日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年12月16日日曜日

◆FIFAクラブワールドカップ UAE 2018 準々決勝(オフィシャル)



安部裕葵 Hiroki.Abe


2018年12月15日(土) 17:00キックオフ ハッザーア ビン ザイド スタジアム

【入場者数】 【天候】、 【ピッチ】

【主審】Bamlak TESSEMA(ETH) 【副審】Zakhele SIWELA(RSA) 【副審】Waleed AHMED(SDN) 【第4の審判員】Wilton SAMPAIO(BRA)


マッチレビュー

FIFAクラブワールドカップ UAE 2018 準々決勝

永木、セルジ、安部が決めた!鹿島が北中米カリブ海王者を逆転で撃破、クラブW杯4強進出!

誇り高き舞台、世界での戦いがついに始まった。FIFAクラブワールドカップ UAE 2018準々決勝。北中米カリブ海王者のCDグアダラハラと激突した鹿島は、開始3分に先制を許したものの、1点ビハインドで迎えた後半に永木、セルジーニョ、そして安部がゴールを決めて3-1とリードを奪う。後半アディショナルタイム、VARによって与えられたPKから1点差に迫られたが、3-2と逃げ切った。準々決勝突破、ベスト4進出。準決勝は19日、欧州王者レアル・マドリードとの激突だ。

公式戦57試合を戦った2018シーズンは、いよいよ最終章を迎える。国内無冠の悔しさを刻み、ついに成し遂げたアジア制覇の誇りを胸に、チーム一丸で突き進む世界大会だ。2年ぶり2回目の出場となる、クラブワールドカップ。UAEを舞台に繰り広げられる、各大陸王者の戦いへ――。チームは3日間のオフを経て、12月9日にトレーニングを再開した。

日曜日のクラブハウスは背番号12の愛情に包まれていた。UAEへと出発するまで、鹿嶋での練習は3日間。限られた数の仲間しか参戦できない決戦の地へ、その背中を力強く押すために、情熱が注ぎ込まれた。選手たちは闘志を胸にボールを追い、心身の状態を研ぎ澄ましていった。そして11日、最後の午後練習。日没後、厳しい寒さに見舞われた鹿嶋で、遠征に向かうメンバーは日本に残る面々とハイタッチや抱擁を繰り返した。思いは一つ、総力戦で突き進む――。

約12時間のフライトを経て、チームは12日の現地時間早朝にUAEへ到着した。FIFAによるアライバルミーティング、そして撮影を終えると、さっそくトレーニングを実施。開催国王者アル・アインFCの練習場で、急ピッチでコンディションを整えていった。到着初日はリラックスしたメニューが中心で、グラウンドは笑顔であふれる。そして2日目は冒頭15分のみの公開。日を追うごとに数を増す報道陣の存在、チームバスを先導する警察、厳重なセキュリティと、幾多もの要素が世界大会に出場している実感を日々着々と高めていった。

そして迎えた、試合前日。チームは決戦の舞台、ハッザーア ビン ザイド スタジアムでピッチコンディションを確認した。前日会見には大岩監督と昌子が出席。ファイナルの舞台に立った2年前の記憶は世界各国のメディアに刻まれていた。今大会も準決勝で待つ“白い巨人”。彼らに関する質問がいくつも飛んだが、鹿島の姿勢は常に不変だ。目前の戦いに全身全霊で立ち向かい、勝利だけを目指す。指揮官は「初戦に勝ち切る。その気持ちだけ」と重ねて強調。無念の負傷やコンディションの問題、そして登録枠の関係で鹿嶋に残る選手、スタッフの分まで――。「全ての選手で、総力戦で戦い抜いてきたシーズンであって、出場した選手がアントラーズの誇りをしっかりと持って戦ってきた。その思いは今大会も変わらない」。大岩監督は鹿のエンブレムを纏う責務を刻み、会見場を後にした。







世界大会、極めて重要なトーナメントの初戦。指揮官はゴールマウスをクォン スンテに託し、最終ラインには内田、チョン スンヒョン、昌子、山本を並べた。中盤は永木とレオ シルバ、そして2列目には遠藤と復帰後初の先発となったレアンドロ。前線は土居とセルジーニョがコンビを組み、虎視眈々とゴールを狙う。そしてベンチには12人。GKの曽ケ端と川俣、西、町田、犬飼、安西、久保田、田中、小笠原、金森、山口、安部が座った。



世界大会の初陣、土曜日のアル・アインは青空に恵まれた。広大な土地にそびえたつスタジアムに、アントラーズレッドとトリコロールが足を運ぶ。大陸王者としての矜持、愛するクラブとともに世界大会に出場する喜びがピッチを包んでいった。ウォーミングアップに姿を見せた選手たちに、聞き慣れたチャントが注がれる。UAEまで駆け付けた背番号12は、参戦が叶わない仲間の思いを高密度の情熱へと変えて、そしてピッチへと送り続けた。



現地時間17時、日本時間22時。戦いの火蓋が切って落とされた。ビクトリーホワイトに身を包んだ鹿島は堅守を構築してリズムを掴みたいところだったが、開始早々に落とし穴。3分、左サイドの深くへ突破されると、中央へのクロスからアンヘル サルディバルにヘディングシュートを決められた。逆の方向に重心がかかったスンテが伸ばした左手を弾き、ネットが揺れる。0-1。ホイッスルの余韻が残る中、いきなりビハインドを負ってしまった。



だが、まだ90分近くのプレータイムが残されている。鹿島はなかなか前線で起点を作ることができなかったものの、スンヒョンが気迫に満ちたバトルを繰り返してボールを弾き返し、北中米カリブ海王者の圧力を弱めていった。9分には昌子が鋭いスライディングを敢行し、ペナルティーエリア外から打たれたシュートを無力化。10分を経過し、少しずつポゼッション率を高めていった。





最初のチャンスは13分、先発復帰のレアンドロがペナルティーエリア手前から右足を一閃。ミドルシュートが枠を捉えたものの、相手GKにキャッチされた。さらに16分には、右サイドで得たFKからこぼれ球を拾い、土居が左足で狙う。ブロックされたボールを再び確保して右サイドへ展開し、遠藤が得意の位置から左足を振り抜いたものの、シュートは枠を逸れてしまった。





メキシコの雄を脅かし始めた鹿島だが、20分経過後は再び押し込まれる時間が続いた。空中戦での激しいボディコンタクトが繰り返される中、接触のたびに相手がファウルを主張し、サポーターのブーイングが鳴り響く。それでも鹿島は動じることなく、気迫のマッチアップで突破口を見出そうと腐心した。ショートカウンターで敵陣へ進出する場面も増え始め、少しずつ圧力を高めていく。31分には敵陣中央で内田が粘り、左サイドへ展開。中央へ戻されたパスから土居がミドルシュートを放ったが、相手のスライディングでブロックされてしまった。





互いにスペースが生み始めた前半のラスト10分は、カウンターの応酬となった。鹿島は40分、右サイドからのスローインでペナルティーエリア中央への進出を許し、強烈なシュートを打たれてしまう。それでも、背番号1が起死回生のビッグセーブ。さらにアディショナルタイムにも自陣でのボールロストから大ピンチを迎え、ゴール正面からフリーでシュートを打たれてしまったものの、クロスバーに救われた。0-1。劣勢を強いられた45分、最小得点差で切り抜けることに成功した。そして後半、アジア王者の猛反撃が始まる。





ハーフタイム明け、ピッチサイドに「30」が立った。Jリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞した若武者が、後半開始と同時にピッチへ。煌めきを放ち続ける若武者とともに、ビクトリーホワイトがメキシコの雄に襲いかかる。



後半キックオフから2分、まずはセルジーニョがペナルティーエリア内でのトラップから右足シュート。相手DFにブロックされたが、反撃の狼煙を上げた。そして待望のスコアは49分、百戦錬磨の守護神が正確無比のロングフィードを敵陣へ。レーザービームがセルジーニョへ通ると、左サイド深くのスペースへ土居が抜け出す。高速カウンターで背後を取ると、縦への突破から中央へラストパス。走り込んでいたのは永木だった。信じて走り続けたダイナモが、殊勲の同点弾を決めた。











1-1。早い段階で同点に追い付き、鹿島はCDグアダラハラを押し込んだ。58分にもカウンターでセルジーニョ、永木、遠藤とつなぎ、ペナルティーエリア右側から背後へ走り込んだ内田にスルーパス。惜しくも通らなかったが、相手DFを後ろ向きに走らせる場面が目に見えて増えた。

次第にスペースが空き始め、ショートカウンターの応酬となる。一進一退の攻防が続く中、リードを奪ったのは鹿島だった。69分、ペナルティーエリア内の密集でボールを持った土居が果敢に突破し、ファウルを受けてPKを獲得。セルジーニョが冷静にゴール左隅へ決め、ついに逆転に成功した。











北中米カリブ海王者はギアを上げてきたが、焦りからかプレー精度を欠いた。鹿島が何度もカウンターを仕掛け、時計の針が進んでいく。大岩監督は80分、安西を投入。サイドに推進力を加え、さらに攻勢をかけた。

そして84分、安西が敵陣左サイド深くで起点となり、中央へラストパス。待っていたのは、所狭しと走り回って攻守に献身を続け、世界の舞台で煌めく才能を解き放った若武者だ。安部裕葵、右足を一閃。強烈なシュートがゴール右隅へ突き刺さった。3-1。鹿島がリードを広げ、勝利へと大きく前進した。









2点リードを奪った鹿島はアディショナルタイム、ペナルティーエリア内での交錯で山本が相手を倒すと、VARによってPKに。スンテがコースを読み切ってストップしたものの、こぼれ球を押し込まれて1点差に迫られる。それでも、リードを明け渡すことはなかった。









3-2.準々決勝を突破し、鹿島がベスト4進出を遂げた。準決勝は19日、待ち受けるは欧州王者だ。レアル・マドリード戦、舞台はシェイク・ザイード・スタジアム。チームは明日、アル・アインからアブダビへと移動する。鹿島の2018年はまだまだ続く。誇りとともに。








【この試合のトピックス】
・クラブW杯は2回目の出場で、2回目の準決勝進出を果たしたのは日本のクラブで初めてのこと。
・クラブW杯での通算戦績は4勝1敗となった。
・日本のクラブとして初めて、海外開催のクラブW杯で初戦を突破した。
・メキシコのクラブと初めて対戦し、初勝利を収めた。
・永木、セルジーニョ、安部がクラブW杯初得点を記録した。
・レアンドロが負傷からの復帰後初の先発メンバー入り。先発出場は4月11日のJ1第7節FC東京戦以来だった。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


CD グアダラハラ:ホセ カルドーソ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
Q.安部選手ではなく、レアンドロ選手を先発起用した意図は?

安部のコンディションの問題が一つと、レアンドロの状態が上向いていたことが一つ。CDグアダラハラを分析したうえで、彼の推進力を期待して起用した。前半のみのプレーだったが、非常にいいパフォーマンスをしてくれたと思う。

Q.後半の修正力について

A.前半の早い時間に失点したことで、選手たちが少し消極的になって相手に合わせてしまうポジショニングやプレーが目立った。ハーフタイムに、ポジションやアプローチについて指示を出し、日本から多くのサポーターの方が来てくださっていた中で「戦う姿勢を見せろ」と。精神的な面と技術的な面で指示を出した。いい守備からいい攻撃につながった部分がプレーとして表現できていたので、非常に評価している。

Q.準決勝はレアル・マドリード戦だが?

A.前回、2016年の決勝は多くの人々にインパクトを与えることができた。ただ我々は、レアル相手に本気で勝利を目指して戦った。敗れたことは残念だったが、今回はその悔しい思いをぶつける舞台を勝ち取ることができてすごく嬉しく思う。多くの人が注目する戦いの中で、前半からアグレッシブな戦いをするという気持ちを現時点では持っている。

Q.2年前の試合に先発した選手が5人いたが、その経験が活きたと思うか?

A.前回大会の経験者がチームに安定感や安心感を与えてくれる。若い選手たちの思い切りの良さを引き出す、重要な選手たちだと思っている。次の試合でもパフォーマンスを発揮してくれると信じて起用したいし、しっかりとレアルを分析して選手のチョイスをして、しっかりと前半から戦えるような準備をしたい。

Q.レアル・マドリードはリーガで苦戦している。想定よりも強くないかもしれないが、決勝に行けると思うか?

A.レアルはレアルだと思う。ただ、その強いレアルに対してしっかりとアグレッシブに戦って、決勝に進みたいと思っている。

CD グアダラハラ:ホセ カルドーソ
相手の分析をしっかりとして臨んだ試合で、前半のプレーは非常によかったし、組織的にプレーできていたと思う。しかし、前半は組織的だったが、後半はゲームコントロールを失ってしまった。非常に早くボールを失ってしまった。相手のメンタルは非常に強かった。後半はアントラーズがより多くのチャンスを作り、ゴールを決めた。我々はボールを失い、ゲームコントロールを失ってしまった。


選手コメント

[試合後]

【土居 聖真】
前半はすごく厳しい試合になって、なかなかゴール前まで行けなかった。早い時間に失点をして、苦しいということ以外になかったけど、追加点を取られないことをDFラインに言った。(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ受賞は)非常に嬉しいし、チームメートのおかげ。個人の成績より、次に進めることがすごく嬉しい。

【昌子 源】
前半は本当に苦しかった。今年一番の苦しさだった。相手に分析されていることは、試合中にも感じた。そういうシーンが何回かあった。ハーフタイムには互いに要求する声がよく出ていたと思う。自分たちの修正力と、相手の動きが落ちたことが後半にうまくハマったと思う。

【内田 篤人】
失点のシーンはうまくマークを外されてしまった。前半は自分の出来が全然良くなくて、ボールも収まらなかったし、見ているところも悪いと思っていた。後半はしっかりやらないといけないと思っていた。

【安部 裕葵】
前半の相手の強度にはびっくりしたけど、それを90分続けられるとは思っていなかった。ゴールを決めたいと(試合前の)取材で話していて、実際にそれができたのは嬉しい。幸輝くんからボールを受けてトラップして、打てると思った。気持ちがよかった。

【チョン スンヒョン】
クラブW杯だからといって特別に気合いが入ったわけではない。いつも通りにやれば、自分のパフォーマンスを出せると思っていた。簡単に失点してしまったので苦しい展開になったけど、後半は早めに点を取れたので、勝利につながったと思う。

【セルジーニョ】
内容より、勝ったことが重要だと思う。前半は自分たちのサッカーができなかったけど、冷静にプレーをしていた。PKは自信を持って蹴った。チームの得点になったことがよかった。レアルと対戦することが目標ではない。そこに勝って次に進むことを、みんなが考えている。


◆FIFAクラブワールドカップ UAE 2018 準々決勝(オフィシャル)


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