となった。ベンチ入りメンバーは、GKの曽ケ端、西、町田、レオ、中村、レアンドロ、金崎が並んだ。



14時、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。鹿島は立ち上がりからボールキープ率で相手を圧倒し、攻撃の糸口を探していく。清水はブロックを敷いて守備を固めてきたが、土居が前日、「守備が堅い相手を崩すような試合が今季は多くなる」と、ここまでの戦いを振り返って展望していた通り、選手たちは焦れることなく攻め急ぐことなく、パスを回していった。鈴木が身体を張ったポストプレーで基準点となり、ペドロは献身的なプレスを続けて突破口を見出そうと腐心していた。

キックオフ直前に散水された影響もあって、球足が伸びるピッチコンディションに苦しむ場面もあったが、鹿島は少しずつゴール前へ迫っていく。最初のチャンスは16分、ペナルティーエリア右手前から遠藤が得意の左足を一閃。強烈なシュートが飛んだが、わずかに枠を越えてしまった。

20分以降、小笠原が最終ラインまで下がってボールを引き出し、ビルドアップでチャンスを窺う回数が増えていく。鹿島はなかなか決定機を作るには至らなかったが、最終ラインの背後を狙ったパスでゴールを目指していった。前半最初の決定機は37分、永木からのフィードに反応した伊東がゴールライン際から中央へ折り返し、ゴール前での混戦からセカンドボールを拾ってペドロがシュートを放つと、こぼれ球が山本のもとへ。ペナルティーエリア左側でフリーとなった背番号16はシュートを枠に飛ばしたが、相手GKに阻まれてしまった。







ゴールの予感を感じさせた鹿島だが、4分後に落とし穴が待っていた。植田のクリアが金子に当たってボールを奪われると、そのままペナルティーエリアに入られて右足シュートを決められてしまう。「自分の責任。本当に悔しい」と振り返る、痛恨のミスから先制点を許してしまった。0-1。前半は1点ビハインドで終了した。









1点を追う後半開始時から、石井監督は左サイドバックに西を投入。卓越したテクニックでゲームコントロールを担う背番号22とともに、勝利を目指す。しかし序盤は前線でボールが収まらず、清水に攻勢をかけられる場面が目立つ展開だった。中盤でのボールロストからショートカウンターを受ける場面もあり、ペースを掴めずにいた。63分、鹿島陣内左サイドからのクロスでピンチを迎え、至近距離からヘディングシュートを許したものの、スンテがビッグセーブ。67分にもポスト直撃のシュートを打たれるなど、肝を冷やす場面が続いた。





流れが清水に傾きつつある中、鹿島は踏ん張り切れずに2失点目を喫してしまう。71分、中盤でボールを失ってカウンターを受けると、ペナルティーエリア内での混戦から白崎に押し込まれた。0-2。今季のリーグ戦では初の複数失点を喫し、苦しい状況に追い込まれた。







アウェイで負った2点のビハインド、残された時間は20分。底力が問われる展開で、鹿島が真価を見せ付ける。反撃の狼煙を上げたのは、痛恨のミスで失点を招いてしまった背番号5だった。74分、遠藤が右サイドからのFKを蹴り込むと、打点の高いヘディングシュートをゴールへ。これで、1-2。「絶対に取り返してやろうと思っていた」という植田が、逆転劇の序章を刻んだ。





鈴木は言う。「1点を返せば、いけると思っていた」。その言葉通り、鹿島は攻撃の圧力を高めていく。ビジタースタンドの背番号12はボルテージを高め、ゴールを渇望するチャントを送り続ける。アントラーズファミリー全員が勝利だけを見据えて戦う、ラスト15分。鹿島の猛攻は止まらない。

そして79分、次のスコアを刻んだのは背番号9だった。左サイドから永木が上げたクロスにファーサイドの鈴木が反応。身体を思い切り伸ばしてヘディングシュートを放つと、相手GKの手を弾いたボールがゴールへ転がり込んだ。これで、2-2。6分間で2得点を挙げ、鹿島が同点に追い付いた。





スコアをタイに戻し、鹿島はさらに勢いに乗る。同点で満足する者など誰一人としていない。ビクトリーホワイトに身を包んだ選手たちが敵陣へ殺到し、ゴールを脅かし続けた。76分からピッチに立ったレオも、豊富な運動量と迫力満点の攻撃参加で清水の脅威となった。





時間を追うごとに熱量を高め、ゴールを渇望するビジタースタンド。ともに戦った背番号12が待ちに待った瞬間が訪れた。85分、逆転劇を完結させたのは背番号33だった。右CKを得ると、咄嗟の判断でショートコーナーを選択した遠藤が、リターンパスを受けてゴール前へクロスを送る。待っていた金崎はトラップから右足を一閃。ゴールネットを揺らすと、アントラーズレッドの歓喜が爆発した。これで、3-2。鹿島がついに逆転に成功した。







ようやく奪ったリードを、選手たちはしっかりと守り切ってみせた。パワープレーを敢行して必死の反撃を見せる清水に対し、スンテを中心とした守備陣が最後まで応戦。4分と表示されたアディショナルタイムを終えると、リーグ戦3連勝を告げるホイッスルが鳴り響いた。



3-2。3月の公式戦4試合を全勝で終えた鹿島は、しばしのインターバルに入る。国際Aマッチウィークによるリーグ戦の中断。4月1日に行われるJ1第5節の大宮戦まで、まとまった時間を得てトレーニングに打ち込むこととなる。昌子と植田が日本代表、町田がU-20代表、そしてスンテが韓国代表に合流するためにチームを離れるが、鹿嶋に残ったメンバーはさらなる向上を期し、切磋琢磨を続けていく。4月は海外遠征2回を含む、4つのアウェイゲームが待っている。勝利を積み重ねていくために、鹿島の歩みは続く。

【この試合のトピックス】
・3月の公式戦4試合を全勝で終えた。
・植田が公式戦2試合連続得点を記録。今季のリーグ戦では初ゴールとなった。
・今季のリーグ戦で初先発を果たした鈴木が公式戦3試合連続得点を記録した。
・金崎が今季のリーグ戦で初得点を挙げた。
・リーグ戦での清水との対戦は2年ぶりで、3試合ぶりの勝利を収めた。前回は2014年8月23日のJ1第23節で、小笠原の2ゴールとダヴィのゴールで3-1と快勝した。
・小笠原がJ1通算498試合目の出場。曽ケ端の記録に並んだ。
・永木が今季のリーグ戦で初先発を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・後半、気持ちを切り替えてしっかり戦おう。まずは1点だ!
・自陣ではセカンドボールへのリアクションをより早く。絶対に相手より先に触れ。
・より速くボールを動かすことで自分たちのリズムを作っていこう。

清水エスパルス:小林 伸二
・相手のロングボールのセカンドを拾うこと。
・安易にフリーキック、コーナーキックを与えないこと。
・自信を持って丁寧にボールをつなごう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
まずは本当に、勝ち点3を取れてホッとしている。前半は自分たちのボールの動かし方や判断が遅くなってしまい、効果的な攻撃ができない時間が続いてしまった。2失点を喫してからエンジンがかかったような試合になってしまった。選手たちが最後の最後まで戦ってくれて逆転できたが、こういう試合は避けたい。何度もできるような展開ではないので、避けないといけない。ただ、0-2から(スコアを)ひっくり返した選手の働きには感謝したい。アウェイに足を運んでくれたサポーターの皆さんのおかげでもあると思う。

Q.2失点してからのゲームプランは?

A.前半から、敵陣でボールを速く動かせばチャンスはできると思っていた。一度、清水の最終ラインを押し下げた形から、生まれたスペースを使うことを意識していた。2失点を喫した後にはそのプレーの精度が良くなったと思う。敵陣の深いエリアにボールを運ぶことがポイントで、2失点を喫した後はそれができたと思う。

Q.前半にエンジンがかからない試合が続いているが、その要因は?

A.選手とも少し話したが、連戦の中、自分たちからアクションを起こして攻め合いになるよりも、安定した形のほうが重要ではないか、勝つためにはそれが重要なのではないかという意識が強く働いてしまっているように感じる。前半からボールを保持して優位に試合を進めたいと思っているが、縦に急いだりパスミスが多くなったりしていることで、自分たちからボールを手放している場面が多いので、リズムが悪くなっている。コンディション的には疲れはあると思うが、試合をやってみないと分からない部分、試合の展開次第の部分もある。自分たちのボール保持をもっとやっていかないといけない。

Q.セットプレーについて、清水の守り方に対しての攻略法が成功したのか?

A.キックの質とゴール前の選手の入るタイミングがしっかりと合ったと思う。


清水エスパルス:小林 伸二
前半はうまく守備が機能していて、(アントラーズは)攻め手がなくてロングボールからセカンドボールを拾う形だった。後半もそういう形しかないくらい、守備はうまくいっていた。切り替えは我々の方が早かったと思うし、2点を取れたことはすごく良かった。ただ、サッカーの中で2点リードということで「行けそうだ」という部分と「1点を取られるとひっくり返される」という部分があることをまざまざと見せ付けられた。J2では2点を取って1点を返されても逃げ切るという試合はあったが、今回の相手はJ1王者。突破口であるセットプレーで仕留められてしまった。90分間戦い続けるという部分で、隙を見せてしまったことが残念。ボールを奪うことや切り替えはできている。2点を取れたのは良いことだったが、メンタル面の隙があり、90分間やり続けるということができなかった。


選手コメント

[試合後]

【鈴木 優磨】
勝てたことは良かったけど、修正点が多い試合だった。ただ、こういう試合で勝ち切るか負けてしまうかは、全然違うと思う。とにかく勝てて良かった。

【植田 直通】
0-2からひっくり返せたことは今後に向けても強みになると思うけど、失点は悔しい。自分のミスで取られたので、絶対に取り返してやろうと思っていた。

【伊東 幸敏】
日本平でプロとして初めてプレーした。自分のアシストがなくても、チームが勝てれば良い。試合内容は反省しなければいけない。

【昌子 源】
あのような展開になってから、「行くぞ」と思うのでは遅いし、最初からやらないといけない。ただ、大事なのは内容よりも勝利。勝って中断期間に入れるのは大きい。

【永木 亮太】
前半はスペースがなく、相手が引いて守ってくることは分かっていた。その中で、攻撃のアイデアが足りなかったと思う。スペースができてから3点を取ることができた。難しい相手だったけど、勝ち切ることができて良かった。

【クォン スンテ】
2失点を喫してしまったけど、チームメイトが点を取ってくれると信じていた。足を取られやすいピッチコンディションであることを意識してプレーしていた。勝つことができて良かった。

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