その得点は、困難な状況を明るく照らす一点の灯りだ。YBCルヴァンカップ準々決勝ファーストレグで決めた土居聖真(写真)のゴールは、準々決勝突破へ少なくない希望を繋いだ。
1-3で敗れたため、次に駒を進めるためには2点差以上での勝利に加え、2点差ならば相手を1失点以下に抑えなければならない(3-1の場合は延長戦)。状況は極めて厳しい。しかし、アウェイゴール数が絡む戦いはリーグ戦では味わえない心理戦を選手たちに強いる。見えないプレッシャーが相手チームの足を重くさせる戦いは、昨季のチャンピオンシップで十二分に経験した。その強みがあるからこそ、土居は歯切れがよかった。
「2点以上決めて勝ちます。以上!」
先に1点を奪えば相手に恐怖を植え付けられる。逆に先に奪われれば一気呵成に攻めるしかなくなる。0-0からのスタートではないことはむしろ心をたぎらせていた。
「燃えるものしかない。普通のリーグ戦じゃ味わえない状況。そういうものも合わせて楽しみたい。代表とは背負うものが違うけど、鹿島を背負っている。それをプレーに反映できるようにしたい」
ワールドカップ出場を決めた日本代表が見せた熱き戦い。立場は違えども試合に臨む気持ちは変わらない。濃密な90分が待っている。
文:田中滋(鹿島担当)
JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝 第2戦
9月3日(日)18:00KO カシマ
鹿島アントラーズ vs ベガルタ仙台