サッカーの日本代表は7日、豊田スタジアムで約1時間30分の練習を行い、国際親善試合のハイチ戦(10日・日産ス)に備え、横浜市内の宿舎に移動した。先発が有力視されるDF昌子(しょうじ)源(24)=鹿島=は「いつもの昌子」を見せる決意。18年ロシアW杯アジア最終予選では、守備の要DF吉田麻也(29)=サウサンプトン=を上回る数値を残し、次世代のDFリーダーとして存在感を示す。
DF昌子は落ち着いていた。ロシアW杯へのポジション争いが始まり、ニュージーランド戦でライバルDF槙野が好プレーを見せた。バヒド・ハリルホジッチ監督(65)は国内組のレベルに不満を隠さない。ただ昌子は冷静で、帰京前の練習後「今日はいつも通りやったな、と言われるのが褒め言葉になった。代表選手はいろいろな見られ方をする。やっぱり、いつも通りにやることが大事」とぶれない姿勢を強調した。
「いつも通りの昌子」はデータで成長を実証する。最終予選の終盤3試合で先発。全プレーの精度を表すアクション成功率89・3%はチームトップ。地上戦の1対1(デュエル)もフィールドではトップの81・8%。空中戦の1対1でも出場時間の少ない3人には劣るが、80%の勝率を誇る。パスの成功率88・1%ともDFリーダーの吉田の上回る。マークにつく相手の状況などがデータに反映されず、一概に「吉田より上」とは言い切れないとはいえ、真剣勝負で高い能力と的確な判断力を示している。
「昔はインターセプトの数を気にしていたり、データをよく見ていた。でも、何が原因か分からんけど、気にせんようになった」と昌子。同じDFで元日本代表の内田篤人(29)=ウニオン・ベルリン=も同じだった。データで自分の方向性が間違っていないと確認し、数字を気にしない姿勢に転じた。データがもたらしたものは自信だ。
自信を得たDFが次に重視するキーワードも共通している。「勝利が一番。極論を言えば、自分のプレーが悪くてもチームが勝てばいい」。昌子が最近しばしば口にする言葉だ。W杯への生き残りやポジション奪取の指標となるハイチ戦。生存競争を生き抜く力みを感じさせず、昌子は「いつも通り」を目指してピッチに立つ。(内田 知宏)
昌子“麻也超え”守備の要だ「いつも通り」で勝つ