[11.8 AFC U-19選手権予選 U-18日本代表 2-1 U-18タイ代表 ウランバートル]
8日、モンゴルの首都ウランバートルにて開催中のAFC U-19選手権2018予選I組は最終日の第3戦を迎えた。2勝同士の対戦となった日本とタイの試合は、人数をかけて守りを固めるタイを日本が攻め切れない流れとなったが、後半にFW田川亨介(鳥栖)の2得点が生まれて日本が2-1と勝利。3戦全勝のグループ1位で来年にインドネシアで開催されるAFC U-19選手権本大会(U-20W杯アジア最終予選を兼ねる)への出場資格を得た。
当初からこの第3戦にベストの布陣をぶつける予定のチームマネジメントだった日本。スターティングラインナップはGKに大迫敬介(広島ユース)、DFが川井歩(広島ユース)、橋岡大樹(浦和ユース)、谷口栄斗(東京Vユース)、荻原拓也(浦和ユース)と並び、中盤は藤本寛也(東京Vユース)、伊藤洋輝(磐田U-18)、齊藤未月(湘南)に加えて負傷で出遅れて初先発となった杉浦文哉(名古屋U-18)、そして2トップは田川と安藤瑞季(長崎総合科学大附高)の九州コンビが入った。
だが、キックオフと同時に日本は「これぞアジア予選」と言うべき何とも難しい状況に直面することとなる。これまでの試合では4-3-3の布陣で攻撃的なサッカーを見せてきたタイだが、この日本戦は5-4-1の後ろに重たい陣形を採用。徹底して守備を固めてきた。影山雅永監督は「大会前の記者会見でも、どの国の監督も『日本がナンバーワン』とか『日本をリスペクトしている』とか言ってくるので、そういう予感はしていた」と言うものの、「さすがにこんなに引いてくるとは」と絶句するほどの守備的なサッカーだった。
タイの立場になってみると、グループ2位になったとしても得失点差でダメージを負わなければ突破できる可能性が高いわけで、合理的な判断だったという見方もあるだろう。実際、タイの敷いてきたゴール前の人海守備に対して日本の攻撃はなかなか形にならない。出会い頭にFWの安藤が抜け出す絶好機が1回あったものの、これもシュートはポストを直撃してゴールには至らなかった。
藤本と杉浦の両翼が溜めて川井と荻原の両サイドバックが飛び出していく形を中心に、何度もクロスボールが放り込まれる展開となって惜しい場面はいくつかあったが、肝心の得点は生まれず。逆にタイのカウンターから肝を冷やす場面もあったが、ここは大迫がキッチリ防いで前半を折り返す。
後半、業を煮やした影山監督が「試しに一度引いてみろ」とあえて隙を作ってみたものの、タイが攻め気を見せることはないまま。FW田川から「影さん、どうしようもないですよ」との声を受けて、再び前半のような地道に人海へ挑んでいく攻めを繰り返すこととなった。そして、こういう流れで重要なのはやはり交代メンバーだ。後半16分、日本ベンチは最初の交代でFW安部裕葵(鹿島)をサイドハーフへと投入する。ここまで状態が万全でないという判断で先発を見送られていたが、J1リーグで実績を積み上げてきたのは伊達ではない。「(安部)裕葵が入って流れが変わった」(田川)。
直後の17分、その安部がサイドから送り込んだボールをDFがクリアし切れなかった展開から田川が相手と競りながら自分のシュートポジションへ持って行く力強さを見せての左足シュートを突き刺す。
このわずか3分後に、「ゆるんでいてやられそうな雰囲気があった」(齊藤)中で、相手FWチョカナン・サイマインにスーパーゴールを決められてしまったものの、「あそこで折れないのが良かった」(影山監督)。直後のキックオフからCKを奪うと、咄嗟の判断で始めたショートCKを受けた齊藤がワンタッチで入れると、再び田川がこれをねじ込み、瞬く間に勝ち越し点を奪い取った。
結局、試合はこのまま終了。日本は体調不良で出遅れて出番のなかったDF阿部海大(東福岡高)を最後に投入する余裕も見せて、2-1で勝利。この日もマイナス14度を記録するという「ちょっと感じたことのない寒さ」(影山監督)の極寒環境の中で見事に3戦3勝。厳しい戦いの中でチームの絆も深めながら、2年後のU-20W杯に向けた確かな第一歩を刻んでみせた。
(取材・文 川端暁彦)
[AFC U-19選手権予選]氷点下14度の「アジアな試合」を制し、U-18代表が全勝の予選突破!