初戦で歴史的勝利を飾った日本代表は24日、史上初のW杯開幕2連勝を懸けてセネガルと対戦する。23日は試合会場となるエカテリンブルク・アリーナで冒頭15分以外を非公開とし、公式練習を行った。コロンビア戦(19日・サランスク)で決勝点を挙げたFW大迫勇也(28)=ブレーメン=が、温めてきた「大迫ターン」からの突破で、02年日韓W杯のMF稲本潤一(38)=現札幌=以来、2人目となるW杯2戦連発を狙う。エースの一撃で1次リーグ突破をたぐり寄せる。
FW大迫は何度か急勾配のスタンドを見上げ、ストレッチの輪に加わった。コロンビア戦で決勝点を挙げ、歴史的勝利に導くと代名詞「ハンパない」が日本中を席巻。一躍時の人となったが、「もう一回、初戦のつもりでリセットして、やるだけ。試合するからにはしっかり勝ち点3を取りたい」と断言した。02年日韓大会のMF稲本以来、史上2人目となる2戦連発で初の開幕2連勝に導く。
伝家の宝刀「大迫ターン」を抜く時がやってきた。背後にいるDFの体勢を手や背中で感じ取り、相手の重心とは逆方向にボールを運ぶプレー。育英館中、鹿児島城西高時代に監督と鍛錬を続けた成果で、視野の届かない背中で感じられるようになった。最大の持ち味は難しいボールでも足元に収めることだが、大迫ターンはそれを警戒して前に圧力をかけてきたDFをかわす、いわば「裏の技」。DFを置き去りにし、一気に決定機を作り出す。
「ハンパない」とは違い、命名者は不明。大迫を追いかけるJスカウトの仲間うちで定着し、Jリーグデビューを果たすと相手選手にも広まった。これまではポストプレー、裏への飛び出しを求める日本代表監督が多かったため、国内での認知度は低いが、西野朗監督(63)は選手の判断を重視している。また、セネガルDF陣は前に圧力を掛ける守備をするとの分析がミーティングで伝えられており、裏技をさく裂させる舞台が整う。
2年前から、DFに体をぶつける時に「力を入れて」、ボールに触る時は「力を抜く」という呼吸法を取り入れ、さらに磨きがかかった。コロンビア戦では披露する機会に恵まれなかった分、セネガルの分析網に引っかかりにくい。鹿島時代にともにプレーしたMF柴崎も「より縦(FWら前線)へのボールを意識したい」と、いつも通りまずは大迫の動きを意識する。
勝てば1次リーグ突破に大きく前進する。「W杯はそんなに甘くない。全く自分たちが思うようにいかないこともある。我慢して、耐えて、勝ちや引き分けに持っていけるか。踏ん張るところでみんなが覚悟を持って踏ん張るだけ」。W杯前から「FWはゴール」、「日本代表の歴史を塗り替える」と強い決意を何度も口にしてきた大迫。今度は、ハンパない大迫ターンでセネガルを切り裂く。(内田 知宏)
◆ゴール左ライン際角度ゼロ弾
大迫のプレーにまつわる言葉は、もう一つある。「大迫ターン」と同様に、Jクラブのスカウトの中で定着した「大迫ゾーン」で、向かってゴール左側のゴールライン付近を指す。狭いエリアでゴールに向かってライン際を巧みにドリブル突破。角度のない位置からゴールネットを揺らす。プロレベルになると、なかなか許してもらえないプレーだが、知る人ぞ知る大迫の得意エリアとして、そう呼ばれている。
大迫ターンで1次リーグ突破だ!ハンパない伝家の宝刀、02年稲本以来の2戦連発狙う