日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年7月29日土曜日

◇代々木公園にサッカー専用スタジアム…25年まで完成へ複数民間事業者が都に提案(報知)




 複数の民間事業者が東京都に対し、渋谷区内の都立代々木公園内に複合型サッカー専用スタジアムの建設を提案していることが28日、都関係者らへの取材で分かった。スタジアムは約4万人規模で、総事業費は約400~500億円を予定している。サッカーJ1・F東京の本拠地化を目指しており、資金は民間事業者が負担する。建設開始は2020年東京五輪・パラリンピック後で、25年までの完成を目指す。

 これまで不毛の地だった都内に、待望のサッカー専用スタジアムが誕生する可能性が出てきた。

 民間事業者が主体となって進めている計画では、東京都をホームタウンとするF東京の本拠地として活用する方針。都関係者は「Jリーグのクラブに使ってもらえれば、隣の代々木競技場と合わせてスポーツの聖地とすることができる」と話す。F東京は現在、味の素スタジアム(東京・調布市)を本拠地としているが、以前から都民への認知度を高めるために東京23区内への移転を模索していた。また政府は東京五輪後に新国立競技場を球技専用とする方針を固めたことから、味スタを陸上の聖地として再整備する案が出ており、移転には追い風となる。

 計画案によると、サッカー以外にも若者文化の発信拠点である渋谷のブランドを生かし、エンターテインメント要素を取り入れた複合型スタジアムを目指すもよう。試合開催日以外は音楽フェスやさまざなイベントなどを開催し、稼働率を高めていく。商業施設や飲食店などを併設する可能性もあり、都民のための開かれたスタジアムとして活用していく。

 建設予定地は、代々木公園内の南部にある球技場と織田フィールドと呼ばれる陸上競技場周辺。NHKの渋谷放送センターに隣接した場所になる。4万人規模のスタジアムができる広さがあり、山手線原宿駅、千代田線代々木公園駅など複数駅から徒歩10分前後でアクセスできる抜群の立地にある。

 都立公園の代々木公園は、指定管理者として都公園協会が管理している。同公園は占用基準を全面的に緩和しており、イベント広場ではさまざまなフェスを開催するなど、民間事業者を積極的に活用。原案によると、土地は都から借り受け、約400~500億円を予定しているスタジアムは、民間事業者からの出資や寄付金などで建設する見込みだ。

 参考となるのが、昨年に完成したG大阪の本拠地である吹田スタジアム(大阪・吹田市)だ。法人と個人から寄付金を募り、そこにスポーツ振興くじ(toto)の助成金を加え、4万人規模を総事業費約140億円で作ることに成功した。今回はまだ計画の段階のため、資金の調達方法などは今後探っていくことになるが、モデルケースになる。実現すれば、これまで東京都心にはなかった都市型スタジアムが誕生することになる。

 ◆公園が収益を生み出すモデルケースに

 政府は26日に新国立競技場を東京五輪後に球技専用とする方針を固めた。運営権を民間に売却する「コンセッション方式」を採用し、公募で事業者を募ることになる。

 Jリーグクラブの本拠地化を視野に入れているため、運営権を買い取った事業者からF東京が借り、新国立に移転する案もあるが「クラブ単体では難しい」との指摘もある。年間維持費は約24億円で、日本代表戦やコンサートなどのイベントで収益を上げたとしても、F東京の試合でも高額な使用料が発生することになるのは明白だ。

 今回の代々木公園案は、スタジアム自体を作る必要はあるが、都へ支払う使用料を抑えられ、クラブとして収益を上げることが可能になる。また近年は同じ都立の上野恩賜公園(台東区)内にカフェのスターバックスができるなど、広大な敷地を持つ公園の活用法が見直されている。今回の計画が実現すれば、公園が憩いの場だけでなく、スポーツと文化を通じて収益を生み出す良いモデルケースとなる。(サッカー担当・井上 信太郎)


代々木公園にサッカー専用スタジアム…25年まで完成へ複数民間事業者が都に提案


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