[3.4 J2第2節 町田3-2大宮 町田]
常勝軍団出身の“東京五輪世代”が華々しいスタートを切っている。鹿島アントラーズから期限付き移籍中のFC町田ゼルビアMF平戸太貴は、開幕から2試合連続で2アシストを記録。プロ1年目の指揮官だった敵将の前で「成長した姿を見せて勝利に貢献したいと思っていた」と決勝点を導いた。
1997年生まれの平戸は、小学校時代から鹿島アカデミーに所属。2016年にトップチーム昇格を遂げると、リーグと天皇杯の2冠、FIFAクラブW杯準優勝を果たしたチームの一員として、激動のシーズンを間近で体感した。一方、自身の出番はルヴァン杯での2試合のみ。翌17年からは出場機会を求め、町田に期限付き移籍していた。
「東京五輪に出たいと思っていますし、そこに出るため、成長するために来ました」。そう決断してやって来た町田では、徐々に出番をつかみ、昨季はリーグ戦で26試合に出場。「自分の武器だと思っている」というセットプレーのキッカーも務め、前節の京都戦(○2-0)ではチームの全得点を呼び込む2アシストを挙げた。
そして臨んだ今節の相手は、プロ1年目で鹿島を指揮していた石井正忠監督率いる大宮アルディージャ。前半8分、左CKからDF深津康太のゴールを呼び込むと、2-2で迎えた後半34分にFKでFW中島裕希のダイビングヘッドをアシスト。開幕白星スタートを果たしたチームを2連勝に導いた。
「彼は鹿島にいる時から能力のある選手だと思っていた」。会見に出席した石井監督はそのように淡々とした様子で評したが、思うところはあったのだろう。前節、背番号8の平戸が『7番』(FW杉森考起)のショーツでピッチに立ってしまった出来事を受け、「最初に『今日は短パン間違っていなかったな』と言われた」(平戸)というコミカルなやり取りがあったという。
「ずっと小笠原満男選手を見て育ってきたので、ずっと憧れ、目標にしてきた」という鹿島育ちの20歳にとって、2試合4アシストという短期的な結果で満足できるものではない。「もっと流れの中からも得点にかかわっていきたい」。2年後に控える“夢の舞台”で活躍するため、そして長年にわたってチームを引っ張れるような選手となるため、これからも結果にこだわり続ける構えを見せていた。
(取材・文 竹内達也)
「小笠原満男選手を見て育ってきた」…鹿島育ちの20歳、町田MF平戸が早くも4アシスト