日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年10月22日日曜日

◆2017明治安田生命J1リーグ 第30節(オフィシャル)


明治安田J1 第30節

鹿島、悔しい敗戦。横浜FMを相手に3失点、敵地で敗れる。

鹿島が打ち合いに敗れた。雨に見舞われた日産スタジアムでのJ1第30節。前節終了時点で4位につける横浜F・マリノスと対戦すると、前半15分までに2失点を喫する苦しい展開に。前半アディショナルタイムに山本、66分には植田がゴールネットを揺らして同点に追い付いたが、74分に勝ち越しを許し、挽回できなかった。2-3。勝ち点を積み上げることはできなかった。

1週間前、鹿島は聖地で再出発を遂げた。10月14日、広島戦。今月最初かつ唯一のホームゲームで、しっかりと勝ち点3を獲得した。累積警告による出場停止で金崎を欠く中、土居が決意に満ちたドリブル突破から強烈な左足シュートを突き刺して先制。終盤には途中出場の鈴木がゴールネットを揺らし、2-0と完封勝利を収めた。2試合ぶりに収めた白星に、雨の聖地は歓喜に包まれる。「チーム、サポーター、一つになって頑張りたい」。殊勲の背番号8は表情を緩めることなく、次なる戦いを見据えていた。

リーグ戦は残り5試合。10月18日にはACL準決勝第2戦が行われ、第32節・浦和戦の日程も確定した。深まる秋とともに、シーズンはクライマックスへ突入する。重圧と高揚感、そしてタイトルへの渇望を胸にトレーニングへと打ち込む日々だ。指揮官は言う。「いろいろな課題が試合のたびに出て、一つひとつ改善していくことで今のチームがある。シーズンを通して成長していくのだと思う」と。勝利だけを見据え、進化を追求する道のりに終わりはない。

試合2日前の紅白戦。冷たい大雨に見舞われたクラブハウスで、グラウンドは熱を帯びていた。負傷離脱を強いられていたメンバーが続々と帰還し、個々の切磋琢磨は激しさを増していく。誰がピッチに立っても、勝利への渇望を全身で、チーム全員で体現するのみ。前日練習を終えた中村は「戦術よりも気持ち」と決意を口にして横浜へと向かった。



今節唯一のナイトゲーム。2位・川崎Fの勝利を知ったうえで迎える、極めて重要な90分だ。指揮官は広島戦から先発メンバー1名を変更。出場停止が解けた金崎を前線に復帰させ、ペドロとのコンビにゴールへの希望を託した。他の10選手は前節と同じラインナップで、GKは曽ケ端、最終ラインは西、植田、昌子、山本が4バックを形成する。ボランチは三竿健斗とレオ シルバがコンビを組み、2列目にはレアンドロと中村が並ぶ。そしてベンチには、GKのクォン スンテと伊東、永木、小笠原に加え、5試合ぶりのメンバー入りを果たした遠藤、そして前節でゴールネットを揺らした土居と鈴木が虎視眈々と出番を待つ。





台風が接近した週末、朝から雨が降り続いた横浜に、アントラーズレッドの背番号12が続々と足を運んだ。9日間でのアウェイ3連戦、第1ラウンド。険しき道のりだが、目の前の試合に集中して白星を掴み取りに行く姿勢は不変だ。アントラーズレッドの情熱がビジタースタンドを埋め尽くしていく。キックオフ前に行われた暗転の演出。トリコロールの奏を切り裂くように、横浜の夜空にビジタースタンドの歌声が鳴り響いた。灯がともったスタジアム、そこに浮かび上がったのは旗の海と化したアントラーズレッドだった。総力戦で臨む、90分が始まった。

キックオフのホイッスルと同時に、鹿島は前線からのハイプレスを敢行した。金崎とペドロが推進力となり、得点への意欲を全面に打ち出していく。だが、落とし穴が待っていた。開始3分、横浜FMの左CKから伊藤にヘディングシュートを決められ、早くもビハインドを負った。

注意していたセットプレーから均衡を破られたが、まだ時間は十分に残されている。鹿島は両サイドを広く使った攻撃で敵陣へ押し込み、セカンドボールの攻防をことごとく制してボールポゼッション率を高めていった。12分にはレアンドロが力強いドリブル突破で左サイドからカットイン。ペナルティーエリア右手前まで持ち込み、鋭い切り返しから左足で狙う。相手DFにブロックされて得た左CKには金崎が反応。打点の高いヘディングシュートを放ったが、枠を越えてしまった。





反撃の予感を漂わせ始めた鹿島。しかし、この夜2度目の歓喜もトリコロールのものだった。14分、最終ラインでパスを受けた植田がトラップ際を奪われると、天野にゴールネットを揺らされてしまう。0-2。痛恨のミスから追加点を許し、2点を追う展開となった。

リーグ最少失点を誇る横浜FMを相手に、アウェイで負った2点のビハインド。鹿島の底力が問われる時間が始まった。誰一人として下を向かず、最初のセットプレーからゴールへの渇望を叫び続けたビジタースタンドとともに、鹿島は波状攻撃を仕掛けていった。



20分、レアンドロのミドルシュートは枠の左へ。23分、細かいパス交換から鋭い突破でペナルティーエリア右奥へと進出した中村の強烈な一撃は相手GKの正面を突く。直後にも敵陣でボールを奪い、健斗が右足ミドルシュート。いずれも枠を捉えられなかったが、出足の速いプレスと攻守の切り替えで横浜FMを圧倒し、相手選手を自陣へ釘付けにした。決定機を作り出すには至らなくとも、ゴール前へ迫るプレーを繰り返すことで圧力をかけていった。







35分以降はセットプレーの山を築き、セカンドボールを拾ってからの二次攻撃も敢行。37分にはレアンドロがミドルシュートでゴールを脅かす。そして前半アディショナルタイム、レオが蹴った右CKからゴール前で混戦となり、最後は山本が押し込んだ。背番号16が意地を見せ、スコアは1-2に。1点差に迫ってハーフタイムを迎えることを意味する、チームに勇気を与えるゴールだった。









後半45分へ向かう選手たちへ、アントラーズレッドはゴールを渇望する声を届け続けた。鹿島は立ち上がりから攻勢をかけ、ボールポゼッション率で横浜FMを圧倒。47分、レオのフィードから西がゴールライン際へ走り込み、スライディングで折り返す。混戦となったゴール前でペドロがヘディングシュートを放ったが、枠を捉えることはできなかった。大岩監督は勢いを加速させるべく、56分に土居を投入。背番号8とともにゴールを目指す。













土居の登場からわずか2分後、右サイドでのパス交換から金崎が折り返し、レアンドロがフリーで狙ったが、枠の上へ。60分には鮮やかな連係で縦パスを連ね、土居がペナルティーエリア内で倒されたものの、PKを宣告するホイッスルは鳴らなかった。大ブーイングが鳴り響き、しかしすぐに反撃へと気持ちを切り替えて横浜FMゴールを目指した。





そして66分、待望の同点ゴールが決まった。レオが蹴った右CKに、植田が飛び込む。2失点目の発端となってしまった背番号5が意地のヘディングシュートを突き刺した。勢いに乗った鹿島はキックオフ直後のプレーで土居が最終ラインの背後へ抜け、右足シュートでゴールネットを揺らす。しかし、オフサイドで得点は認められなかった。残りは20分。次第にスペースが空いてオープンな展開となり、白熱の打ち合いが展開されることとなった。





誰もが逆転を信じていた。しかし、この夜最後の歓喜はホームチームのものだった。74分、ペナルティーエリア内に縦パスを通されると、遠藤渓に反転からシュートを打たれる。カバーに戻った昌子が必死に掻き出そうとしたが、ゴールはラインを割ってしまった。痛恨の失点で、再びビハインドを負った。







2-3。終盤に仕掛けた意地の反撃が、この夜3度目の歓喜を生むことはなかった。鹿島は打ち合いに敗れ、勝ち点を積み上げることはできなかった。だが、下を向く時間はない。次戦は4日後、天皇杯準々決勝の神戸戦。アウェイ3連戦の2戦目は、元日決勝と連覇を懸けた道中の一発勝負だ。中3日で迎える一発勝負に向けて、チーム一丸で準備を進めていく。さらに29日にはJ1第31節の札幌戦を控えている。神戸、札幌と続く遠征の日々。日産スタジアムに鳴り響いたブーイングを発奮材料に、再びアントラーズファミリー全員で立ち上がらなければならない。



【この試合のトピックス】
・J1での横浜FM戦は2013年の第9節以来10試合ぶりの敗戦。アウェイでは2010年以来の敗戦。
・西がJ1通算250試合出場を達成した。鹿島では194試合目の出場だった。
・植田が2試合ぶりの今季3得点目を挙げた。
・山本が今季のJ1で2得点目を挙げた。
・出場停止処分が解けた金崎が先発復帰を果たした。
・遠藤が9月9日のJ1第25節大宮戦以来、5試合ぶりのメンバー入り。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・いい切り替えでボールを奪い、サイドに展開できているので、それを続けること。
・クロスもシュートも、もっと精度を上げていこう。
・絶対にじれないこと、ボールをどんどん動かして、ミスしてもすぐに切り替えよう。

横浜F・マリノス:エリク モンバエルツ
・守備はもっとアグレッシブに。
・攻撃は相手のプレッシャーに勝っていこう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
皆さんが観てのとおり、立ち上がりの2失点が非常に痛かった。そこからは自分たちのプレーをして同点に追い付くことができたが、最後の一押しができず、非常に残念な結果になった。

Q.2位の川崎Fが勝ったうえでの試合だったが、それを踏まえて選手にはどのように伝えたのか?

A.川崎Fの話はしなかった。自分たちの試合に集中することが非常に大事で、この試合に向けて、立ち上がりからしっかりと入ろうという話をした。

Q.3失点とも残念な形だったが、最も嫌な取られ方は?

A.3点ともミスから喫したもので、修正できる。しっかりと準備をして修正をして、このようなことがないようにしたい。

Q.最初からアグレッシブに攻めていて、サイドを崩していた。最後のタイミングが合えば5点くらい入っていたと思うが?

A.少しのズレがあった。映像を見直さないと細かいところはわからないが、中澤選手を中心とした守備陣がしっかりと身体を寄せていたことも要因だと思う。

Q.アントラーズに対してどのチームもベストゲームをしてくるが、この敗戦と川崎Fに迫られたことを踏まえて、どのような話をするか?

A.切り替えることが非常に重要。追ってくる川崎F云々よりも、自分たちの準備や気持ちの持っていき方、プレーの選択、自分たちのプレーを攻守においてアグレッシブにやっていくこと。そういった話をしたいと思う。


横浜F・マリノス:エリク モンバエルツ
最初の20分、すごく良い入り方ができた。我々がリードしたことは論理的だったが、その後は下がり過ぎた。ハーフタイムの直前に失点したことは残念だった。後半、選手たちに要求したことは高い位置でのプレー。良いスタートを切ったが、アントラーズのパワーに押されてしまった。CKから追い付かれて、身長の高い選手を投入しようとしたが、失点してしまった。同点に追い付かれた後に、逆接的だが、自分たちのプレーができるようになった。もう一度目覚めたと思う。何度か良いチャンスを作ったが、相手GKの好守もあった。チャンスを作り続けて、得点につなげることができた。その後はしっかりと守るために栗原を投入して競り合いの強さを補強した。多くのサポーターが来てくれて、12番目の選手として最後まで後押ししてくれた。感謝したい。


選手コメント

[試合後]

【山本 脩斗】
立ち上がりに失点してしまって難しい試合になった。後半の前には「まだ時間がある」という話をしていた。同点に追い付けたところまでは良かったけど、最後は決め切れなかった。前半から点を取るためにパワーを使っていたことは間違いない。3点目を取り切れなかった。

【昌子 源】
相手のカウンターは怖さがあったけど、脩斗くんが高い位置を取った時にマルティノス選手がついて来なかったので、チャンスは作れると思っていた。相手の得意の形でやられてしまった。これからという時に、またミスが出てしまった。自滅した。

【土居 聖真】
アウェイでここ2試合、負けている。先制されてしまったことが良くない。川崎Fがどういう結果であろうと自分たちが勝ち点3を取らなければいけない。もったいない試合だった。

【三竿 健斗】
最初のセットプレーで先制された後、すぐに失点して苦しい試合になった。リスクマネージメントをしながらボールを保持しようと話していた。途中から入ってきた選手に決められたことが悔しい。他の結果より、自分たちが勝つことを考えていた。まだ1位にいる。次は絶対に勝つ。

【中村 充孝】
失点はDFのことを言われるかもしれないけど、今日は前線の責任。崩せた場面は多かったけど、最後の部分は自分たちの問題。守備陣をカバーできなかったことを反省している。練習するしかない。やるべきことをやっていくしかない。


2017明治安田生命J1リーグ 第30節

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