日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年4月8日日曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第6節(オフィシャル)




明治安田J1 第6節

ラストプレーの決勝被弾。鹿島、湘南に敗れる。

5月20日まで続く怒涛の連戦、第3ラウンド。鹿島がラストプレーの失点で痛恨の敗戦を喫した。J1第6節、湘南ベルマーレとのアウェイゲームに臨むと、開始5分で先制点を許したものの、2分後に鈴木がゴールを決めて同点に。以後は何度もチャンスを作り出したものの、追加点を決められずにいると、後半アディショナルタイムに決勝ゴールを奪われて1-2と敗戦。今季2敗目を喫した。

3月31日に再開したJ1第5節から、すでに2試合を戦った鹿島。札幌とのホームゲームは不甲斐なきスコアレスドローに終わり、そして4月3日の上海申花戦ではアウェイで負った2点ビハインドを挽回してみせた。2-2の引き分けに持ち込み、ラウンド16進出を意味する1ポイントを獲得。グループステージ突破という最低限の目標を達成し、チームは翌4日の夕方に鹿嶋へと帰還した。

次なる戦い、相手は昨季のJ2王者だ。上海からの飛行機移動、そして帰国から実質中2日で迎えるアウェイゲーム。わずかな時間で最善の準備を進めるべく、選手たちは集中力を高めていった。リカバリートレーニングでコンディション調整に努め、そして課題の克服を期してボールを追う。上海申花戦で1ゴール1アシストと大車輪の活躍を見せた鈴木は「前半を無失点に抑えていれば、勝てた試合だった」と反省の弁を述べていた。ここ2試合連続でドローに終わった一因が、前半の低調なパフォーマンスにあることは明白だった。永木は「それが課題の一つ」と言い切り、「相手を上回ることができるようにしないと」と誓っていた。

試合前日、春の嵐に見舞われたクラブハウスでは、熱気を帯びたミーティングが繰り広げられていた。大岩監督は「なかなかうまくいかないことが多いので、続けて伝えていくこと、そして選手が意識を持つことが大事。あとは『自分たちがやるべきことを整理しよう』という話をした」と内容を明かした。そしてグラウンドへ出た選手たちは、さっそく実戦形式のトレーニングで連係を確認。入念にコミュニケーションをとる姿が見られた。植田は「練習でイメージを共有できた」と話し、コンビを組む犬飼も「自分たちが主導権を握りたい」と意欲を見せていた。



試合が続く日程を見据えながらメンバー編成を行うと語っていた指揮官は、上海申花戦から5名の先発変更を施した。GKはクォン スンテ、最終ラインには今季初先発の西が並び、ボランチの一角には三竿健斗が復帰。そして2列目には土居、前線に金崎が指名された。その他、最終ラインは植田、リーグ戦では鹿島加入後初先発となる犬飼、山本が並ぶ。そして2日前に39回目の誕生日を迎えた小笠原がボランチに君臨し、上海のゴールネットを揺らしたレアンドロと鈴木も攻撃陣を形成。またベンチにはGKの曽ケ端、リーグ戦では初のメンバー入りとなった小田と山口、古巣との対峙に向かう永木、安部、中村、金森が座る。



朝から曇り空に覆われ、強風が吹き荒れた土曜日。2年ぶりの平塚遠征に臨む背番号12が、続々とスタジアムへ足を運んでいく。目指すものはただ一つ、3試合ぶりの勝利だ。アントラーズレッドで埋め尽くされたビジタースタンドから、大きなチームコールが叫ばれる。陸上トラックの先へ、ともに戦う選手たちへ、ホームチームを凌駕する熱量が送り届けられた。鹿島の魂を体現し続ける闘将、そして先発復帰を果たした背番号22の誇りと信頼が平塚の夜空に響き渡る。そして19時3分、勝ち点3を奪うための90分が始まった。

セカンドユニフォームに身を包んだ選手たちは、課題として挙げられていた「試合への入り方」を克服すべく開始直後から積極的に相手の背後を狙っていった。植田が2トップを狙ったロングパスを繰り出し、得点への意志を見せる。ルーズボールの奪い合いとなって落ち着かない展開だったが、ホームチームの勢いを受けることなく、しっかりと応対して時計の針を進めていた。

だが、鹿島は思いがけない形で失点を喫してしまう。5分、左サイド深くにパスを出されると、中央へのクロスに犬飼が対応。相手よりも先に軌道を確保したものの、後方へ戻りながらのヘディングがゴールネットを揺らしてしまった。0-1。鹿島でのリーグ戦初先発、並々ならぬ思いでピッチに立った背番号39のオウンゴールで、ビハインドを負うこととなった。



また、なのか――。開始早々に敵地で喫した失点が、閉塞感と化してピッチを覆いかねない展開。それでも鹿島は底力を見せる。オウンゴールからわずか2分後、植田が中盤右再度まで進出して迫力満点のプレスでボールを奪い、カウンターを発動。スピードを上げて敵陣左サイドへ展開すると、健斗が狙い済ましたラストパスを通す。ペナルティーエリア右側で待っていたのは鈴木だった。飛び出してきた相手GKをあざ笑うかのように、冷静かつ正確に右足で浮かせたシュートがゴールネットを揺らす。緑と青の沈黙、アントラーズレッドの歓喜。1-1。背番号9の公式戦2試合連続ゴールで、鹿島が早々と同点に追い付いた。









勢いに乗った鹿島は、敵陣でセカンドボールを拾う回数を増やし、ポゼッション率を高めるとともに湘南を押し込んでいく。16分には中盤で金崎が反転し、縦へ突破。スピードを上げて右サイドへ展開し、深い位置まで押し込んでから西がピンポイントのクロスを上げる。ペナルティーエリア中央で待っていた鈴木がダイビングヘッドでゴールネットを揺らしたが、判定はオフサイド。鮮やかな連係からゴールまで到達したものの、得点は認められなかった。以後も攻勢をかける鹿島は、29分にもレアンドロがペナルティーエリア左側からの鋭い切り返し、そして左足シュートでゴールを脅かしたものの、ネットを揺らすことができない。











35分頃からは雨が降り始めた平塚で、鹿島は積極的に2点目を目指した。小笠原が繰り出すセットプレーからゴール前へ迫る場面も増え、43分には右CKから金崎がヘディングシュート。しかし枠を捉えられず、前半は1-1で終了した。



ビジタースタンドを埋め尽くしたアントラーズレッドが待つゴールへ。後半45分、勝ち越しを目指す戦いが始まった。開始直後の46分に金崎がミドルシュートを放つなど、得点への意欲を押し出していった鹿島だが、歓喜の瞬間はなかなか訪れない。56分にはペナルティーエリア右側から鈴木が鋭い突破で強引にカットイン。金崎やレアンドロもゴール前に詰めて何とか押し込もうとしたものの、決定機を作るには至らなかった。









大岩監督は69分、土居に代えて安部を投入。サイドハーフに背番号30を配して活性化を図る。しかし、敵陣深くまで進出してもラストパスやフィニッシュの精度を欠く場面が多く、もどかしいプレーが続いてしまった。77分にはレアンドロがペナルティーエリア左側から右足で巻いてファーサイドを狙ったシュートを放ったものの、枠を捉えられなかった。









タイスコアのまま、勝負は残り10分強。指揮官は79分に永木を右サイドバックで起用し、攻撃時の推進力として期待をかけた。慣れ親しんだ古巣の本拠地で出番を得た背番号6は85分、ピンポイントのクロスで鈴木のヘディングシュートを演出。しかし、相手GKの正面を突いてしまった。





残り5分を切り、大岩監督は金森を投入。攻撃の枚数を増やし、リスクを負って追加点を奪いに行った。だが、最後に歓喜の瞬間を迎えたのはホームチームだった。3分と表示されたアディショナルタイムが4分台に達しようかという最終局面で、ペナルティーエリア左側を山根に突破される。次の瞬間、強烈なシュートを決められてしまった。1-2。そして失点の直後、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。





ラストプレーで決勝ゴールを許し、鹿島は勝ち点を得ることすらできなかった。永木は「重く受け止めないといけない」と言い残してスタジアムを後にした。次戦は中3日で迎えるJ1第7節、FC東京戦。味の素スタジアムで勝利を収めるために、チームは鹿嶋へ戻って準備を進めていく。全員で這い上がらなければならない。

【この試合のトピックス】
・鈴木が今季のJ1初得点を挙げた。公式戦では2試合連続ゴール。
・西が今季の公式戦初先発を果たした。
・2年目の小田とルーキーの山口が自身初のリーグ戦試合メンバー入りを果たした。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・前線から連動したいい守備ができているので後半も続けること。
・攻撃の時、相手のボックス脇を効果的に使おう。
・攻守の切り替えを早く後半も集中して戦い続けよう。

湘南ベルマーレ:チョウ キジェ
・球際に激しく2ndボールを拾おう。
・最後の部分でしっかり身体を張ること。
・クロスに積極的に入っていこう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
非常に悔しい試合。特に後半はいい形があったので、1つ(得点を)取りたかった。その中で、湘南の勢いが最後の失点につながってしまったと思う。

Q.金森選手を投入したことについて。点を取る意図だと思うが、守備が薄くなったように思う。バランスが悪くなった印象があるが?

A.そのようには感じていない。あのような形もあるということを選手には伝えていた。勝ちに行くつもりでリスクを負うポジション取りをした。結果が出なかったので、自分の責任として次に活かしたい。

Q.右サイドで攻撃を作れている中でも、膠着している時間帯が長かったと思うが?

A.相手を押し込むことはできたが、クロスの精度やゴール前に入っていく選手のタイミングや人数といった部分が合わなかった。リスクを負って金森を起用したが、自分が思うような形では表現できなかった。

Q.大岩監督が就任した後、イメージの変更があったように思う。積極的にボールを奪いに行く、リスクを負って前に行くというサッカーで支持されるようなチームになると思うが、手応えはどうか?

A.冷静になろうとは思っているが、悔しすぎて言葉にするのが難しい。質問で言われているようなことをしているが、相手あってのことであり、コンディションやケガなどもあってのことで、様々な理由からうまくいかないことがあると感じている。今日のようになかなか点が入らない中でリスクを負って攻撃することは続けていくつもりでいる。今日は負けてしまったが、この日程の中でやろうとしている選手たちの気持ちと意欲は受け止めているつもりなので、次に向けて準備をしていこうと思っている。

Q.湘南対策の内容と、どのくらいできたという手応えなのか?

A.対策は選手たちに伝えた。自分たちのコンディションを踏まえたうえで、そして試合の中でいろいろな流れがある。前節の札幌戦や直近の上海申花戦、試合の入り方が我々の課題としてあるので、そのことを含めて選手たちに伝えた。湘南に対しては前線から制限をかけてボールを奪うということを伝えていた。前半から非常によくできていたと評価しているが、最後に失点して敗戦したことの責任を自分が負って、次に活かしたい。


湘南ベルマーレ:チョウ キジェ
シュートを決めた瞬間に試合が終わるという経験は初めて。アントラーズはアントラーズの良さを出していて、我々もスタイルは違うが、対抗していったので良い試合だったと思う。ここ4試合は勝てていなかったが、特に鼓舞することなく送り出した。いろいろなケガや離脱者がいる中で、喉が渇いていても水を飲む時間がないくらい、息つく間もない試合だったと思う。勝因は間違いなく、両ゴール前での部分。守備陣もそうだし、攻撃のところで、DFが最後にあのようなシュートを打てるということは我々のストロングポイントでもある。もしかしたら試合が終わっていたかもしれない中で、神様も味方してくれたと思う。


選手コメント

[試合後]

【鈴木 優磨】
今は冷静に考えることが難しい。自分自身、選手、スタッフ全員が見直さないといけないと思う。相手の方は戦っていたし、球際に激しく来ていた。今日もサポーターがたくさん来てくれたのに勝てなくて申し訳ない。

【永木 亮太】
この結果を重く受け止めないといけない。アントラーズにとって敗戦はいけないこと。2度と繰り返さないように頑張っていくしかない。慣れ親しんだスタジアムで気持ちも入っていたけど、このような結果になってしまって本当に悔しい。

【犬飼 智也】
同点に追い付いたとはいえ、早い時間でオウンゴールをしてしまって、最後にあのような形で試合が終わってしまったので申し訳ない。最後の失点は、90分のどこかで隙を作ったことが出てしまったと思う。

【土居 聖真】
最後にバランスが崩れてしまった。もったいない試合ばかりしている。良い形も作れていたし、攻撃も守備も札幌戦から修正して対応ができていた。次にぶつけるしかない。

【三竿 健斗】
アシストの場面はできるだけ早く優磨に届けようとインステップで蹴った。立ち上がりの失点がもったいなかった。引いて守る相手が多いけど、あれだけ押し込んでおきながらやられたのはもったいない。みんなが苦しい時期なので、乗り切らないといけない。お互いに厳しく要求する必要がある。


2018明治安田生命J1リーグ 第6節

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