サッカーキング編集部が取材現場で聞いた印象的な“台詞”を紹介する連載企画。第5回は、7年半ぶりに鹿島アントラーズに復帰した内田篤人が自身の経験から語った台詞をお届け!
国内カップ戦優勝、チャンピオンズリーグベスト4進出、2度のワールドカップ出場……。ドイツで過ごした約7年半、内田篤人は海外でプレーする日本人選手として、目覚ましい活躍を見せた。そんな内田を苦しめたのが、ケガとの戦いだった……。
昨年6月、地元・静岡市にトレーニング施設「ウチダラボ」をオープンした。ウチダラボはトレーニングスタジオと整骨院を完備し、ケガに対するトータルケアを提供している。なぜトレーニング施設を開業しようと考えたのか? 鹿島復帰前に行ったインタビューで聞いてみると、返ってきた答えは、
「短い期間だから、学生時代は」
だった。
靭帯断裂や半月板損傷など、サッカー選手が患うケガは数多ある。しかし、内田が負ったのは「右膝蓋腱炎症」という前例のない大ケガだった。2015年に負傷して以降、ほとんどの時間をリハビリに費やすしかなかった。戦線復帰へ先の見えない時期を過ごしたからこそ、その一言には重みがあった。
「俺はケガをしてから復帰まで1年半から2年くらいかかりましたけど、高校生だったら部活生活が終わっちゃうんで。『そういう大怪我をしたら可哀そうだな』と」
内田は高校時代に全国大会に出場することができなかった。それでも、日々の努力が実を結びプロ入りを勝ち取った。大ケガと向き合う辛さ、3年間の学生生活の重要性を知るからこそ、地元の高校生たちのために、充実したトレーニング施設を開業したという。
27日、節目となる30歳の誕生日を迎えた。プロサッカー選手の平均キャリアを考えると、大ベテランと言える年齢だ。それでも、鹿島に復帰した今シーズン、リーグ開幕戦からスタメン出場するなど、本来のコンディションに近付きつつある印象だ。
多くのサポーターが待ち望む“本当の姿”を取り戻すまで、内田篤人は戦い続ける。
日本のサッカーファンに届けたい現場の“声” ~内田篤人編~